Devils
2 夜
「ただいま」
家に帰り宿題を終わらせる。
時刻七時
「行ってきます」
小さな声とドアの開閉する音がする
姉さんは夜になると家を出る
何処へ行くのか何をしているのかわからないもしかしたら遊び歩いているのかもしれないしかしそんな素振りは一度もなかった
いつも僕はあの背中を追うだけだった
何で何も教えてくれない、何でいつも何かを隠す
姉さん、いや黒花。黒花が夜に出歩くようになったのは4年前だったあの日、黒花は何を見て何を思ったの
知りたい、僕の知らない過去を
知りたい、姉さんの見ている世界を
何で何も知らないんだろう、僕は・・・
「・・あれ・・・」
何で泣いてるんだろう
「・・・っくそ」
もう、僕を置いてくな!!
ただそこには、自分に対しての怒りと真実を知りたいと云う好奇心しかなかった
いつ間にか、暗野黒花の背中を追っっていた
自分でも自分をどうしたいのかわからなかった
ただ全力であの背中を追っていた
黒花が行きついた先は、路地をいくつも曲がった寂れた公園だった遊具も壊れ街灯もついていない壊れたブランコがキイキイと風に揺られて音を出していた
こんな不気味な場所で何をしているんだと思った。だが次の黒花の行動ですべて吹き飛んでしまった
公園の端にある一本の広葉樹に近ずく、焦りと緊張がない交ぜになったような感情が瞬きの回数を増やしてゆく
「!!」
瞬きをしている間に消えた
何度も目をこすり目を疑う。自分の網膜にさっきまで張り付いていた黒花の存在が嘘のように網膜に映らなくなっていた。
黒花が消えた原因を探して僕も広葉樹へと歩み寄る、この寂れた公園の中で、それだけが生きていて僕にはそれが魔物か何かのように思えた。
「オイ」
突然後ろから投げかけられる声
「ヒャイ!な、なんですか」
変な声が出た・・・
「誰だ、お前」
身長が180cmくらいあり160ちょっとしかない僕にとっては巨人のようなものだ。暗くて顔が見えないためとてつもなく怖い
「えっと・・僕は・姉さんを追ってきて・・・その・えーっと」
噛まなかったが言葉に詰まりまくっていた
「もしかして、黒花の弟?」
姉さんの名前を知っている!!姉さんのことがわかるかも・・
「は、はい。凌です。黒花の弟の」
声がこわばった
「なあ、」
「ハイ」
「お前これ見える?」
少し砕けた感じで聞いてくる。これと言われたものは小さなマークのようなものだった
「・・・?ハイ、見えますが・・」
恐縮気味に言う
「っえ、マジかー見えんのかー!!」
急に嬉々とした声になりわくわくした雰囲気が周りに広がった
「はぁ、見えますけど」
少々疲れ気味に言う
「なら押してみろ、ぜってー面白いから」
何だろこの人・・押せばいいのか
「うわっ」
カタっという小さな音と同時に縦2m横1.5mくらいのトンネルが幹に開通した先は真っ暗で僕のこれからを表しているみたいでぞっとした
「俺は、悪堂怜士だ。」
軽く名前だけを言ってすたすたと歩きだす
「あのっ、この先に姉さんがいるんですか?」
一番知りたかったことだ
「自分の目で確かめろ」
またすたすたと歩きだしてしまう
姉さんはこの先にいる僕は確信に近い何かを持っていた
「置いてくぞ、凌!!」
怜士の明るい声に背中を押されて僕は真っ暗な闇へ歩き出した