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駆除人  作者: 花黒子
『遥か彼方の声を聞きながら……』
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『遥か彼方の声を聞きながら……、2年目』55話「駅伝初日の伏兵現る!」


 快晴。カラッと乾いた風が竜の駅を通り過ぎていった。

 いつもは冬の冷たい空気も、今日ばかりは熱気に包まれている。


 各国、総勢60名の選手と交代の選手で100名以上の選手が開会式に参加。さらに500人ほどのサポーターも来ている。


「それでは身体を冷やしても仕方がないので、第一回駅伝の説明を始めます!」

 拡声器で選手たちに告げ、ラジオ放送も開始。

「係員の方は、ルートを描いた地図を配布してください。いくつかポイントがありますので、迂回しても構いませんし、空を飛べるなら空を飛んで行っても構いません。ただし、チェックポイントの竜の駅には4人全員揃っていることが条件です。4人いない場合、もしくは怪我や病気、呪いなどによって動けない場合は棄権となります。また、チェックポイントにて蓄魔器が明るく光っていない場合は出発できません。選手交代は竜の駅のみとなりますので、ルール厳守のほどをよろしくお願いいたします。不測の事態に関しては、その都度管理委員会の方でも対処いたしますが、選手、サポーターの方々もご協力のほどをよろしくお願いいたします。また、一般の観客、アリスフェイの国民に対する相互協力は構いませんが、恐喝、暴行等を発見した場合は、管理委員による排除をする場合がございます。ご了承ください」


 ルート説明と地図を配った段階で、駅伝管理委員長の仕事はほとんど終わっている。あとは無事を祈るばかりだが、俺にはラジオ局員としての仕事も残っている。マイクをウタさんに渡して、アンテナが付いている風船の紐の長さを調節した。


 ミストやグイル、ヒライが緊張した面持ちで準備運動をしている。結局、学生たちは初めから走るらしい。アーリム先生とかもいるのがどういうことなのか意味が分からないけど、どうにかレベルチェックは通過しているらしい。

 それよりも世界樹の管理人たちがどういうわけだか、選手として走るらしい。皆呪いの腕輪を付けているので、無理やりレベルを下げているらしいが、世界樹は大丈夫なのか。


「大丈夫なんですか?」

「ん? 世界樹? 竜と新人たちに任せてきたけど、大丈夫でしょ?」

 メリッサ隊長が言うには、南半球は真夏で魔物たちも暑さぐったりしているから、問題はないらしい。


「それより魔法は使えないってルールまでかけられているんだけど、運営の管理委員長でしょ? どうにかならないの?」

「メンバーを見てくださいよ。どうにかなりそうですか?」

「……ちっ。次から人類最高戦力を審査員にしないようにね」

 

 コムロカンパニーも勇者一行も世界的に名の知れた人たちだ。レベル50に制限を設けなければいけなかったのは、この人たちがいると大会にならないからだ。


「でも、審査員でもやってもらわないと、逆にいろんな国がサポーターとして獲得に乗り出すんじゃないかと思って」

「それもそうね。まぁ、いいわ。久しぶりの北半球だから、私たちは純粋に駅伝を楽しむわ。交代選手はほぼいないけどね」

 ちなみに竜たちは世界樹のドワーフたちを全力で応援している。竜の学校が近いというのもあるけれど、応援しないと後が怖いからだろう。


「何か言った?」

「言ってません」

 世界樹の管理人たちの実力を示すことも、駅伝に出た理由かもしれない。


「始めるよ」

 ウタさんが呼びに来た。

「了解です」 

俺もラジオ送信機の機器を背負い、空飛ぶ箒に飛び乗った。すでにアンテナの風船は空に浮かんでいる。審査員たちに風船を割らないようにと注意を促し、緊張するウインクのもとへと向かった。


「ウインク、定刻通りにスタートの宣言をしてくれ」

「了解。メルモさんが、珍しく鉢巻をくれたんだけど……」

 おそらく防御結界の魔法陣が仕込まれたものだろう。


「額に巻くかたすき掛けをするかどっちにする?」

「たすき掛け」


 俺はウインクにたすき掛けをしてあげた。背筋が自然と伸びる。


「いきます」

 ウインクは大きく息を吸った。周囲の選手たちも雑談を止めて、全員竜の駅の敷地内に入っている。いい緊張感だ。審査員たちはすでに各地に潜伏したり、空を飛んだりして自由だった。


 遠く、王都の教会から鐘の音が聞こえてきた。

 定刻。


 パァアン!


 ウインクが手にした蓄魔器から破裂音が鳴った。拡声器にもなるし、ちょっとした合図にも使える。


「駅伝、スタートォオオ!」


 選手たちが一斉に走り始めた。


 魔族領のグリフォンの青年が、人化の魔法を解いて、空へと舞い上がる。


「やはり魔族領の選手は空を飛びます!」


 ウインクは俺の空飛ぶ箒にブランコのように縄をかけて乗り、マイクを握っている。片手には選手たちの名簿を持ち、足で縄を挟んでいた。相変わらず、器用な奴だ。


「ああっと! グリフォンのグリフ選手に何かが飛んできました! 避けられないぃいい!」


 グリフォンの選手は突然成長した大きな蔓に絡まれて、地面に頭から着地。他に空を飛ぼうとしていた選手たちも呆然とその様子を見ていた。


「悪いな。そんな大きな的があったら、こっちだって邪魔くらいするぜ」

 声の主は傭兵の国から選手として出ているスナイダーさんだった。


「ぎぁあ!」

 グリフォンの青年はあっさり、蔓に魔力を奪われ魔力切れを起こした。

 そのグリフォンの青年をひょいと担ぎ上げる僧侶がいる。

「これくらいがちょうどいいハンデね」

 ゲンズブールさんの奥さんだ。


「マジコ!」

「うん」

 グリフォンの青年はマジコの背負子に縛り付けられていた。


「想定内だった! 問題ないのか!? 魔族領!」

 実況のウインクが叫ぶ。


「傭兵の国は、今回敵同士ってことでいいわけね?」

 マジコがニヤリと笑いながら聞いていた。

「当り前だ。金も出さないのに傭兵を雇えると思うなよ。それから、グリフォン以外にも空を飛ぼうとした選手がいるみたいだが、死者の国の選手と世界樹の姐さんたちがちょっと動き出していたからな。気を付けることだ。俺たちが一番安全な対処だったと思うぜ」

 スナイダーさんは、そう言って走り去っていた。

 ミストたち死者の国の選手と世界樹の選手たちは最後尾から走ってきているが、皆、「バレていたか」と顔を地面に向けていたが、何か会話をしているのかもしれない。共闘するつもりだろうか。


「やはり駅伝は走るしかなさそうですね。そんなことをしている間に、先頭グループは山道に入っていきます! 申し遅れました。今回駅伝の実況を担当するアリスポートラジオ局局員のウインク! 空飛ぶ箒の操縦はコウジ・コムロでお送りいたします!」


 俺は後方の選手たちから離れ、先頭集団へと箒の先を向けた。

 空から見ているとよくわかるが、山を登るのにもちゃんと山道を行く選手もいれば、坂を駆け上がる選手たちもいる。アペニールは山が多いからか、アペニールの選手たちは一直線でチェックポイントの竜の駅に向かうようだ。

 ウェイストランドのダークエルフたちやシャングリラの小人族はなるべく蛇行しながら回り道を選択している。序盤は体力を温存していくつもりらしい。


「各国選手たちでここまで戦術が変わるのでしょうか?」

 誰に聞いているのだろうと思ったら、ウタさんが飛んで近くまで来ていた。


「遠くの国からやってきている選手たちは疲労も考えて走っているよね。特に雪の山道は足を取られがちだから、アペニールの選手たちもこのまますんなりいくとは限らないと思うよ」

 ウタさんはちゃんと解説してくれていた。


「先頭集団もどんどん分かれていきますね」

「山道には分岐点が多いから、どの道を選択するかによって順位も左右される。見ればわかるけど、普通の行商人たちもいるからあまり通行量の多い道を避ける方がいいのかもね。でも、一応行商人たちにも通達はしているんだよね?」

「ええ。駅伝があることは知らせてありますし、役所や領主、商人ギルドへも許可を取ってあります」

「まぁ、お正月だから、商人たちからすれば一年のうちでも稼ぎ時。邪魔しないで上げてほしいんだけど……!?」

「ルージニア連合の第一グループでしょうか! 行商人から保存の利くパンを買っているようです! ルール上は問題ありません!」


 周辺の環境も利用して構わないので、商人がいれば商品を買っていってもいいことになっている。商人たちも選手たちにふっかけるようなこともなく適正価格で売っているようだ。


「おおっと、北極基地の選手たちは山の中で何かを見つけてしまったようです! 山道から大きく離れてしまった!」

「北極基地は全員が研究者ですからね。駅伝よりもアリスフェイ王国の森に関心があるのかもしれないね」

「探求心に余念がない!」

「いや、走れよ」


 日が高くなり、徐々に気温も高くなってきた。


「冬ですが、走っていれば身体も温かくなるのでしょうね。ローブを着た選手たちが、一斉に脱ぎ始めましたね。エディバラの選手が足に何か付けているみたいですけど……、あれはなんですか?」

「たぶん、歩行を補助する魔道具だ。開発者も選手として出場しているけれど、長い距離を走ったり、重い荷物を運んだりするときに使うんだそうだ」

「魔力も使うんですよね?」

「もちろん。だから蓄魔器の魔力は結構使うんじゃないかな。その分、魔力の補充に時間はかかると思うけど」

「なるほど。一応、蓄魔器は各国一つづつ持っていますけど、どう使うかは選手たち次第ですからね。今のところ、使っているのはエディバラの選手たちくらいでしょうか」

「いや、そんなことはなさそう」


 グレートプレーンズの選手やルージニア連合国は蓄魔器を背負子に乗せて、保温機能のある魔法陣の銅板を使って周囲を温めているようだ。クールボックスになると思っていた機能だが、身体を温めるために使うとは思わなかった。


「グレートプレーンズの選手もルージニア連合国の選手もすでに蓄魔器を使いこなしているんですかね?」

「火の国もだよ」


 火の国の選手たちは、先頭の選手が蓄魔器を抱え、目の前に防御結界を張って風よけを作り、4人列になってなるべく風の影響を受けないようにしている。さらに山登り用のストックを全員持っていて同じ速度で山道を登っていく。連携もきれいだ。


「速い! 山を登っているとは思えないほど走るようなスピードで登っていきます」


 他にもエルフの国の選手たちは最後尾の選手が、蓄魔器から温風を出し追い風を作りながら駆け上がっていくし、シャングリラの選手たちは荷物を軽くする背負子に蓄魔器と一緒に二人を乗せて、交代で山を登っていくようだ。


「シャングリラの背負子は浮遊魔法の一種を使っているのでしょうか!?」

「格段に重量は軽くなっているだろうね。小人族はその体の小ささを活かしている」


 怖いのは後方からやってくる世界樹の管理人たちと北極大陸の研究者たちだ。どこかの選手が作った道をそのまま使って追いかけていく。傭兵の国の選手もアペニールの選手も十分に警戒しているようだが、まだ実力を測りかねているらしい。


「まだどの国も様子を見ているのでしょうか。先頭は依然として魔族領のようです。山で休憩はせずにそのまま森へ下っていきます。こちらの道の方が近道ではありますが……」

「そこそこ強い魔物が多い迷いの森だからね。それぞれの国の対処法が見れるかも。それじゃあ、私も審査に入るから」


 そう言って、ウタさんは森の中に紛れていった。


「遠くに塔が見えますが、あれは前の校長の研究所でしょうか? ルートを作った本人としては遠回りをした方がいいと思う?」

 ウインクは唐突に上を向いて俺に聞いてきた。


「いや、レベルが50近くであれば、それほど問題はない森だと思うけど、混乱とか眠りとか幻惑系の魔法を使う魔物が多くいるから、対処法がわからないならどれだけレベルが高くても遠回りした方が圧倒的に早いと思うよ」

「おおっと、今のラジオを聞いていたからでしょうか。魔族領とルージニア連合の選手たちが迂回路へと走っていきます。ああっと、死者の国の選手たちはここで魔物と戦闘を繰り広げることにしたようです」


 ミストたち死者の国の選手は、杖を手に取り、魔物たちと戦い始めていた。アラクネやラミアの他に、骸骨剣士もいる。どうやら魔物と死霊術対決をしているようだ。

 ウェイストランドのダークエルフたちもどうにか魔物を使役しようとしているが、完全に足止めをされている。

 アリスフェイ王国の選手たちも森の中に入っていったが、雪を巻き上げながら走り、いつの間にか白い煙に包まれて消えてしまった。魔物から逃げられるのだろうか。


「おおっと、近づくと魔物の歌声が聞こえてきますね。離れるしかなさそうです」


 眩暈がしているというウインクのために俺は上空へと逃げた。遠くからしか見えないが、シャングリラやエルフの国の選手たちが苦戦する中、傭兵の国と世界樹の管理人たちは枝から枝に飛び移りながら、移動していた。もちろん、両チームともに耳栓とマスク、軍手を着用していた。


「こういっては何ですが、本職というのはやはり別の道が見えているのでしょうか。地図に描かれた道だけが道ではなく、通れる場所を道と呼ぶ! 異常な光景を目にしています!」

 北極大陸の研究者たちは、魔物除けの音や煙を試すように、周囲の雪を緑に着色しながら進んでいる。審査員たちも笑っていた。

 コムロカンパニーも勇者一行も実験は好きなはずだから、ポイントが加算されそうだ。


 塔がある迷いの森で一気に順位を上げた傭兵の国がトップに躍り出た。


「やはり近道の方がよかったのか。それとも体力を温存した方がよかったのか、順位はこの森で大きく変わりました!」


 ここで一気に順位が変わることは想定していたので、ルートを選定した俺としても予想通りだ。

 そして再び山道へと入る。ただ、道幅は狭くなり、凍っている箇所も多い。

 山道には風が吹きパウダースノウが舞う。傭兵たちも世界樹の管理人たちも十分に余力を残して、駆け上がっていく。いつの間にか時刻は昼を過ぎていた。


「先頭は傭兵のく……、いや、違います! 先頭にいるのはアリスフェイ王国だぁああ!!」


 パウダースノウの中から、いつの間にかアリスフェイ王国の選手たちが現れた。


「姿くらましの魔法でも使っていたのでしょうか……」

 

 グイルとヒライを含む四人の選手たちは、おもむろに白いコートを脱いでいた。


「違う! ただの白いコートぉ!?」

「雪原では一番効果のある擬態だよ」

「今の今まで気づきませんでしたが、どうして彼らがいるのか!? なにかチートでも使ったのでしょうか」


 呆然とアリスフェイ王国の選手たちを見ていた俺たちの近くまでドヴァンさんがやってきてくれた。


「審査員のドヴァンだ。探知スキルで見ていたが、アリスフェイ王国はなんの魔法も使っていない。アイテムの使い方が上手いだけで、実直に森の中の小道を走り抜けていたよ。ただし、白いコートだけで、あそこまで雪道にカモフラージュしたのは選手たちの技術の高さだ。俺たち審査員が見たいのはこういう技術も含まれている。おそらくポイントを加算した審査員は多いと思うぞ」

「ありがとうございます! アイテムも使い方次第ということですね!」


 アイテムの使い方はマジコの方が上手いだろうが、アリスフェイ王国の選手たちは使いどころを見極めていたらしい。強さで劣っていても、知恵と技術さえあれば駅伝には勝てる。それが証明された瞬間でもある。


 アリスフェイ王国の選手たちは、竜を崇めていた村へと辿り着き、村人たちから歓迎されていた。


「宿ならいくらでも空いているから、うちで休んでいってくれ!」

「酒は要らないか!?」

「温かい饅頭を用意しているよ!」


 選手たちは食べ物だけ受け取って、竜の駅へと急いでいた。傭兵たちも世界樹の管理人たちもすぐ後ろに迫っている。


 竜の駅はすぐ近く。サポーターたちが待ち構えていて、駅にある風呂は沸いていた。


「よーし! トップ通過だ! ゆっくり休んでくれ!」

 アリスフェイ王国のサポーターは総合学院の僧侶科で働く主任先生だった。


「時間はある。ここで、焦らずにじっくり体力を回復させよう。日が暮れる前に辿り着いてくれてよかった。日の出前に出発しよう!」

 夜は走らないことにしたらしい。

 すぐ後ろの傭兵たちも竜の駅で一泊するらしい。休んでいる間に蓄魔器に魔力を補充する。しっかり死霊術を使って、補充していた。


 選手交代も行われるようだが、グイルとヒライはそのまま残るらしい。若い学生たちの方が体力はある。


 世界樹の管理人たちは、蓄魔器に魔力を補充したらそのまま出発していた。夜間でもあまり変わらないと思っているのだろう。その様子を見て後続の魔族領や火の国、エディバラの選手たちは焦っているようだ。選手を交代して、すぐに出発していた。各国の戦略もあるのだろう。ただ、夜道は危険だし、今夜から天気は崩れるらしい。


 死者の国も、魔力を補充次第出発していた。ミスト以外は交代している。


「学生たちは交代しないのかな」

 ウインクのラジオ実況も先頭集団が竜の駅に到着した時点で、ジルがいる学校放送へ切り替えた。送信機も魔力を補充しておかないと。


「まだ疲れていないのかもしれないよ。きつそうな顔はしていない」

「意外と走れることがわかったからかもよ。他の選手よりも落ち着いている気がする。アリスフェイだからかな」

「そうかもしれない。ラジオの声も聞こえているしな」

「そうだといいんだけど」

 グイルもミストも、小型ラジオは持っていた。他の選手たちがどこにいるのかわかるから、情報は大事だ。


「ここから夜を徹して走る選手たちもいるんだろう?」

 迷いの森の塔で寝ていたアイルさんが、セスさんとメルモさんを連れてやってきた。3人とも冬だというのに、薄着だ。ローブかツナギぐらい着た方がいいと思うが、近づくとものすごく暖かい空気が周囲に漂っている。


「見ておいてもらっていいですか?」

「うん。そのために寝だめしておいたから。よーし、饅頭でも食べながらいこうか」

「ポイントの審査もお願いしますね」

「ん~、やっておくよ」

 コムロカンパニーの人たちは、意外とちゃんと動いてくれるのが不思議でならない。


「あの……」

 俺はセスさんを呼び止めてしまった。

「ん?」

「なんで駅伝に協力してくれるんですか?」

「面白そうだからだよ。強くなっちまうとさ、移動方法の選択肢も限られてくるだろ? でも、この駅伝では振り絞った知恵が見られる。やっぱり頭の数だけ人間の発想って違うんだよ」

 そう言ってセスさんは白い歯を見せて笑っていた。

 ウインクはそれを見て、「危うく告白しそうになった」と言っていた。


「実況、面白かったよ。明日も頑張って!」

 メルモさんに励まされて、俺たちも竜の駅で休むことにした。


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