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旅の途中にて

「ただいま戻りました」

広大な牧場に、捕まえた牛を放す。

牧草を食べている様子を見ると、暴れていたのが嘘のようだ。

「いやー、出荷しようと思ったら急に暴れて困ったもんだべ」

訛りのある素朴な牧場主のおっさん。

ユーリの肩に止まったエリムは

「売られるって分かったんじゃないノ?」

「そうですね、動物は勘がいいですから」


「ユニアス遅かったな」

牧場の柵を直していたヴィンセント。

「あはは、なかなか追いつけなくて。クオンさん達に手伝ってもらいました」

苦笑いのユニアスに

「もう少し足を鍛えろ」

「ごもっともです」

「全く、才能はあるのんだが」

そう言って、ヴィンセントは肩を竦める。

そして、さっきから顔をそらした久遠の方に視線を向け

「どこかで、会ったような」

「……よくある顔です」

「世の中には、同じ顔の奴が三人居るって言うからな」

「ヴィンセントさん、頭の怪我は大丈夫ですか?」

ユーリの言葉に

「怪我のことを知っているのか。まさか……」

ヴィンセントは、久遠を睨みつける。

「ユーリ、余計なことを……」

「だって、代理としてグリフォン討伐に加わったなら心配でしょう?」

「勇者殿、仲間の力になってくれて感謝する」

そう言って、ヴィンセントは頭を下げる。

「では、ユーリさんはギフトなんですね」

強いはずです、とユニアス。

「いえ、それほどでも」

かつての傲慢なヴィンセントは、どこに行ってしまったのだろうか。

「い、一体、どんな説明をしたんだ」

「聞いた話ですけど、ヴィンセント先輩は退院した後、別人のように女性に優しくなったとか」

ユニアスが小声で言う。

「気を失う前に、神の遣いである美少女を見た。あれは神の啓示だったのだ……」

天を仰ぐ、いい笑顔のヴィンセントを見て

「この人、大丈夫なノ?」

エリムは、引いている。

「やっぱり、頭の打ちどころ悪かったんですね」

記憶の混乱が見られます、とユーリ。

「セラさんと、仲良くやってるみたいだし……」

面倒くさいことにならなくて良かった、と久遠。


「先輩、クオンさんたちにお礼に食事をご馳走したいんですけど」

「分かった。お前の給料から引いておく」

そっけない態度のヴィンセントに

「えー、後輩の前でいいところ見せようとかないんですか?」

「もともと、お前の不始末だ」

「……ううっ」

ユニアスは苦笑い顔。

「あの、ここのレストランのオススメは!?」

目を輝かせる久遠に

「そりゃ、ハンバーグだべ。裏のレストランで食べれるべよ」

牛を捕まえてくれたので特別サービスだべ、と牧場主おっさん。

「そろそろ、嫁さんのパンが焼けた頃だべ」
















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