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虚数空間2

「貴方、ギフトは同性でして?」

「うん、共通点なんてないけど」

「ギフトが同性って、人生の半分は得をしてますわ」

どうせなら可愛い女の子が良かった、と瑛琉。

「そういや、二番目の勇者のギフトは小さい女の子だし、四番目の勇者は、クールビューティー美女」

久遠の話を聞いて

「う、羨ましい」

(……ギフトの体が前世の姿だとすると)

確かに、同性の方が気が楽かもしれない。

「あら、えいちゃんの友達?」

お昼ご飯食べていってね、とテーブルの上に置かれたのはナポリタン。

「瑛琉先輩のお母さんは、いい人だ」

お昼にナポリタンなんて、と目を輝かせる久遠。

「私には、ナポリタン食べさせればいいと思ってるだけですわ」

「……そんなこと言うなよ。お母さんの料理は感謝して食べた方がいい」

寂しそうな久遠の様子を見て

「ごめんなさい。配慮が足りなかったわ」

瑛琉は、事情を察した。

「でも、ここは貴方が望んでいるような世界ではありませんのよ」

時間が遅いだけで、現実世界とは変わらない。

「そう思っていますでしょう?」

「違うのか」

戸惑った表情の久遠に

「……ここは、虚数空間ですわよ。私の妄想の投影でしかありませんの」

つまり、ここには全てあるが、何もないようなもの。

「貴方が食べているナポリタン」

ひょっとしたら、そう見えてるだけで靴紐かもしれませんわ、と瑛琉。

「こんなに、美味しいのに」

今、久遠が居る場所は、全てが瑛琉の妄想。

(とても、そうには見えないけど)

「まあ、せっかくこっちに来たのですから、外に行きますわよ」

見せたいものがある、と瑛琉。

公園で遊んでいる子供たち。

「こんにちは、お兄さん、お姉さん」

こっちを見て、元気に手を振っている。

「瑛琉先輩、あの子たち手を振ってる」

ちゃんと意思があるんだ、と言う久遠に

「……少し、ズルをしましたわ」

「今の瑛琉先輩が?」

「こっちに、話しかけるように誘導しました」

こうでもしなければ、あまりにも殺風景ですわ、と瑛琉。

「ひとつ、聞きたいのですけど」

「瑛琉先輩?」

「私、以降の勇者はドラゴンを倒してまして?」

「えーと、二番目の勇者である刹那さんは戦っていない」

三番の勇者は、戦死。四番目は王様、五、六番は行方不明。

「ヤマト王は、倒してるだろ」

王様ってくらいだし、と久遠。

瑛琉は眉を寄せ

「……そう」

「なあ、瑛琉先輩。あの目の前の黒いやつは……」

まるで、この先の空間は抉られているかのようだ。

「これが、見せたかったものですわ」

実数領域の何かが、こちらの世界を歪めている。

「これ、広がるとどうなるんだ?」

「これは、いずれそちらの世界を飲み込む」

やはり、ドラゴンを討っていないことに原因がある。

「久遠、手を出してくださいませ」

「これは?」

錆びた金属の破片。

「復元するか、しないかは自由ですわ」

徐々に、瑛琉の声が遠くなっていく。

「……気をつけて。おそらく、ヤマトと言う方はドラゴンを倒して居ませんわ」









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