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神官長エネーロ

「エネーロ神官長、こちら勇者様のクオンくんです」

ミカに紹介され

「始めまして」

久遠は、軽く頭を下げる。

エネーロは眼鏡のブリッジを押し上げ

「お会い出来るなんて光栄です」

抑揚のない声で返した。

それに、あまり嬉しそうに見えない。

(……この人、ギフトだよな)

「体調は、どうですか モノリスの辺りが締め付けられるような嫌な感じがするでしょう」

エネーロは、久遠の状態を言い当てる。

「な、なんで……」

久遠が動揺すると

「モノリスの反発のようなものです。クオン様と、我が主は違うのですから」

「ここに勇者がいるのか!? 僕、色々と話が聞きたくて来たんだ」

「……我が主と話をすることは無理ですが、私に答えられることでしたらお話しましょう。ミカさん、勇者さんを談話室に案内してください」

「はい」


聖堂では信者たちが熱心に祈りを捧げている。

中央の台座に置かれているのは、大きな黒い直方体の物体。

ユーリの言葉を思い出した久遠は

「あれって、モノリス?」

とはいえ、久遠の心臓がわりになっているモノリスは大きさが違う。

「あれは、光輝の書のレプリカですよ」

ミカに説明され

「ああ、本物は公開できないんかよな」


教会・談話室。

不思議と教会に来た時に感じた息苦しさは消えていた。


「我が主も、クオン様と同じ位の歳でした。うるさくて、空気も読めない人でした」

苦笑いしながらも、エネーロは表情が和らいでいる。

「あの、エネーロさんの勇者って」

「最初に、ヴァルハラに召喚された方です」

「……ドラゴンと戦ったんですよね」

久遠はゴクリと息を飲む

「勇者は、ドラゴンを倒す者。ですが、まあ選択は様々あります。その証拠に、ヴァルハラで王を名乗る人物は、現在は一人だけです」

「……それは、ヤマト王のことだよな」

「聖堂の光輝の書のレプリカを見たでしょう」

エネーロは眼鏡のブリッジを押さえ

「あれは、最終的にモノリスがたどり着く姿です。ドラゴンから勇者に渡されるモノリスは、光輝の書の小型端末……とでも説明すればいいでしょうか」

光輝の書には、ドラゴンが住む虚数空間と人間の世界を繋ぐ力がある。

「えー、つまり光輝の書になったエネーロさんの勇者さんが何でもアリな空間と人間を繋いで魔法を与えてるってこと?」

「まあ、そうなりますね。好き嫌いは、あるようですが」

エネーロの主人は、虚数空間と同化しているため会話することは出来ない。

「勇者とドラゴンの歴史を語り継ぐのも、我々ギフトの役割ですから」

「それって、寂しいだろ」

「……我々、ギフトは歳をとりません。あれから、だいぶ時が過ぎましたが」

よくわかりません、とエネーロは続ける。

「エネーロさんは、他の勇者がどうなったか知ってる?」

「ミルラ商会の社長は、二番目の勇者です。三番目の方は、ドラゴンと戦って戦死。五番、六番については詳しいことは分かっておりませんので、行方不明という扱いになってますが」

「ふ、普通に商売してる人もいるのか……」

久遠は頷くと

「ありがとう。参考になったよ」

踵を返した久遠に

「三日後の洗礼の儀式、見学しませんか?」

エネーロが声を掛ける。

「……いいのか?」

「はい。同郷のクオン様が居てくだされば、我が主も嬉しいと思います」















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