城へ潜入2
「ヤマト様って、浮いた噂、聞かないわよね」
「やっぱり、アヴリル様?」
「あれは、ナイわ。兄妹みたいなものでしょ」
おしゃべり好きの侍女三人組。
「ひょっとして、そっちの趣味が」
「まさか、あんなにかっこいいのに?」
「でも、それなら噂を聞かないのも……」
「やあ、お嬢さん方」
軽快に手を振る兵士見て
「これは、兵士様」
「見回り、お疲れさまです」
「どのようなご用件でしょうか?」
「リネン室の扉、立て付けが悪かったよね」
道具持って来たから直していくよ、と言ったセツナに
「え、気付いていたんですか」
「そんな、わざわざ……」
「なんて、いい人なの」
三人の侍女は、同時に目を丸くする。
城内の掃除に向かった侍女たちと入れ代わるように、セツナとエネーロはリネン室へ向かう。
「ドアの調子が悪いこと、知っていたんですか?」
エネーロに聞かれ
「前に、リネン室にタオルを運んだことがあったからね」
前から気になっていた、とセツナ。
器用に道具を使って直しているのを見て
「 本当に、直すとは……以外です」
目を丸くするエネーロに
「君は、俺を何だと思っているんだい。商人は、ちゃんと仕事はするんだよ」
セツナが返した。
「セツナ様のことですから、考えあってのことと思いますが」
「もちろんさ」
ドアの調子を確認し、リネン室の中へと入る。
「これを、利用する」
「通気口ですか?」
「城には、地下があるって噂で聞いたことがある。神官長、体力に自信は?」
「問題ありません」
これでも毎日鍛えています、とエネーロ。
通気口を、奥へと進んでいく。
下の方から、微かに光が漏れている。
「ヤマトのバーカ」
甲高い子供の声。
(よし、ビンゴだよ)
俺たちはツイている、とセツナ。
(まさか、ヤマト王の……)
ご子息でしょうか、とエネーロ。
(ナイナイ、言い寄る女は結構いたみたいだけど)
そもそも、よからぬ噂はアヴリルに握り潰されているだろう。
(いやー、浮いた噂を聞かないと思えば)
まさかのショタコン、とセツナは笑を堪える。
(セツナ様、人の趣味を笑っては……)
(だって、あの王様が振り回されてるとか)
ヤマトはため息をつくと
「鬼ごっこに、二十回付き合っただろう」
「あと、十回」
「ダメだ。そう言って、また二十回だろうが」
「ケチケチ、このウチューセンカン」
「……宇宙戦艦」
ヤマトは、眉を寄せた。
(こふっ、宇宙戦艦……)
さらに、セツナの笑のツボに入ったのか必死に笑を堪える。
(今の笑う所でしょうか)
エネーロは首を傾げた。




