グリフォン討伐
「もう、何なのよぉ」
馬車は横転、隣町に運ぶ予定だった積荷のケモノ肉はグリフォンが貪っている。
ミルラ商会の行商人アリアは、ゆっくりと上半身を起こす。
「痛いっ、足捻ったかも」
積荷のケモノ肉を食べ終わり、グリフォンの鋭い眼光はアリアへと向けられる。
「い、いや、私なんか食べても美味しく……ない」
逃げられないーー
アリアが目を瞑った瞬間
「グォオオオオン」
光の矢がグリフォンの左目を直撃。
「すっげ、この距離で当たるのかよ」
久遠の放った魔法の矢を見て、ネロは大きく目を見開いた。
「ううっ、吐きそう」
心臓が波打っているのがわかる。
ユーリが出すものもなくなる、と言った意味が分かった。
警戒したグリフォンは、空へと飛翔。
その風圧で押し返されそうになったが
「怯むな、弓が使えるものは攻撃を続けろ」
奴を地上に落とす、とマクシミリアンが指示。
「大丈夫ですか?」
襲われていた行商人を、ユーリが救出。
「あ、あなたはイケメンの従者さん……」
「確か、アリアさんでしたか」
ユーリにお姫様抱っこされ
「もう、これって運命よね」
アリアは頬を赤らめる。
「テントの方に、医師がいますので」
彼女をよろしくお願いします、とギルド隊員に引き渡した。
「こういうギリギリは、久々ッス」
「レナード、外すなよ」
軽口を言い合いながら、正確にグリフォンの急所を狙っていく。
「マクシミリアン隊長、あのグリフォン逃げる気です」
セラの言葉に
「ジンの塔か……よし、追うぞ」
♦︎♦︎♦︎
戦士ギルドのグリフォン討伐隊が、ジンの塔に到着する頃には朝日が昇っていた。
暗殺一家の屋敷だったこともあり、壁画や銅像などが残っている。
しかし、老朽化がはげしく足場は不安定。
「目が眩みそうだ」
足を踏み外したら地面へ真っ逆さま。
身震いする久遠に
「勇者さん、ここから落ちたら頭がカチ割れますね」
ユーリが言った。
「想像させるなよ……」
さっきから何やら小型瓶に黒い粉を詰めているネロに
「何作ってるんだ?」
「秘密兵器。まあ、一回きりだけど」
「なるほど、火薬ですか」
使えますね、とユーリ。
「ガゥ、ガゥ!!」
外壁に出ると、ラッシュが唸る。
「後ろだ。走れ!!」
セラの声が響く。
グリフォンが外壁を壊しながら、討伐部隊の後を追ってくる。
「マクシミリアン隊長、外壁は足場が細く戦闘には向きません」
「最上階で、迎え撃とう」
お前ら急げ、とマクシミリアンが檄を飛ばす。
斧を掲げたマクシミリアンの後に、久遠たちは続く。
さすがに弱っているのか、グリフォンの動きが鈍い。
近接戦が得意な戦士ギルド隊員、マクシミリアン、セラ、ユーリが牽制。
その隙を狙って、久遠は弓でもう片方目を射抜いた。
「グオオオオオオン」
落ちるグリフォン向かい、ネロが小瓶を投げつける。
「皆、伏せろ!!」
爆音。巨大な鳥は、一瞬にして炎に包まれた。




