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ブルーレイ化記念「ウルトラマングレート」

 今回は三作品の内二本目、オーストラリアで製作された「ウルトラマングレート」について。


 前回の「パワード」が初代ウルトラマンのリメイクだったのに対し、こちらはほぼオリジナルの作品だ。全十三話で、六話までの第一部が邪悪生命体ゴーデスや、ゴーデス細胞に感染した怪獣達との戦い、それ以降の第二部が地球の怪獣や宇宙人との戦いを描いている。


 各話のサブタイトルがかっこいいので一話から順に以下に記す。


「銀色の巨人」

「凍てついた龍」

「魅入られた少年」

「デガンジャの風」

「悪夢からの使い」

「悪夢との決着」

「森の守護神」

「姿なき復讐 -昆虫の叫び-」

「バイオス計画 -植物都市-」

「異星人狂奏曲」

「第47格納庫」

「その名は"滅亡ほろび"」

永遠とわなる勇者」


 特に二部の最後ふたつが好きだ。「その名は"滅亡ほろび"」では「深海に閉ざされし者」コダラーが復活し、それに呼応するように「天空に追放された者」シラリーが宇宙の果てからやってくる。

 コダラーはえらで共生している藻で強烈な赤潮を引き起こしオーストラリア近海を死の海に変え、陸に上陸。ウルトラマンが迎え撃つが、光線を増幅反射する能力で返り討ちにしてしまう。

 残り一回しか変身できなくなり、まだシラリーが到着していないというのにどうすればいいのか、そんな絶望感が良く出ている。

 「永遠とわなる勇者」ではシラリーが地球に到着する。大気圏外のシラリーに大量の核ミサイルで攻撃を行うが、エネルギー吸収能力で核爆発のエネルギーを全て取り込んでしまった。体内に蓄えたエネルギーで世界各地を灰に変えた後コダラーと合流したシラリー。2大怪獣を相手にウルトラマン(と人間)は最後の戦いを挑む。

 2大怪獣の圧倒的な力とその絶望感があるからこそ、「勇者」の単語が映える。


 台詞にも良い物が多い。「森の守護神」では住んでいた原生林を荒らされたことに怒ったガゼボという怪獣が登場する。森の中に女の子が一人取り残され、彼女を救出を試みるUMA(防衛チームの名前)のメンバーだったが、現地の責任者は彼ら諸共怪獣を攻撃させようとする。そんな彼にUMA隊員の一人、チャールズはこう言った。


「アンタ、子供殺して勲章貰うの?」


 初代ウルトラマンでいう所のイデ隊員ポジションなチャールズ。他のエピソードでも色々面白い台詞がある。


 第一部最終回「悪夢との決着」での事。火星でグレートに倒され、無数の細胞片として地球にやってきたゴーデス。様々な生物に取り憑き、以前より遥かに力を増したゴーデスはUMA隊員の一人、ジーンにも感染してしまった。彼女を救いたいジャックは、自身と一つになっているグレートに問う。


「どうすれば奴を倒せる?」

「自分の命に誇りを持て」


 これだけでは何を言いたいのかよく分からないと思うが、その後の展開を見るとかなり大事な台詞だ。


 ゴーデス細胞に侵されたジーンは、その脅威を取り除こうとする豪陸軍に狙われる。彼女を救いたいジャックは、豪陸軍に占拠されてしまったUMA基地から逃げ出す。逃避行の最中、ゴーデスに意識を乗っ取られかけ、自分を殺してくれと弱気な事を言うジーンをジャックが励ましてこう言う。


「私を殺してジャック。ゴーデスが私を利用できないように」

「それじゃあ奴の思う壺だ。ゴーデスは全ての生命の破滅を狙っている。生きることが奴への抵抗なんだよ」


 ついに復活したゴーデスとグレートの決戦。互角に見えた戦いだが、一瞬の隙を突かれ、ウルトラマンはゴーデスの体内に吸収されてしまう。ゴーデスの作り出す怪獣の幻影に苦しむウルトラマンを尻目に問答を行うジャックとゴーデス。先述の「自分の命に誇りを持て」の言葉の通り、力で敵わなくともジャックはゴーデス相手に一歩も引かない。


「哀れな奴だな、ゴーデスよ」

「ふざけた事を」

「全宇宙を吸収した時、お前はどうするつもりだ? 友達すらいない世界で、たった独りで生きていけるのか?」


 この言葉に意識をかき乱されたゴーデス。その一瞬の隙をつかれ、脱出したウルトラマンに体を破壊されてしまう。

 生き残り、再開を喜んで抱き合うジャックとジーン。そんな二人を見るUMA隊員、キムとチャールズのやり取り。


「彼らどうやって助かったんだと思う?」

「決まってるよ、愛の力さ」


 これ単体だとくさい台詞に感じられるかもしれないが、ここまでに積み重ねてきた描写があったので、自分はそう思わなかった。


 音楽も良い。ウルトラマンシリーズではどの作品も防衛チームのテーマとか、ウルトラマンが優勢の時、ピンチの時などそれぞれ劇伴がかかる。この作品もオーケストラの演奏による良い曲を使っているのだが、一つ他の作品では見ない面白い特徴がある。


 ウルトラマンの変身にはあまり時間がかからない事が多いが、ウルトラマングレートは

「変身アイテムのペンダントに放電のようなエフェクトがかかる」→「ジャックがペンダントを手に持ち精神を統一」

というプロセスを経るため、ある程度時間がかかる。

 そのため、この作品では戦闘時のBGMが変身前からかかり始めるのだ。徐々に雰囲気を盛り上げる前奏が変身と同時に転調、(スーパーマンとかスターウォーズみたいな)壮大な感じに切り替わる。原語版のメインテーマをアレンジした曲なのだが、これがとても良い。


 他にも地味に吹き替えが豪華だったり、平成に再スタートした国産ウルトラマンの片鱗を見て取れたりするので、興味があったら視聴してみて欲しい。

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