聖杖物語黒の剣編エピソード1覚醒第2章魔獣鬼(ダークホーラー)
「な、何!?」
「ひいっです!」マコもヒナもパニックに陥る。
「冴騎美琴!お前が私の探し物だ!」バケモノが身体を震わせ巨大化する。階斗先生の服がビリビリと裂けおぞましい肉体を見せる。何本もの触手がウネウネと生え出す。そして、一瞬にして、あたし達のいる空間が真っ暗になる。
ーうそ、夢と同じだ・・・ -
「ひっ!」「いやあ!」マコとヒナが触手に捕まる。
「はっ、はなせぇ。うぐっ!」「あぐぅ!」
「マコ、ヒナ!」二人は、触手によって気を失わされて倒れてしまった。
ーはっ!あたしにも触手が絡み付いてくる。ーおぞましい触手が右足を絡め取り、左手にも巻きつく。
「い、いやぁ!」
ーこれも夢なのかな、だったら早く醒めてお願いだから。-
「見つけた、ピンクの水晶の巫女を。見つけた我らの王が欲する水晶を・・・」
そう言いながら階斗先生だったバケモノが、あたしに近づいてくる。
「しかし、旨そうなガキだ。オレが喰らってやりたいぐらいだ。」舌なめづりしながら、あたしにどんどん寄ってくる。
「いや、やめて、来ないでぇ。」汚らしい舌があたしの顔に触れようとした時、
<バチッ>あたしの髪飾りが光り、バケモノの舌を電撃が打つ。
「ぎひひ。これはホンモノの巫女の力だぁ。」
ー巫女の力って?この髪飾りはお父さんがくれた物なんだけど。こんな力があるなんて知らなかったー
「どうやら、私には食えなさそうだねぇ。しかたない、上位の方に渡すしかないねぇ。」
そうバケモノは言ってマコとヒナに目を向ける。
「こっちで我慢するとしようか。」そして、マコとヒナに触手を伸ばす。
「だめっ!マコもヒナも関係ないでしょ。やめて!」あたしの言葉を無視して、バケモノはマコとヒナに
近づく。
ーな、何とかしないと。そっそうだ!夢だったらこのブレスレットでー
あたしは右手のブレスレットを見る。
ーブレスレットでハープを出せれば、あのバケモノをどっかに追いやる事が出来る筈。 -
あたしは、右手を高く掲げて願う。
ーお願いハープ、あのバケモノからマコとヒナを助けて。 -
力いっぱい念じる。 <ポウっ> あたしの身体が光に包まれる。そして、心に湧き出す言葉を叫ぶ。
「癒しの風<ヒーリングウインド>」 <ポロン、ポロロン> 右手に握るハープが音を奏で出す。
「ぐあおっ!」バケモノが体を震わせ二人から離れる。
ーやった!夢で見たとうりだ。 -
しかし、「さすが巫女だな。だが、効かぬぞ。」
ーえ?うそ!どうして?夢ではこれで逃げ出したのに・・・ -
「ふふふっ。私は式鬼ではないのでね。私は魔獣鬼。式鬼の主、魔獣鬼<ダークホラー>斗兎鬼だ!」
ー?あのバケモノの主?魔獣って? -
「ふふふっ、並みの聖導器位では、私は倒す事など出来はしない。さあ、お仕置きをしなくてはいけない様だね。冴騎 美琴!」 絡めついた触手が力を加え、
「い、痛いぃ。」あたしの頭から音を立てて血の気が引く。
「いやっ、痛い。助けて!」
「ふふふっ、楽しいパーティーの時間だよ巫女。」
「あぐぅ、助けて誰か!助けてよ虎牙お兄ちゃん!」
あたしはありったけの大声で助けを呼んだ。
いよいよ、魔獣鬼が美琴に襲い掛かってきます。この後は次回のお楽しみ。