7人目の勇者
戦士ギルドと協力してグリフォン討伐に貢献したことを称えられ、翌日、久遠とユーリは王に拝謁することを許された。
「間違いなく、グリフォンの羽」
見事なものだ、と玉座の王の声は意外と優しい。
「顔を上げよ。私も、元々は君と同じだった」
その言葉に久遠は、ゆっくりと顔を上げた。
年齢は、二十代後半の男。クセのある黒髪、腹の底が読めない胡散臭い笑顔が張り付いている。
(……まあ、王様ってゲームでも現実でも大変なものらしいからな)
それは、異世界でも同じだろうな、と久遠は思った。
「あの、同じだったとは?」
「元、勇者だ。あ、こんな格好だけど名前は小田桐大和」
フルネームは久しぶりに言った、とヤマト王は笑う。
「勇者は、何度もドラゴンによってヴァルハラに招待されている。私は、四人目だった」
久遠は、顔を下に向けたままのユーリに横目を向け
「お前、知ってた?」
「聞かれませんでしたので」
「……」
玉座の傍に控えるクールビューティー美女が、コホンと咳払い。
「ドラゴンの捜索には、協力します。ただし、こちらからも条件を提示させていただきます」
ドラゴンの出現により、王都周辺にも魔物が出没している。
王都の戦士ギルドと提携して、人々の安寧に務めてほしい。
♦︎♦︎♦︎
「まあ、直訳するとドラゴン探してやるから雑用しろって話ですね」
戦士ギルドの方に行ってみましょう、とユーリが言った。
「当然、ヤマト王もドラゴンを倒したんだよな」
もっと話を詳しく聞きたかった、と久遠。
「聞いた所で、勇者さんが同じ方法で出来るとは思えませんが」
「そんなこと、分かってるよ。というか、僕の前にも勇者って何人か居たんだろ」
久遠に訝しげな表情を向けられ
「はい、勇者さんで七人目です」
「……他の奴らって、どうなったの?」
微妙な変化だったが、ユーリは表情を曇らせる。
「世の中、知らない方が幸せってこともありますよ」
久遠は眉を寄せると
「ヤマト王の宰相、アヴリルってギフトだよね。あと、フェブもなんとなく……お前と雰囲気似てる」
冗談にも付き合ってくれるが、何処か覚めている。
「……勇者さん」
「なんだよ、お前が教えなくても勝手に調べ」
「きゃ」
思いっきり、前を歩いていた神官とぶつかった。
「人にぶつかりますよ」
「先に言え!! 大丈夫か」
前のめりに転んだ神官の少女に、久遠は手を伸ばした。
「ご、ごめんなさい。ワタシ考えごとを……まぁ」
少女は久遠の胸の辺りを見て
「なんて、不毛な。ご安心下さい、貴方も熱心に祈り続ければきっと……」
「勇者さんは、男です。たまに、引っかかる人が多いですね」
「伊達眼鏡にでもするか……」




