海岸にて
「すまないな、仕事を手伝ってもらって」
噴水広場から戦士ギルドに向う途中、外へ向う途中のセラに偶然会った。
仕事内容は、海辺近くに咲く薬草の採取。
薄紫の小さい花が特徴だが、これが結構見つけにくい。
「エリムが居れば、楽なんだけど」
「勇者さん、仕方ありませんよ」
人質にされてしまいました、とユーリ。
「人聞きの悪いこというなよ。まあ、担保みたいな状況だけど」
話は数時間目前に遡る。
「ユーリ兄さま、何かこの首飾りと同等なものを質に入れてください」
「ないと、うっかり売ってしまうかも」
以外と、この双子はしっかりしている。
そして、その視線は久遠のカバンへと注がれている。
「……エリムさん、強く生きてください」
「は、薄情ものヨォオオオオオオ」
「アイン姉さま、着せ替えごっこしよう」
「人形の服、似合うかも」
と、言う具合に双子のオモチャにされている。
「エリムには悪いが……アリアには、結構世話になってるからな」
様々な商品を扱っていることで、アリアは目が肥えている。
下手な安物は、すぐに見抜かれてしまうだろう。
「二人は、こっちでの用が済んだら王都に戻ると言っていたな。その、私的な話で申し訳ないのだが」
セラの言葉に
「何か困ったことですか?」
ユーリが言った。
「弟が、入試に受かって、そろそろ授業が始まっている頃なのだが」
「あ、すげーエリート学校なんだろ」
「そういえば、私と勇者さんは学生区の方には行きませんでしたからね」
何かにつけてはギルドの仕事として外へ出されていた。
「手紙を出しても返事をよこさないのだ。直接会いに行けばいいのだが……」
私も忙しくて、とセラはため息をつく。
「すまないが、王都に戻ったら様子を見てきてもらえないだろうか」
久遠は頷くと
「わかったよ。えーと、名前は?」
「ルカだ。多分、見ればすぐに分かる。田舎では、クローン並みに似てるとよく言われた」
薬草を入れたカゴを地面に下ろすと
「そろそろ休憩にしよう。弁当を持って来た」
そう言って、セラは岩陰に置いていたバスケットを開ける。
「ん? 何やら持って来た時より重いような」
ふわふわの白い物体。
「このパターン、前にもあったような」
久遠は眉を寄せ
「ひょっとして、ラッシュではありませんか?」
「ガゥ」
満腹です、と言わんばかりに白い狼のラッシュ。
「また、お前か!!」
久遠がひっくり返したバスケットから出て、ラッシュは華麗に砂浜に着地。
「なんだか、太りましたね」
「ガ、ガゥ……」
ユーリの言葉に、ラッシュは視線をそらす。
「……困ったな。後は、軽い飲み物のしか残ってない」
セラが手にしてるのは、即席麺。いわゆるお湯入れて3分待つタイプのアレ。
「軽い飲み物?」
首を傾げる久遠に
「ほ、ほら、本当は一人で採取するつもりで……お腹が空くと思って」




