ネフィリム
「遠くまで、ご苦労だった」
玉座のヤマトが合図をすると
「お受け取りください」
アヴリルから、久遠に報酬が渡された。
袋の中の金貨を見て
「こ、こんなに……」
最終的に、兵士たちを助けたのはセツナだ。
なんだか、申し訳ない。
「遠慮することはないぞ、第七のドラゴンがこの地にいる間は、クオン殿は私を利用するといい」
それは私も同じことだ、とヤマトは言った。
「城って、緊張するよな」
ユーリは頷くと
「そうですね、兵士の目がピリピリしていたり」
「クロードさんみたいに、話しやすい人もいるんだけど」
いきなりやって来た勇者である久遠を、よく思わない者も少なくない。
「勇者さん、ミルカ商会に寄って服と靴を新調しましょう」
靴が擦り減ってます、とユーリに言われ
「あ、本当だ……」
結構歩いたもんな、と久遠は思う。
エネーロに頼まれた、燭台とロウソクをフェブは教会の倉庫に納品。
「これで全部です」
「フェブさん、いつも助かります」
「あ、そうだ」
フェブは、白いドラゴンの鱗を袋から取り出す。
「これは……ケテルの」
「セツナ様が、遺跡から持ってきたんです。これは、エネーロさんが持っていた方がいいと思って。使い道ないから適当にどっかにやれだなんて、本当にいい加減でしょう」
次もよろしくお願いします、とフェブは馬車を走らせる。
「はい、お気をつけて」
その様子を見て、掃除をしていたミカは
「エネーロ神官長、それ何ですか?」
「ドラゴンの鱗です。特別な効果はありませんが」
「ドラゴンって、怖いイメージしかありませんけど、鱗ってすごく綺麗」
目を輝かせるミカを見て
「良かったら、差し上げますよ。ミカさんなら、大切にしてくださるでしょうし」
「いいんですか?」
♦︎♦︎♦︎
「今日の夕飯、オムライスは最高だったな」
好物一位はオムライス、二位はハンバーグ、三位はナポリタン、と言った久遠に
「勇者さん、マジお子様ですね」
しょうがない方です、とユーリが言った。
「美味しければいいんだよ。新しく、服と靴も買ったし」
気持ちがいい、と久遠は続ける。
「アリアさんも言っていたように、勇者さんは身長少し伸びましたね」
「そ、そうか?」
褒められると悪い気分はしない。
「で、ドラゴンとモノリスの話だけど」
「……そうですね」
真剣な表情をしたユーリを見て、久遠はゴクリと息を飲む。
「洞窟の壁画、見ましたよね」
「ああ、英雄だっけ、あれってちょっと残酷だろ」
人より強い力を持った英雄を人々はあがめていたが、その力が妬ましくなったら排除する。
人間の黒い部分が思いっきり描かれていた。
「……実は、英雄は死んでいません。父であるドラゴンたちに、その魂と体は二つに分けられました」
だいたい、アホでも分かる話の流れだが。
久遠は眉を寄せ
「それが、勇者とギフトとかな」
「さすが勇者さん、その通りです」
(ギフトって、揃って顔立ちが端整だと思っていたけど……)
ドラゴンの子供たち、と考えれば納得できる。
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