城へ潜入
王都・城門前
「まさか、貴方から協力して欲しいなんて」
今日はコカトリスでも降って来そうだよね、と馬の手綱を握るセツナ。
その隣には、白いフードで顔を隠した男。
「フェブさんの言うとおり、いい加減な方です」
エネーロは、溜息をついた。
「神官長が不在でもいいのかい?」
「ええ、影武者を用意して来ました」
洗練の儀式で、他の神官よりミカの魔法は強力なものと判明した。
エネーロと同等までとはいかないが、先輩神官がフォローしてくれている。
「セツナさんこそ、いいのですか?」
「お城の探検……なんだかワクワクする響きだよね」
こんな面白いこと放っておけないよね、とセツナ。
「フェブには、ちゃんと説明してるよ」
「は、はぁ……」
「まあ、ヤマト王がキナ臭いってのはちょっと思ってたからね」
注文されていた備品の納品。
そのついでに、城の内部を調査しようとセツナとエネーロは協力。
「どうも、まいど」
「いつもご苦労様です」
門番のクロードが一礼。
「隣の方は?」
「ああ、俺の助手だよ。そんな細かいこと気にしてたら、立派な男にはなれないよ」
「故郷で小さい店を開いてる兄は、お得意様の顔はしっかり覚えておくのが基本と言ってましたので」
「え、俺なんてあんまり覚えてないけど」
(フェブさんが、フォローしてるんでしょうね)
エネーロは、小さく溜息をついた。
「そうですか、失礼しました」
お通りください、とクロードは続ける。
城の倉庫に備品を運ぶ。
「ふう、商人は力仕事ですね」
「結構、重いものもあるからさ」
今日は楽な方だよ、とセツナ。
「セツナ様、箱が残っているようですが」
「じゃじゃーん」
セツナが取り出したのは、王都兵士の鎧レプリカ。
「よく、そんなものを……」
エネーロは、目を丸くする。
「俺の居た世界には、コスプレってのがあってね。いつもと違う自分になれるというか……」
試しに軽量サイズのものを作って見たら、一般人や学校の先生バカ売れだった。
「在庫余ってたからね」
ちょうど二人分ある、とセツナ。
「ああ、まさかドルフィンズが負けるなんて」
「あの場面で、エラーは運がなかったな」
異世界にも、野球に似たスポーツは存在する。
「どうも」
「お疲れ様です」
横を通ったセツナとエネーロに
「待て」
兵士が声を掛ける。
(……まさか、バレたのでは)
「お前ら、新人だな。しっかり食わねえと、討伐任務の時バテるぜ」
「あははは、先輩、超サンキューです。今日は、カツ丼定食5杯は食べますよ」
「おう」
「いやいや、食い過ぎでしょ」
兵士二人は、何事もなかったかのように去って行く。
「セツナ様は、心臓に毛が生えているのではありませんか?」
深呼吸をするエネーロに
「堂々としてれば、バレないよ。君は、少し神経質だね」
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