表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

家へ

オイスターソース共々更新が遅れてすいません。

 しばらくして、二人の間で半ば脅迫的な和解が成立した。その結果、ティスの体調があまりに悪いのでひとまずカルの家に行くことになったのだが…

 「何でこんな重いんだテメェは…」ブツクサ言いながらティスを背負うカル。

 意外と良い奴かもしれないというティスの心の声は撤回された。にもかかわらずその背中の温もりが心地よく、安堵が押し寄せてきた。

 冷たい夜の空気を吸い込み、そして―

 「あ、コラ。寝てんじゃね〜よ。余計重くなるじゃね〜か」

 最後に聞こえたのはそんな声だった。

 

 それからカルがどうやって自分を運んだのかは知らない。気が付くと、頭上に大量の葡萄がなっているのが見えた。

 緑溢れる葡萄園と、普通なら木の家があるところなのだが、奥には大きな塔があった。

 「やっと起きたか。ったく。人の服にヨダレなんか垂らしやがって」

 ―カルの文句も気にならないぐらい、ティスはびっくりしていた。周りを見るとなんと、自分達は広大な丘の上にいたのだ。遠くに町らしきものが見えた。

 頭を前に戻す。塔は、白い石造りの岩に扉をつけたようなもので、美しくは無いが葡萄園の風景になじんでいた。

 その扉は、ギイイイィィッというけたたましい音を立てて開いた。

 二人が中に入る。驚いたことに、なかは木造だった。一階は、半円状に部屋を区切る扉がついており、その中からおいしそうな匂いがするところから、その部屋はキッチンらしかった。

 「すごい!ここがあんた(カル)の家なんだ?」言うと同時に、少女らしさを満面に顔を綻ばせるティスだった。


 カルは興奮してきゃーきゃー言ってるティスをイスの上に下ろし自分は額に手を当てて隣のイスに座り込んだ。

 「おい、ルヴィディッド!下に降りて来い!」

 大声で呼ぶと、ガシャ〜ンという破壊てきな音に続いて、小さな男の子が転がり落ちてきた。カルの弟、ルヴィディッドである。

 「あ、兄ちゃん。どうしてこんなに遅かったの?ハイアンさんが『夕食に間に合わないカルなんてオカシイ』ってすごく心配してたよ…」

 ルヴィディッドはそこで顔を上げた。小さな口がぽかんと開いている。

 「兄ちゃん…」

 「何だ?ルヴィ」

 「女の人…連れてくるなんて」

 「しょうがないだろう!兄貴にしか治せないような怪我なんだから!」そして、言いながら八歳の義弟とティスの顔を見比べ、ため息をこらえた。

 二人は実に似ていたのである。


 ルヴィディッドという子は、本当にカルの弟だろうか。

 ティスが六歳ぐらいに見えるその少年を見た時の、最初の感想だった。はっきりいって似ている点はどこにも見当たらず、ルヴィディッドはむしろ自分に似ていた。

 赤毛、泣きぼくろはともかく、輪郭、目元、口元とその全てに漂う雰囲気は瓜二つだった。双方とも互いの顔をよく見た瞬間、(ルヴィディッドにいたっては二度目になる)Oの字型に口が開いてしまった。

 そして、本来の年よりだいぶ幼く見える二人は、同時に言った。

 「これ、誰?」 

感想をお待ちしております!もらった日には多分一日中それを読み返していると思います(笑)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ