ギルドの新米隊員
「……肉が食いたい」
保存食が、そろそろ底をつく。
エリムがリンゴやらブドウを探してくれるが、そればかりでは栄養が傾いてしまう。
「ああ、向こうに見えるのは肉汁が出るハンバーグ……」
「勇者さん、それは石ころです」
ユーリは肩を竦めると
「狩りをしましょう」
「狩りなんて野蛮ヨ」
むぅ、とエリムは頬を膨らませる。
「そうも言ってられません。このままでは、勇者さんが岩に噛みつきそうです」
「……人間さんは、不便ネ」
奥の草むらから、ぴょこんとウサギが顔を出す。
「かわいそうですが仕方ありません」
ユーリはウサギを掴むと
「勇者さん、肉です」
そう言って、投げる。
とっさの出来事に
「変なものを投げつけるな」
久遠は、ウサギを崖下に叩き落としてしまった。
「……」
「ああ、貴重な肉が」
「ウサギ、可哀想ネ」
呆然と眺めているしかなかった。
「こっちのウサギは、ひ弱なんだ。キャッチボールをすると、気を失ってしまう」
「適当に、誤魔化したわネ」
「ど、どうせ食べるなら牛がいい」
「そんな都合よく牛が……「モォオオオオオオ」
前方から暴れ牛が走ってくる。
「だ、誰か止めてくださいー」
その後ろから、中性的な声の主。
「大変、早く止めないと崖から落ちるワ」
暴れ牛は興奮して、周りの状況が見えていない。
「ユーリ、頼む」
「はい、了解です」
大剣を地面に振り下ろし、地面を隆起させる。
その衝撃で、暴れ牛は地面に転ぶ。
「よかった。最後の一匹なんです」
長い灰色の髪を束ねた、中性的な人物。
一目見ただけでは、女性と見間違いそうだが
「骨格は、男性ですね。勇者さんと、似たタイプですね」
冷静に分析するユーリに
「いちいち比べるな」
久遠は、肩を竦める。
「でも、ちょっとオネェ系よネ」
(……でも、何かこの人)
ギフトと同じような感じがする。
視線を向ける久遠に
「えーと、どうかしましたか?」
「なんでもない……」
久遠の腹の虫がなる。
「あはは、実はボク、新米ギルドの隊員なんです」
近くにある牧場主から、逃げた牛を探して欲しいと依頼を受けた。
「一人で、ですか?」
ユーリの言葉に
「いえ、先輩も一緒です。ヴィンセントさんて方で」
「ぶっ」
吹き出しそうになった久遠。
「勇者様、大丈夫?」
エリムに聞かれ
「ああ、いや過去の古傷が……」
「食堂もやってる見たいです。一緒に来ませんか」




