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聖杖物語 黒の剣編 エピソード1 覚醒 第1章ブレスレット

もう辺りは薄暗くなっている。

とぼとぼと、帰り道を歩く。見慣れた道、郊外の家へ続いている通学路。お店も少なく、ちょっと寂しい感じのの道。話し相手もいない。今日一日の出来事を思い返しながら歩く。

ーあれ?こんな所にお店があったっけ? -ふと気付くと、淡い灯りの灯った洋風建築のお店があった。

店先のショーウインドには、変わった品物が並んでいる。

「へえー。変わった物が置いてあるなあ。」

すると、お店の中から、

「どうぞ、中に入ってご覧下さい。」と、声がかかった。

ーえ? -

ドアが勝手に開いて

「さあ、どうぞお入りください。」と、男の人の声がする。

ーう、うん。少しならいいよね。 -

あたしは、「お邪魔します。」そろそろと中に入って驚いた。まるで中は、宝石箱みたいにキラキラ光っている色んな物でいっぱいだった。

「うわあ、綺麗。」

あたしが目を輝かせて商品を見ていると、奥に居る男の人が言った。

「どうですか、皆綺麗でしょう。」落ち着いた大人の声。

「ほんとに綺麗です。まるで宝石みたい。」

あたしは目を輝かせて品物を見回していると、目の先に白い象牙で作られた様な見事なハープを見つけた。

「これ、とても綺麗でかわいいな。」

思わず見とれているとメガネを掛けた紳士が現れた。

「お嬢さん、お目が高い。これが気に入られた様ですね。」

「え?あっ、はい。」

「では、一度手に取られたら如何ですか。」

「え!?その・・・。」

ーこんなに綺麗なら、きっと高いんだろうな・・・ -

「ははは。お高くございませんとも。むしろこのハープがあなたを気に入るかが問題でしてね。」

ーえ?なにこの人。あたしの考えわかったの?それにハープが気に入るってどいう事? -

「さあ、物は試し。お手にお取りください。」

ーなぜか強引に持たせようとしてくるなあ。でも一度くらいなら、持っても大丈夫だよね。あたしもこのハープ気に入っちゃったし。 -

あたしは紳士の促すままハープに手を掛けた。すると・・・

(ポロン・ポロロン)弦に触れてないのにハープの音が・・・・。

ーえ?なに?あたし弦に触ってないのに・・・。ハープの音は鳴り止まない、それどころか聞いたことが無い様な曲を奏でだした。

ーうん。いい音。それになんだかすごく落ち着く曲だね。すてき。 -

「ははは。」突然紳士が笑い出す。

「お嬢さん、すばらしい。あなたはこのハープに気に入られたようです。」

「は?はあ?」

「どうですこのハープ、お気に召されましたか?」

「え?ええ。」

ーうん。気に入ったけどとても買えないよ。高そうだもん。 -

「ハープもあなたを、気に入ったようです。お代は、あなたのお名前をハープにお教え頂ければ、それで結構です。」

ーは?なに言ってるのこの人。 -

「いえいえ。冗談ではございません。このハープは、持ち主を選ぶのです。今の音色をお聞きになったでしょう。このハープ、普段は絶対に音を奏でません。どんな奏者が弾かせても音は出なかったのです。

ですが、今あなたが手に触れただけで音を出したのです。あなたはハープに認められたのです。いや、ハープはあなたを主と決めたようです。ですからこのハープはあなたの物なのです。さあ、あなたご自身で名を名乗りハープと契約して下さい。そうすれば、ハープはあなたの物となるのです。」

ーまるで魔法のハープね。そんな事あるわけないのに・・・でも、名乗るだけなら・・いいよね。ー

「あたしは、冴騎美琴。あなたと契約する者よ!」

ーははは、ちょっと図に乗っちゃったかな? -

(ポウ・ポウッ・・・)突然、ハープが発光しだした。

ーえ?!うそ?!なにこれ!! -

(ピカアアアーーーーー)

ーきゃあああああっ - ハープが光に包まれそしてあたしもその光に包まれた。

光が消えるとそこにはハープが無かった。

ーええっ?消えた? -

あたしは紳士を振り返った。紳士は、

「御契約おめでとうございます。美琴様。」

「え?ハープはどこに?」紳士はあたしの右手を取り、

「ここでございます。」

ーあれ?いつの間にかブレスレットが -

「これがハープ。聖導器、癒しのハープでございます。」

ー聖導器?って何? -

紳士はにっこり笑いながら、

「守りし者が手にする事が出来る魔法力が篭った品物でございます。美琴様。」

ー守りし者?魔法って・・・あ、頭がピョンピョンするよー。 -

紳士は言う、

「このハープを必要な時は心からそう願うことです。そうすれば、ハープは自ずから出現し、音曲を奏でるでしょう。」

ーあ、そうだ。こんな大切な物を戴く訳にはいかないわ。それに、お店の名前もこの紳士さんのお名前もきかなくっちゃあ。 -

「私の名は取猫、この道具屋白猫堂の主人でございます。冴騎美琴様。」

あたしが振り向くとお店も主人取猫さんもすべて消えて、辺りはいつもの帰り道になっていた。

ーあたし、疲れているんだ。もしかして、頭がおかしくなったのかな。 -

頭を叩こうと右手を上げたとき気が付いた。

ー!、こ、これって! -

右手にはハープを模した飾りが付いたブレスレットを着けていた。

ーうそ、夢じゃなかったて事? -

キラキラ光る綺麗なブレスレットをそっと触った・・・

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