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聖杖物語 黒の剣編 エピソード1第1章ブレスレット

あたしは闇から出てきた手に掴まれて路地に引き込まれてしまった。

そこは真っ暗闇で、自分の周り少ししか見通せない。

「だ、誰?誰なの?」あたしは怖くなって、引き込んだ相手に訴えかけた。

「うひひ、旨そうなガキだ。」男の声が響く。

あたしは後ずさりしながら、

「い、いや、来ないでよ。」そう言うと振り向いて逃げようとすると、

ーえ?どういう事? -今入ったばかりの筈なのに後ろも真っ暗になっている。

突然耳元で、

「お嬢ちゃん、旨そうな魂してるなあ。喰っちまうから覚悟しな。」男の声がして目を相手にあわした。

ー!! -

「ひっ!」あたしの目の前には、とても人間とは思えないバケモノが赤い舌を伸ばして立っていた。顔は

長い耳を垂らした兎、身体はボロボロの服を纏った兎人間とでも言いたい位の異様な姿。その男が、近づいて来る。

「い、いや、近づかないで!来ないで!」あたしは必死に叫ぶ。後ずさりしながら、助けを叫ぶ。

「誰か!誰か助けて。怖いよ虎牙お兄ちゃん!獅道お兄ちゃん、助けて!!」あたしは涙ぐみながら必死に助けを叫んだ。だが、兎男はあたしの目の前まで来て、耳まで裂けた口を広げ長い舌をあたしに伸ばしてくる。

「いっいやぁーっ!」思わず右手で顔を隠す。その時、<ぴかっ>右手のブレスレットが光、

「え?眩しい。」

(私を使うのです、巫女よ。)

ー今度は誰?あたしの味方?使うって何を? -

(私を使いなさい。巫女美琴よ。私はハープ、癒しのハープ。)

ーえ?ハープなの?使うってどうやって? -

(手を伸ばして願うのです。式鬼よ去れ、と・・・)

ー手を伸ばして・・・こう? -あたしは言われるまま右手を伸ばして、目の前に居るバケモノに対して願う。このバケモノをどこかに連れ去って欲しいと。

<ポロン、ポロロン、ポロン>あたしの身体を光が包み、掲げた右手にハープが現れる。心地よい音色が響く、すると式鬼が頭を抱えてうろたえ始め、やがて逃げ出した。

ーやった!助かったんだ。 -あたしは、ほっとしてその場にへたり込んでしまった。

「助かったぁ。」ほっとしたら、急に涙がポロポロと溢れてきた。

ーひっく、怖かったよぉ。虎牙お兄ちゃん。 -幼い時のように虎牙兄に助けを求める。

ーここから出たいよ。虎牙兄、助けに来てよ。 -

あたしの周りは、まだ暗い闇に覆われたままだ。

ーどうしたらここから出れるの? -

泣きながら考えていたら、

「ひひひっさっきは、やってくれたな。今度は許してあげないよ。お嬢ちゃん。」バケモノが戻って来た。

「ひっ!もういやぁ。やめてよ、来ないで!」あたしは座り込んでもう動けない。バケモノがあたしに近づいて来る。

ー助けて、獅道兄さん、助けて・・・ -

「虎牙お兄ちゃん、助けて!!」そう叫ぶと気を失いかけた。バケモノの顔がもうすぐそこまで近づいて来た。

<ビシィッ>

光る何かがバケモノに突き刺さる。

「ぎぃやあああっ!」バケモノがもんどり打って仰け反る。

「やめなさい!式鬼!!」凛々しい女の人の声。

ーあ。この声どこかで聞いた事があるかも・・・ -そして、<フワッ>

あたしとバケモノの間にマントを翻して、女の人が現れる。

ーえ?うそ?ユ、ユキさん? -

「この子には、一指も触れさせないわ。式鬼!」凛々しく言い放つ口調にはいつものユキさんでは考えられない位。

「ぎききっお前は聖導士!」バケモノがうろたえながら叫ぶ。

「そう!私は聖導士!守りし者よ!」そう言いながらユキさんは、右手のブレスレットを高く掲げると、

「氷の矢<フローズンアロー>」氷の矢が現れてバケモノに何本も矢が突き刺さる。

「ぐがあぁっ。」バケモノがくずおれるが、まだ倒れない。

「キ、キサマァッ、許さんぞぉ。」バケモノがよろよろと起き上がる。

「八つ裂きにしてやる!」バケモノがユキさんに吼えるが、

「式鬼よ、聖導士が一人で結界へ入るとでも思っているの。」

ビクッとバケモノが身体を強張らす。

「な、なんだと?」その時、薄明るい光を放ちながら何かが近づいて来た。

「うぎき!貴様は、獅騎導士!!」そう云われた人は、西洋の甲冑の様な鎧を身に纏い現れた。ただ1つ違うのは頭部が猫の面を着けた様な感じで、

ー違う、あれは虎だ。虎の頭を模った兜だ。 -

獅騎導士は右手に持った剣を振りかざしバケモノと対峙していたが、

「斬」瞬く間に化け物を斬った。

「げがっ・・・」一言を言い残してバケモノは消え去ってしまう。

ーあ。本当に助かったんだ、あたし。よかったぁ・・・・ -

<バタッ>

あたしは、ホッとして気を失ってしまった・・・

聖杖物語エピソード1第1章ブレスレットをお送りいたしました。続きまして第2章魔獣鬼<ダークホラー>をお送り致します。今後もどうぞ宜しく。

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