勇者の在り方
「ふう、助かった」
「この赤い茶、体が温まるな」
スノーハーピーに、氷漬けにされていた兵士たちを救出。
「まさか、あんな毒々しいキノコが薬になるなんて」
「毒も使い方間違えなければ、薬になるんだよ」
調合用の機材持って来てよかった、とセツナは言った。
「そういう所は、本当に感心します」
フェブは、肩を竦める。
「まさか、ミルラ商会の社長さんとフェブさんが来ていらしたとは」
助かりました、とユーリ。
「ええ、途中でクオンさんとユーリさんの姿を見ましたので」
「フェブが、心配だっていうからさ。あ、俺は小林刹那」
セツナでいいよ、と語ると
「よろしくね、ダイゴロウくんとコジロウくん」
「鳴海久遠です」
「ユーリです」
二人が改めて挨拶すると
「あー、ごめんごめん」
「セツナ様、いい加減おぼえてくださいね」
フェブは、呆れ顔。
「この洞窟にはね、第一のドラゴン・ケテルが居たようだね」
その証拠にこれ、とセツナは懐から白いドラゴンの鱗を取り出す。
「セツナ様、そんな勝手に……兵士に見つかったら、怒られますよ」
「いいじゃない。足元に落ちてたら、当然拾うよね」
悪びれる様子もないセツナに
「かなり、フリーダムな方ですね」
「僕もそう思った」
ユーリの言葉に、セツナは頷く。
「ヤマト王は、同じ場所に潜伏してないか調べていたようだけど見事ハズレだったみたいだ」
「あの、セツナさんはどうやってドラゴンと戦ったんですか?」
久遠が聞くと
「俺、戦ってないよ」
あっさりとした答えが返ってきた。
「え?」
「いやー、会社で機械の部品組み立ててたら、いきなり窓からドラゴンの腕に心臓刺されて、気がついたら異世界。おまけに、勇者だって言われてもあまりピンとこなかったし」
でも、このヴァルハラに来て初めてセツナは思った。
「俺が、大学卒業した時って就職氷河期でさ」
様々な職を転々とするフリーターを続けていた。
「そうすると、だんだん思うんだ。自分は何のために、ここに居るのかって」
そんな時、ヴァルハラに招待された。
「ここの人たちはさ、俺が作ったもの使ってスゴく喜んでくれるんだよ」
だから、セツナはここで商売をすることに決めた。
「俺を呼んでくれたドラゴンは、きっと愛想つかして虚数空間に戻ったと思うよ」
フェブには、申し訳ないことをしたけどね、とセツナは続ける。
「いいえ、セツナ様が決めたことですから」
セツナは頭掻くと
「と、まあ……君から見たら、オッサンだもんな。情けないだろ」
久遠は目を丸くして
「いえ、その……大人だなぁって」
「そう?君は若いんだから、世界救って見てもいいと思うよ」
「は、はぁ……」
「ソラマメ連れて来てるから、王都まで送るよ」
「あ、足が十本位ある生き物とか?」
「あはは、ダイゴロウくんは面白いこというね」
頭の形がそっくりなんだよね、とセツナが話を続けていると
「お待たせしました」
馬車の手綱を握るフェブ。
「勇者さん、見てください。何となく、顔のラインがそら豆に似てる気がします」
ユーリに言われて「馬のことか……」と、久遠は頷いた。




