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聖杖物語黒の剣編エピソード1覚醒第3章己滅技<バーサクモード>

ユキ姉さんは右手を高く掲げ、光の弓を持つ。

「美琴ちゃん、虎牙先輩を助けてあげてね、これから・・・。お願いだから。」

ーえ?何?それってまるで別れの挨拶みたいじゃない。-

「ユ、ユキお姉ちゃん!待って!!」あたしの言葉に少し振り向いたユキ姉さんの顔は、優しく微笑んでいた。

ー待って、いかないで、ユキ姉さん!-あたしの差し出した手の先をユキ姉さんは、斗兎鬼と闘っている虎牙兄の元へ駆け出した。

「虎牙先輩!」

「ユキ!大丈夫なのか?」

「はい!先輩!!全力でいきます!!」そう言うユキは、右手の弓で、

「氷の矢<フローズンアロー>」数本の氷の矢が斗兎鬼に突き刺さる。虎牙の剣が触手をなぎ倒す。矢継ぎ早に、

「極火弓<ファイヤアロー>」今度は、巨大な炎の矢が焼き払う。

「ぐおっ、おおおっ!」焼き爛れた身体をものともせず、ユキに腕を振り下ろす斗兎鬼。

「きゃああっ。」ユキが吹き飛ばされ、倒れこむ。

「くそっ!ユキ!」虎牙は斗兎鬼の腕を斬り付けて、ユキの元へ駆け寄った。

「ユキ!大丈夫か?ユキ!」

「はあ、はあはあ。大丈夫です、虎牙・・・先輩。」ユキの聖導服は、マントが千切れ胸から腹部にかけ、切り裂かれている。その裂け目から血が流れていた。

「ユキ、お前、血が・・・」

「虎牙・・・さん、私は大丈夫ですから・・・ヤツに止めを・・・」

「・・・解った。すぐに戻るから、待っていろ。」

「・・・はい。」虎牙が振り向き斗兎鬼を睨む。

「ゆくぞ!」一声吼えて剣を振り上げる。腕を斬り付けられた斗兎鬼は虎牙の一撃をかわし切れない。

「獣破斬<ビーストクラッシュ>」虎牙が吼え剣が振り下ろされる。光の剣波が、斗兎鬼を捕らえた。

「ぐがあああっ!」断末魔の声をあげ斗兎鬼が倒れた。それを見届けた虎牙がユキに駆け戻る。

「やりましたね、虎牙先輩。」ユキが荒い息をしながら、虎牙に言った。

「ああ、ユキのお蔭だ。」そう言ってユキを抱き起こした虎牙の後に何者かの気配が、

「あらあら、もう終わってしまうの?しょうがないわねえ。」斗兎鬼の後ろ、空中に一人の女魔導士が佇んでいた。

ー?何だあれ?-皆が唖然と見つめる。長くたらした髪、露出度の高い場違い感いっぱいの魔導服を着た女が高々と喋る。

「ほーほっほっほっ!斗兎鬼、アンタ弱っちいすぎるわよ。だから低級魔獣は嫌なのよ。全く、だらしないったらありゃしない。」

ーこのシリアスな展開に何者なんだ。こいつは・・・-皆が目が点になっているのをいい事に、女魔導士は続ける。

「斗兎鬼、失敗は身体でつぐわないといけないわねえ。四天王ギガント様から、プレゼントを貰ってきたわ。有り難く頂戴しなさいな。ほら・・・」そう言って女魔導士が右手の拳を開くと、黒い石の欠片が宙に浮かぶ。

「ふふふ、黒の剣の欠片。これが何を意味するか解って?」女魔導士は石を倒れた斗兎鬼に落とす。黒い石は、斗兎鬼の身体にスッと入っていった。

<バキッバキッバキッ>突然斗兎鬼の身体が更に大きくなり、そして虫が脱皮する様に背中が割れ、中から何か得体の知れないバケモノが出てくる。

「ほーほっほっほっ!バーサクモードのバーサクってヤツよ。虎牙坊ちゃん、さあ!どうする?こいつは超強いわよ。逃げてそこの娘を渡しなさいナ。」ビシッと美琴を指差して言う。

「誰が逃げるものか。オレは皆を守る。」虎牙が女魔導士に言い切った。

「そー。それは残念だわ。あの人の子だから逃げるように勧めたのに・・・じゃあ、残念だけど死んで貰うわ。虎牙坊ちゃん、私帰るから後は好きなようにすれば。」

「てめえ、てめえの名は?」虎牙が吼える。

「・・・パクネ。もし生きていたら憶えておいてね。じゃぁ。」女魔導士は、言うだけ言って闇の中へ消えた。

「くそっ、パクネ今度遭ったら只じゃおかねえぞ。」女魔導士の消えた跡を睨みながら虎牙が吼える。

「る、グオオオオーッ!」斗兎鬼だった姿は消え、居るのは、3つの首を持つ巨大な魔龍だった。

「くそぉ、今度は骨がおれそうだな。こいつは!」虎牙が、剣を握り直した。

次回予告

強大な魔龍との決戦は美琴と虎牙に何をもたらすのか・・・

戦いの果て、二人は無事に現世に帰って来れるのか。

次回最終章「明日へ」

次回も読んでくれなきゃだめよーん。

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