3話 異世界にパンピーが降臨しました。
どうも。kazeです。
ようやく視界が白から戻ってくる。
そして見えたものは───
緑。
正確には緑ではなくて草原が俺の目の前には広がっていた。とはいっても草原はあまり大きくなく、その先にはすぐに街のようなものが見える。
─とその時
『グルァァァアア』
と言う何か完全に人じゃない(と言うか獣の)声がした。
俺は慌てて声の所に行ってみる。
するとそこには少女が犬のような獣に襲われそうになっている。
俺は更に慌てて周りを見渡す。
そう。何か投げる物を探しているのだ。
幸いにも何か見つかった。
それは角度によって色が変わって見える鉱石のような物だ。こんなところに落ちているのはよく分からない。
が、
「おらぁぁぁ!」
なりふり構わず全力で獣に向かってそれを投げる。
それは獣を目掛けて飛んでいき───
獣には当たらず、獣の後ろ足近くの地面に勢いよく当たった。
『ドガン!』
急にそんな音が響く。
「あ、やば...」
鉱石が爆発したのだ。
俺は慌てて少女の近くに駆け寄る。
どうやら大丈夫だったようだ。
というか気絶してない?
状況を見る限り獣は逃げたようだった。
───それからしばらくして
あれから爆発の音を聞きつけたのか少女の母親らしき人が来た。
それからしばらくして.....何か、お金、もらっちゃった。
と、その時。
俺のポケットに入っていたあの神から貰った鏡のような石(略して鏡石)が小刻みに震えた。
俺は疑問に思いながら鏡石を取り出す。
『やあ、翔くん~!』
「ああ。あの神か。一応こっちには来たけど」
『それより翔くんすごいじゃない───』
あれ?神の声が聞こえなくなったぞ?
そう思っていると後ろから声が聞こえた。
「再び、やあ、翔くん!」
俺は慌てて振り返る。
「ええ!?なんでいるんだ!?」
「話すと長いんだけど。.......いや、まあ、僕はさっきまで翔くんを見てたんだけど...やっぱそれじゃ暇だな~って思ってここに来たわけだよ。」
「一言で言うと暇だったってことか?」
「まあ、そうだね。」
今度からこいつのことは暇な神だから暇神って呼ぼう。口には出さないけど。
「ところで神。その神の力とかゴッドパワーとかで俺をチートみたいに出来ないのか?」
「残念ながら今の僕は神じゃないんだよ。」
「は?」
「だから僕は───」
「そんな事は知っとるわ!!なんで神じゃないかって言ってるんだよ!」
「神だとこっちに来てもあまり面白くないからさ、人になったら君と同じ立場にたてるかな~って思って。」
「じゃあ殆ど何も出来ないと?」
「まあ、そんな感じだね!」
「これからなんて呼べばいいんだよ?紙?」
「せめてパーフェクトヒューマンで。」
「お前なんかコモンヒューマンだよ!パンピーだよ!」
「むぅ.....間違ってないけどそれは....」
「じゃあなんて呼べばいいんだよ。」
「いままで通りか───」
「却下。」
俺が即却下すると神(元)がまたうずくまる。
「うーん....名前かぁ....コーンとかはどうだ?」
「よし、それでいこう。」
「え?まじ?」
「まあ、せっかく決めてもらったんだし。」
コーンってコモンヒューマンを適当に略しただけなんだけど.....まあ、いっか。
「という訳で早速翔くん。あの街に行ってみようよ!」
「あ、忘れてた。おし!じゃあ出発!」