捕らわれたドラゴンの謎
「鎖に繋がれた、ドラゴンですか……」
眉を寄せるユーリに
「ドラゴンって、僕をここに招待した奴かな」
「それなら、鎖で繋ぐ意味はないと思います」
ドラゴンの最終目的は、子供たちと遊ぶこと。
久遠をヴァルハラに招待した第七のドラゴンは、知覚されたところで逃げる必要はない。
「ましてや、勇者さんはこれからミスリルを探しに行くのです」
その情報を、モノリスを通じて知っているドラゴンが、おいしいイベントを逃すとは思えない。
「そうなの?」
「はい、そうです」
ユーリが、頷く。
「倒されなかったドラゴンて、こっちに留まったりしないのか?」
「……勇者さんは、いつでも元気な方ですか?」
唐突なユーリの質問。
だが、ふざけている訳でもなさのうなので
「誰だって、調子の悪い日くらいあるよ。ゲームの主人公みたいに、クエストばっかりやってたら体がもたないだろ」
「その通り、ドラゴンにも好調期というのが存在します」
現在は、第七のドラゴン・ネツアクの好調期。
「僕をヴァルハラに召喚したドラゴンは、ネツアクって言うのか……」
「あれ、言ってませんでした?」
「言ってねぇよ」
「……とにかく、好調期を過ぎたドラゴンは虚数空間に戻ります。人工的にでも捕らえない限り」
ユーリは、久遠から聞いた実数領域の歪みの話を思い出す。
「勇者さん、もしかすると……こういった場所がいくつか存在するのかもしれません」
虚数空間の存在であるドラゴン。
それが、数体も実数領域に留まっていると考えると、歪みが発生するのも当然。
「それが、ヤマト王なのか?」
「いえ、そこまでは」
ユーリは首を横に振る。
「エネーロさんにも、協力してもらってるけど」
決めつけるには情報不足だ、と久遠は肩を竦める。
青騎士が階段を降りるのを見て、久遠たちは二階の執務室を目指す。
「やっぱり、地面に足がつくのはいいわネ」
「僕の頭の上だけど……」
「勇者さん、めっちゃ頭が光ってます」
プププ、と薄く笑うユーリ。
「いいかげん、光るのやめろ」
久遠が、光ってる家付き妖精にデコピン。
「きゃ」
床に落ちたのは、蝶のような透明な羽を持った、手のひらサイズの女の子。
女の子は、メイド服の埃をはらい
「もう、何するのヨ」
再び、久遠の頭の上に腰を下ろす。
「……これ、魔物だよな?」
「魔物は、ドラゴンに従うとはいえ、最近では多様性が進んでいます。ネロさんが飼っている、ラッシュがいい例かと」
ユーリの言葉に
「人間に仕えるのが居ても、珍しくないってことか」
「ワタシ、エリムって言うのヨ」
よろしく勇者様、と妖精は久遠の頭の上から言った。




