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聖杖物語 黒の剣編エピソード1第2章魔獣鬼(ダークホラー)

第2章魔獣鬼<ダークホラー>をお送りいたします。いよいよ、美琴の前にバケモノが現れ、襲い掛かって来ます。それを打ち破るのは・・・

<ピピピピピ>

ーんんっ。目覚ましが鳴っている? -ごそごそ。

ーああ、身体がだるい。しんどい。 -

<ピピピピピ>

ーあーもう、うるさいなぁ。 -

<ピッ>手探りでアラームを切る。朝の気だるい感じ。ベットから起き上がると、軽い眩暈がする。

何か忘れている様な・・・。

ーそ、そうだ!バケモノに遭って殺されかけて・・・ユキさんに助けられたんだ。 -

頭がはっきりしてくると、また恐怖が襲ってきた。

「いや、いやぁ。」

<コン、コン>ノックの音と共に

「おーい美琴、どうしたんだ?」虎牙兄の声がする。あたしは、部屋に入ってきた虎牙兄に抱きつき震えながら、

「虎牙兄ちゃん、虎牙兄ちゃん。」

「お、おい美琴?どうしたんだ?」虎牙兄は戸惑った様にあたしを抱きとめてくれた。あたしは必死に訴える。

「バケモノがあたしを襲ったの、怖かったの。」涙がまたポロポロと溢れ出す。

<ポン>虎牙兄の手が頭に乗る。(わさわさ)

「怖かったんだな美琴。大丈夫、もう大丈夫だから。よっぽど怖い夢だったんだな。」

ーえ?夢?違うよ。本当にバケモノに。 -

「ほら、ここは美琴の部屋だぞ。しっかりしろ。」

ーえっ、そ、そう言われると自信が無くなる。夢だったのかな。そうだね、あんな事ある訳ないよね。夢か、そっか夢だったんだ。 -あたしはようやく落ち着きを取り戻した。虎牙兄は、ずっと頭を撫でてくれている。

ーうん、気持ちいい。そ、それにあたし虎牙兄に抱きついちゃってる。ポッ。 -

顔がほてって来るのがわかる。心臓もドキドキ。音が聞こえそう。

ーどうしよう。このままじゃあ、あたし倒れそう。

「美琴。」

ーはっ! -慌てて虎牙兄から身体を離す。

「そ、そうだよね。夢だよね。あははっ、あたしどうかしちゃってた。」テレ隠しにそんな事を言ってごまかす。

ーそうだよね。あんな事ある訳ないよね。 -

「ごめんね虎牙兄。ありがとう。いつも優しくしてくれて。」

ー大好きって言いたい。言いたいけど・・・。虎牙兄はあたしの事どう思っているのかな。 -

「じゃあ、オレは出かけるけど。美琴、学校はいいのか?」

ーひええっ、そ、そうだったー。 -

「あわわっ、虎牙兄!早く言ってよ。」あたしは慌てて着替えだす。ふと見るとまだ虎牙兄が居る。

「わっ!虎牙兄!出てってよ、エッチ!」

「はははっ、その調子、美琴!」ウィンクをして部屋を出る虎牙兄の後姿にあたしは心の中でもう一度、

ー大好きだよ、虎牙お兄ちゃん。 -と、呟いた。


<キンコンカンコーン>終了のチャイムが鳴った。

「ふー、今日も無事に終了。」「です。」「ふあぁ。ねむいぃ。」

「おーい、美琴。今日は何時に無く眠そうだったな。」マコが聞いてくる。

「うーん、怖い夢見て、なんか身体がだるくて・・・」

「にひひっ、怖い夢だって?好きな男の人が誰かに寝取られる夢だったとか。」

「ち、違うもん。そんな夢じゃないよ。」

「ほう、じゃあどんな夢よ。」

「そ、それは・・・」

「ほら、はけ!」

『言うのです。」二人に詰め寄られて、しぶしぶあたしは、昨晩の夢を話す。

「ほほーっ、また美琴にしては、リアリティーのない夢じゃん。」

「美琴にしてはって、まあ、そうだよね。」

「最後に出てきたユキって人は、誰なのです?」

ーそ、それは・・・虎牙兄の・・・ -

「虎牙兄の、恋人だと・・・思う。」

「やっぱ、寝取られ系じゃん。」

「へ?」

「へ?じゃあないです。ミコッタン!いっつも虎牙兄さんの事、言ってるです。」

ーえ?ええっ? -

「美琴ぉ。アンタ気付いてないの?」

「え?どういう事?」

「いつも寝言で、虎牙兄ちゃん、虎牙兄ちゃんって言ってるのです。」

ーひえええぇ。あたし、寝てるときそんなデレてるのー? -

「このヤンデレ!」「です。」かああぁ、あたしは赤面して俯いてしまう。

「そんだけ、病んでるって証拠だよ。美琴。」マコが力いっぱい言う。

ーうう、はずかしい。 -

ヒナが真剣な顔で、

「そのユキって人に夢の中とはいえ、助けられるって言うのはミコッタンが、その人にプレッシャーを感じている証拠なのです。」

マコも真剣な顔で、

「その女と闘う気があるかい?」

ーえ?闘うって? -

「そ、女の闘い!」

「女の闘い?」あたしは、怪訝な顔でマコを見る。

「闘いって言っても殴り合いじゃあないわよ。男を奪い合う闘い。」

「そうです、異性をめぐる闘いです。」ヒナも言う。

「う、ヒナが言うとなんかエロいわね。とにかく、美琴!そんな夢を見るくらいならちゃんと虎牙兄さんの気持ちを確かめなさい。いい?わかった?」

「ひひひっ、身体を使っちゃってもいいです。」

「ヒナ!アンタやっぱ、エロいわ。」

ーか、身体って・・でも、あたしはやっぱり虎牙兄が好き。大好きだから、だったらいっそ・・・ -

「おーい、美琴?」

「目がヤンデルですぅ。」

あたしは、ポツリと思った事を呟く。

「ロストバージンって、痛いのかなぁ。」

<ひきっ>二人の顔がヒク付く。

「あああ、あの美琴?」

「ミコッタン、早まるのは良くないです。」

ーえへ。えへへ。虎牙兄、あたし好きなんだよ。えへ、えへへ。 -

「うわっ、美琴が壊れた。」

「しっかりするですぅ。」マコがあたしの身体を揺さぶってヒナがオロオロしてる。

「あ、あたし達が悪かった。悪かったからこっちの世界に戻ってこーい。」

「ミコッタン、正気に戻るのです。」

ーはっ!あたしどうしたの?軽い精神崩壊してた様な。 -

「美琴、ギャグマンガみたいな事やめてくれる?」「です。」

ーはい、すみません。 -

「おーい、冴騎!放課後美術室へ、階斗が来いってさ。」クラスメートの声がする。

「えー。階斗先生が?」あたしが頭を上げて答える。

ーやだな。あの先生苦手なんだ。なんか暗くって陰湿だし、女の子の事ねちっこく見るんだもん。 -

「おい、美琴。」

「ん?何?」

「あたし達も付いて行ってやろうか。」

「なんで?呼ばれたのあたしだよ?」

「かー、鈍いな美琴。」「です。」

ー?-あたしがキョトンとしていると。マコが、

「美琴ってほんと、鈍いよな。あのセンコあんたに気があるんだよ。」

「そうです。危ないです。」

「はい?」

「だーかーらー、セクハラしようとしてるに決まってんじゃん。」

「ですです。」

「セクハラって・・・」

「身にキケン感じた事ないの?」

「別に・・・。気にした事無かったけど。」

「もう、美術の時、筆の持ち方が悪いとか、なんとか言って体ベタベタ触られてたじゃん。」

ーそ、そんな事あったっけ? -

「ミコッタンずぶすぎです。」

「う、そうかな?」

「そうよ、美琴って、ほんと世話がかかりすぎ。」

「あぶなっかしくて、ほっとけませんです。」二人がずいずい、あたしを攻め立てる。

ーう、ほんとにそんなずぶいのかな?あたしって・・・ -

「兎に角、あたしらも、付いて行ってあげるから。美琴の身体は虎牙兄様の物なんだからね。誰にも穢れさせたりしないわ!」

「大船に乗ったつもりで、任せなさいです。」

「は、はあ?」

「そいじゃあいこうか。」「です。」マコとヒナが、あたしの手を引いて立ち上がった。

「う、うん。わかった。でも、少しオーバーな気が・・」

「もう!なんでもいいから、ちゃちゃと来るの!」マコに押し切られて美術室に向かう。

<コンコン>

「あのー、階斗先生。冴騎、来ました。」ドアをノックして、声を掛ける。

「入りたまえ。」内側から声がする。

「はい。」あたしはドアを開けて室内に入る。油絵の具と、カビたキャンバスの匂い。カーテンが閉じられ薄暗い室内。中央のキャンパスに背を向けて階斗先生がいる。あたしに背を向けて・・・

「あの御用は?」あたしが尋ねると、

「ああ。冴騎君、探し物なんだ。」

「探し物ですか?」

「そう、探し物ずっと前から探していた物なんだよ。ふふふっ。」階斗先生が、不気味に笑う。

ーやっぱり、この先生苦手だな・・・ -

「それで・・・その探し物って何なのですか?あたしにどうしろと?」

「ああ、冴騎君。実は君にしか出来ない事なんだよ。こっちに来て手伝ってくれないか。」

ーう、やっぱりセクハラするつもりなんだ。 -あたしが立ちすくんでいると、後から

「こら、階斗!てめぇ美琴に何する気だよ。」マコが、ドアを開け

「やめるのです!」ヒナも入ってくる。

「おやおや、お客まで来てしまいましたか。」

「なにがお客よ!このスケベ先コーが!」マコの怒り声が美術室に響く。あたしが階斗先生に訊く。

「先生。あたしをどうしようとしてたんですか?」

「ふふふ、見つけたんだよ。探し物を。やっとだ。」

「先コーよ、こっち向けよ。」マコがイライラしながら言う。

「君たちには関係ないのだが、まあいい。道ずれになってもらおうか。」

「くそ、道ずれってあたし達に何しようってんだ。」

「マコ、ヒナ。もう行こうよ。」あたしは急に胸騒ぎがしだした。

ー何?この感じ。夢でもこんな感じしたし。危ない気がする。 -

「ふんっ、いいわ。美琴、もう行こうぜ。」そう言ってあたし達が美術室を出ようとすると、

<バタン、ガチャッ>勝手にドアが閉まりロックが架かる。

ーえ?何で勝手にドアが? -

<ガチャッガチャッ>

「くそっ!開かねえ!」「開かないです!」マコとヒナが必死にドアを開けようとするが、全く動こうともしない。そこへ、

『言っただろ探し物を見つけたと・・・冴騎君・・・」階斗先生の方に振り向くとそこには顔が獣のバケモノがこちらに振り向くところだった。

ーひっ!夢のバケモノ!! -

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