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聖杖物語黒の剣編エピソード1覚醒最終章明日へ

いよいよエピソード1も最終章に突入します。

女魔導士によって、魔龍と化した斗兎鬼と闘いが始まる。

魔龍の圧倒的な攻撃で不利にたたされる虎牙。

魔龍に打ち勝つ手段はあるのか・・・

「ぐるおおおおー。」魔龍が雄叫びを上げ襲い掛かってくる。虎牙兄が剣を振って応戦するが、剣ごと吹き飛ばされてしまう。

ー何でこんなバケモノが・・・・-さっきの女魔導士が一度は倒した斗兎鬼に何か石の様な物を与えたら、斗兎鬼の背中からこんなドラゴンが出てくるなんて・・・・-あたしは、祈るような気持ちで虎牙兄の闘いを見つめている。

ーユキ姉さんは倒れたままだ。どうしよう、助けに行かないと。-あたしは何とかユキ姉さんの所へ向かおうと歩き出した。虎牙兄は、苦戦しつつもユキ姉さんを必死に守って闘っている。

ーあたしには何も出来ないのかな。虎牙兄を、ユキ姉さんを助ける手助けが・・・-自分の無力さが情けなく感じる。

ーユキお姉ちゃん待ってて、今行くから。-必死に心で叫ぶ。

だが、その時ユキ姉さんが虎牙兄の隙を突いて飛んできた触手を見つけて跳ね起きざま、<ザスッ>

ーあ!-虎牙兄の横で、ユキ姉さんは触手に身体を貫かれて、

「い!いやああああぁ!!」あたしは絶叫した。

「ユキお姉ちゃああああん!!」あたしの目の前でユキ姉さんは倒れた。

「うわっ!うわあああああっ!」もう言葉が、言葉が出ない。ただ、絶叫するだけだった。

「ユキ!ユキィ!!」虎牙兄はユキ姉さんを抱き上げて飛び下がった。ユキ姉さんは虎牙兄の胸の中で一言言うのがやっとだった。

「虎牙先輩、ご一緒に闘えて光栄でした。美琴ちゃんを守って・・・さようなら、私の虎牙・・愛して・・い・・ま・・す・・・」

ーうそっうそっうそおぉぉぉっーユキ姉ちゃん、ユキお姉ちゃん。いや、逝かないでえー。ー声にならない。あたしは口をパクパクさせているだけで、腰が抜けた様に座り込んでしまった。

虎牙兄に抱かれていたユキ姉さんの手がぱたりと垂れ下がって、もうピクリとも動かなくなった。

しばらく虎牙兄は何も言わずユキ姉さんを抱きしめていたが、ユキ姉さんの身体が次第に消え始め、光の粒になってやがて聖獣界へと旅立っていった。あたしは泣く事も出来ず、声も上げられず、ただ目の前で起きた事を信じられずにいた。虎牙兄がユキ姉さんを抱いていた手を握り締め立ち上がった。

「美琴、オレは、必ずお前を守ってみせる。ユキとの約束、オレ自身の誓いの為に。」そう言って魔龍に向かい剣を振り払い、

「美琴。オレがどうなっても美琴は逃げろ。いいな、もうすぐ獅道もやってくる。だから迷わず逃げろ。わかったな!」怒りをはらんだ語気で虎牙兄が言う。

ーこんな虎牙兄初めて見た。こんな虎牙兄初めて知った。でも・・-

「嫌!あたしも逃げない。一緒に闘う!」

「逃げろと言っているんだ!美琴!!」あたしは、初めて虎牙兄に怒鳴られた。

「!!あたし、アタシ!」そう言うのがやっとだった。虎牙兄は振り返らず、

「美琴、必ず逃げてくれ。」そう言うと剣を振り上げて言った。言ってはならない一言を。

「超獣滅!己滅技<バーサクビースト>」その瞬間虎牙兄の鎧が弾けて剣と一体化し、巨大な虎の形をした魔獣に変化していく。

「い、嫌!虎牙兄やめて!」あたしは手を伸ばして必死に止めるが、もう間に合わない。

ーいやっ、虎牙兄!やめてっ元に戻って!!-心で叫ぶが虎牙兄は魔龍と闘い始めてしまった。

「すまない、ユキ、美琴。オレはこいつを許せねーんだ。だから・・・」虎牙はバーサクモードに入る瞬間そう呟く。

ーユキ、お前の愛に応えてやれなくてごめんな。美琴、オレのかわいい妹、いや、本当は妹以上に大事な人。特別な存在なんだ。だから、オレは美琴を守る。絶対に守ってみせる。-

「ガオルルルッ!」バーサク虎牙が魔龍の胴に噛み付き肉を抉り取る。苦痛に魔龍がバーサク虎牙に爪をたて振り払う。

ーくそっ、もうタイムアップが近い。意識が持たない。これが最期か!いくぞ!!-バーサク虎牙が雄叫びを上げ魔龍の3本の首に襲い掛かる。真ん中の首に噛み付き、左右の首に爪をたて引き千切った。

「ごおおおっ。」断末魔の声も挙げられず、魔龍は爆発する様に黒いつぶてとなって飛び散った。

ーやったぞ、オレは勝った。うぐぅっ、タイムリミット。意識が消える。-薄らぐ意識の中、虎牙の目には微笑むユキの顔が映った。

「すまない、ユキ。・・・美琴。」泣き顔の美琴が、両手を広げて虎牙を迎えている姿が霞んで見えたが、そこで意識を失った。

次回予告

魔龍には勝つことが出来たが、意識を失い、戻る事が出来なくなった虎牙を、

美琴は救い出す事が出来るのか?

次回!エピソード1覚醒 最終回明日へ<あすへ>

次回も読んでくれなきゃだめよーん。

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