ミスリル探して
「ミスリルを扱える、腕のいい鍛冶屋ねぇ」
アリアは顎に手をあて
「……クラインさんかなぁ」
でもねぇ、とあまり乗り気ではない。
「何か問題でも?」
ユーリに聞かれ
「朝から、酒飲んで夜は女とギャンブル」
はっきり言って、どうしようもない、とアリア。
「大丈夫かな? まるで、ダメ親父の最上級版……」
久遠は眉を寄せる。
「オレの父さんは、ギャンブルには手を出さなかった」
「……勇者さん、五十歩百歩って言葉知ってます?」
「五十歩の差はあるってことだ」
ユーリは哀れんだ視線を久遠に向け
「国語の成績、悪かったでしょう」
「お前、途中半端にあっちの世界のことに詳しいな」
人の成績を哀れむな、と久遠。
「あっちの世界とかよくわかんないけど、二人がミスリルを手に入れることが出来たら耳ぐらい貸してくれるんじゃない?」
なんたって幻の金属、とアリア。
「職人なら、勇者の武器を鍛えたってことでステータスになるじゃない」
「確かに、そうですね」
ユーリが、頷く。
「とりあえず、ジンの塔近くで情報集めてみよう」
「本当に、徒歩で行くの? けっこう、距離あるよ」
馬車借りればいいのに、と言うアリアに
「体力つけたいし、それに腕試しに戦士ギルドから依頼を引き受けた」
久遠が答える。
「依頼?」
「廃墟の調査です。取り壊しを予定していた業者が、なんでも幽霊を見たとか」
「そういう事件って、だいたい妖精系の魔物が多いのよね」
特別サービス、とアリアは応急手当てセットの小箱を久遠に渡す。
「いいのか?」
後でぼったくりする気だろ、と怪しむ久遠。
アリアは悪戯っぽく目を細めると
「教会の女性神官のペンダント壊したって」
その代わりになるものを勇者が探している、と目ざとくアリアの同僚が見ていたらしい。
「い、いつの間に」
たじろいでいる久遠の横で
「うふふ、商人の情報侮っちゃダメよ。ユーリさん、私もペンダント欲しいなぁ」
アリアが、ユーリに言う。
「では、何かプレゼントしましょう」
「やったぁ」
アリアは、両手を広げて大喜び。
「女の子って、たくましい……」
久遠は、ため息をついた。
城・執務室。
「聖槍ジークフリートね。さすがに、勘付かれたか」
報告書に目を通したヤマトは
「ミスリルねぇ、困ったな」
「早急に手を回しましょうか?」
アヴリルの言葉に
「彼とは、仲良くしたいんだけど」
ヤマトは、肩を竦める。
「王など、増やさなくともよろしいのでは?」
ヴァルハラの王はヤマト様一人で十分です、とアヴリルは続けた。




