謎の青騎士
「ここが、そうヨ」
「この入り口、まだ新しいですね」
ユーリの言葉に
「最近、作られたってことか。エリム、お前は外に出ろ」
割れた窓ガラスの小さい穴。
妖精のエリムなら、十分通りぬけられる、と久遠。
「で、でモ……」
心配そうなエリムに
「契約書は、なくなった。自由に外に行けるよ」
そして、新しいご主人様を探した方がいい、と久遠は言った。
「……勇者様、優しいのネ」
分かったヨ、と光に姿を変えたエリムは外に出て行く。
教会の地下と同じく、光石の影響で地下と続く道は明るい。
「勇者さん、見てください」
壁には、何やら時間が書かれた紙。
確認印と書かれた場所に、規則的にチェックが入っている。
「何かの暗号でしょうか」
難解そうです、と言ったユーリ。
「いや、これは……」
久遠は、眉を寄せる。
「スーパーとかのトイレ清掃のチェックに似ている」
「ああ、何時に○○が清掃しましたってやつですね」
「多分、これってあの青騎士の見回り表っぽい」
休憩時間もちゃんとある、と久遠。
「かなり、マメな性格でしょうね」
「神経質とも言えるような……」
開けた場所にたどり着く。
そこには、鎖で拘束された青色のドラゴン。
(やっぱり、デカいな)
細い銀の鎖が、あの巨体を拘束している。
その光景は、かなり違和感がある。
(……弱ってるのか)
(勇者さん、誰か居るようです)
止まってください、とユーリ。
妖精術で姿が見えないとはいえ、気配で気づかれる可能性がある。
「……マイウス、貴様どういうつもりだ」
鋼のように重いドラゴンの声。
「ヤマト王とアヴリル殿の意思に、賛同しただけのこと」
青騎士が、仮面を外す。
シアン色の髪とアクアマリンの瞳を持つ、無気力そうな青年。
「ネフィリムに戻った今なら、人間の愚かさが分かる」
老いぼれは黙って従え、とマイウス。
(……ネフィリムに戻る?)
確かに、ギフトとは違う感じだ。
「……」
青騎士マイウスは、刀を引き抜き
(勇者さん、下がってください)
投げつけられた日本刀を、ユーリが大剣で叩き落す。
(あ、危なっ……)
久遠はユーリの方に視線を向け
(大丈夫か?)
(腕が少し痺れています。そろそろ、時間です)
地面に落ちた日本刀を拾い
「気のせいか」
「……新しい遊びかしら」
マイウスの前に現れたのは、灰色の騎士。
まるで、空間を切り裂いたかのように登場。
「貴方の登場の仕方は、心臓に悪い」
「そんな顔、してないじゃない。それより、第七勇者来てない?」
「……見てはいない」
だが、とマニウスは続け
「ここに、誰かいた気配はある」




