その後の話
久遠が目を覚ますと、白い天井が見えた。
「あれ?」
確か、グリフォンの翼がネロの投げた火炎瓶で焼かれ、金属音が響いた。
そして、目の前が暗転。
「勇者さん、気がつきましたか?」
相変わらず感情の変化が読めない顔で、ユーリが顔を覗き込む。
「ここ、戦士ギルドの医務室だろ……何で、僕は?」
「単刀直入に言いますと、勇者さんはあの後にぶっ倒れました」
アドレナリンで抑えられていたものが、グリフォンを倒したことにより糸が切れた。
「そう、だったのか……」
「お粥です。消化にいいものを作ってもらいました」
トントン、と部屋のドアが叩かれる。
「どうぞ」
「失礼する。クオン殿、具合はどうだろうか」
セラの顔を見て
「もう、大丈夫だよ。この通り、食欲もあるし」
「急に倒れたから、驚いたよ。そうそう、後でギルドの方に来てくれ」
グリフォン討伐の報酬がある、とセラは伝える。
「いいのかな? 僕、倒れたし……」
「何を言っているだ、クオン殿とユーリ殿の協力あってこその勝利だ」
「セラさんは、もう報酬を受け取ったのですか?」
ユーリに聞かれ
「ああ、田舎の弟の進学代に当てている。私と違って、頭がいいんだ。出来ることなら、王都の学校に入学させてやりたいと思っている」
嬉しそうなセラ。
「自慢の弟さんのようです」
「で、では、失礼する」
♦︎♦︎♦︎
「ガゥ」
「よう、調子はどうだ?」
戦士ギルドに向かう途中、ネロとラッシュに会った。
「平気だよ。それより、目当ての物は手に入った?」
「この通り」
ネロは、透明な刀身のナイフを見せる。
「すげぇ、氷みたいだな」
ユーリは目を大きく見開くと
「これは、かなりの代物ですね。おそらく、売る気はないでしょうけど」
「まーな。あの搭、先代の頭領、オレの養父のご先祖が住んでたんだよ」
「あれ、確かジンの塔って暗殺一家の……」
「あー、オレら暗殺一家の末端なんだわ」
色々あって王都から逃げて来た、とネロは語る。
「つまり、元からの盗賊という訳ではありませんね」
「そういや、ちょっと上品だと思った」
前に感じた違和感を、久遠は思い出す。
「ラッシュのやつは、盗賊の奴らが密猟しようと運んでたんだ。たまたま、助けたら懐かれたというか」
すっかり、ネロの帽子の中が気にいってしまった。
「白い狼は、珍しいですからね」
「ジンの塔は、老朽化が激しいけど何とか修理すれば暮らせる。各地に散った同僚に声かけて、ここから新しく始めようと思ってるんだ」
ネロは久遠の肩に手を回すと
「暗殺したい奴が出来たら、格安で請け負うぜ」
「出来れば、世話になりたくないよ……」
久遠は苦笑い。
戦士ギルドで、マクシミリアンから報酬と王都への手土産となるグリフォンの羽を受け取る。
「ついに、王都か」
「グリフォンの羽、一枚でも結構重いですね」
「お前の大剣の方が重いだろ……」
「客観的な意見を、言っただけです」
「……」
「おーい、そこの勇者とイケメン従者さん。乗ってかない」
アリアが、こっちを向いて手を振っていた。




