『遥か彼方の声を聞きながら……、2年目』40話「繰り返した実験と失敗作の山から生まれたあまりにも単純なこと」
「コウジ、あの人やべぇぞ」
ゲンローが、マジコの印象を語り始めた。鍛冶屋連合に入ったマジコは、大掛かりな罠を作りまくって森で試しているという。
「というか、素材の知識もすごいのよ。夜でも追跡できるって服にくっつく光るオナモミの実も作ってたし、夜間作業中に鍛冶場を照らせるようにってアラクネの布で作った風船を導入してた。実際、明るいんだけどね」
鍛冶師のダークエルフが目を丸くして、マジコのすごさを伝えてきた。
「で、結局マジコさんは鍛冶場で何を作ったんですか?」
「ああ、スコップだ。木の根も斬れるような鋭いやつを自分で作ってたから、文句は言えないよ。研ぎ方のアドバイスはしたけど」
「物の扱い方はすごい丁寧だと思いますよ」
「そんな気がする。鍛冶場に入ってきたらすぐに掃除を初めて、物の位置を全部覚えていたし、わからない道具はとりあえず使っている人の手元を見て、力の調節を確かめていたんだ」
「邪魔してなかったですか?」
「逆に手伝ってくれてたよ。二日目には欲しい道具がすぐ手の届く範囲に置いてあるし、罠を見せたら、改良するって言って森の中に入っていっちゃったし。魔族の編入生って皆あんな感じ?」
「魔族にもいろいろいますから、マジコさんが普通だと思わない方がいいですよ」
鍛冶屋連合の皆が俺の後ろを見ながら、視線をそらした。
「人の悪口言ってる?」
マジコがすぐ後ろにいた。
「言ってません。マジコさんはすごいから気を付けた方がいいって話です」
「どうでもいいけど、魔石の粉があったと思うんだけど、実験で使うから分けてくれない?」
「構わないよ」
「よかった。ありがとう。コウジも手伝ってくれない?」
「何の実験です?」
「人工的に魔石を成長させたら、どれくらい大きくなるものなのか……」
「はぁ?」
「私たちは魔力はたくさん使っているし、魔石も何度も触ってるから、なんとなく知った気になっているけど、魔石そのものについての研究ってあんまりしてないのよ。魔石の欠片ってそんなに長い時間あるわけじゃないでしょ? いつの間にか、丸く変化してない?」
「あ、本当だ! なんで?」
「それを実験してるのよ。落とし穴を作っている途中でひらめいたんだけどね」
「やりましょう! 手伝います。どうせ今日は休日だから、ラジオくらいしか予定はないんです」
「コウジは毎日ラジオを流してるの?」
「毎日ですよ。趣味ですからね」
今もラジオから、花屋の学生に聞いた季節の花のインタビューが流れている。録音機材があると、生放送や音楽をかけている間に、動けるのでかなり幅が広がった。
貴族連合だけでなくセスさんの運送会社などから宣伝料を貰っていて、衛兵局や冒険者ギルドなども緊急速報のために協力金を出してくれ始めた。
正直、自分たちでやっているからいいと断っていたのだが、俺が暴走しないように他の学生や大人の意見も俯瞰して見れた方がいいというラジオ局会議があり、よくわからない会社じゃなければ資金提供を受けることになった。
ただ、ラジオ局の4人とも給料を受け取らないので、必要な時のためと大事に保管されている。今のところ、火の国から録音機材とマイクを輸入したくらいだ。
「ほら、持って!」
「はい」
なぜか少年時代に世話になった人の頼みは小さいことでも断れない。
森の中ではリュージとシェムがすでに落とし穴を広げる作業をしていた。リュージはどうせ手伝う羽目になることは予想できたが、シェムまでいるとは思わなかった。
「シェムさんもいるなんて、どういう繋がりですか?」
「ダンジョンで珍しく罠作っている人がいて魔族の国からやってきたって聞いてね。作った罠を見てたら、ものすごい上手いからちょっと友達になっているところ。友達のなり方、あってる?」
「あってると思いますよ」
「ああ、よかった。私、同期に友達少ないから」
確かにダイトキとばかりいるからか、あまり他の同級生と関わっているのを見たことがない。
「しまった。友達少ない人キラーが出てしまった」
マジコはボソッと言っていた。
「なんですか、それは?」
「ウタもそうだけど、昔はコウジも友達少なかったから、私を通して他の人と話していたでしょ。先に言っておくけど、リュージもシェムも自分から友達を作りに行かないとダメだからね。竜なんて特に黙ってたら、すぐひきこもるんだから」
「はい……。家庭科の授業で甘いものを食べてたら、眠くなりすぎて困るんだ。だけど、食べないと悪い気がしてさ」
「それ。食堂で配ればいいんじゃないか」
「ああ、そうか。そうしよう」
「シェムはお寺で世話になってたんでしょ? だったら、今はもう世話する側だからね」
そう言えば、パレードの時、駆け込み寺のようなところで世話になったと聞いた。アイルさんは師匠だが、ずっと生活を見ているわけではなかったのだろう。
「あ……、そっか……。うわっ。皆、こんな気持ちだったのかな。受け入れられないんじゃないかって思っているのはお互い様だったんだね」
シェムはそう言って、俺を見た。
「コウジは、もうその感覚はないでしょ?」
「ないかもしれませんね……。前はあったような気がするけど。今はどうやれば会話が面白くなるかを考えているかも。ラジオでいろんな人のインタビューをし過ぎたからかもしれません。人として、家族が死んだ直後の人とか家や大切なものを失った直後の人にインタビューをしないようにしようとか、そういうことは思いますけどね。あとは忙しそうに働いている人とかには話しかけません。怒られるって言ったら、それくらいじゃないですか。あとは別に話しかけて、どう思われても別に……」
「コウジは元々変だからね。というか、ここにいる人たちはどう思われてもいいと思っているでしょ。承認欲求ある? 褒められたいとかちやほやされたいとか思ったことがない?」
マジコは話をしながらも、どんどん作業を進めていた。魔石の粉や吸魔剤、石灰、魔水などなどドボドボ落とし穴に入れていった。おそらくダンジョンの在庫から持ってきたのだろう。使えるものは使い倒すつもりだ。
「承認欲求よりも自分に認められたい方が強いけど、ナルシストなのかな?」
シェムはそんなことを考えたこともなかったようだ。
「そういう自己愛もあるでしょうね」
「自己愛じゃなくて探求心が強いってことなんじゃないですか。他を差し置いても重要なことを見つけてしまっているということなのでは?」
「ああ、それは本当にそうなんだと思う。でも、人気があると楽な部分もあるだろうなとはコウジを見ていて思うよ」
「俺に人気なんてあるんですかね」
「あるだろう。体育祭でも優勝しているし、南半球での活躍も聞いてるんだから……」
リュージは竜として、勇者の国の騒動の時に世界樹に入れなかったことを悔やんでいた。
会話の合間にマジコから「ゆっくりかき混ぜて」と指示が飛んでくる。
「それは目立ってるだけで人気とは違うんじゃないかな。知名度が高くても好かれているわけじゃないでしょう。普通に嫌っている人もいるだろうし、俺も誰からも好かれようとは思ってないよ」
「まぁ、そういうのは無理だよね」
「でも、ラジオ局にいるルームメイトたちが笑ってくれるようなことはやっていたいのはありますね。たぶん、俺の自己顕示欲はそこだけかな。あとはどうでもいいや。怒られたくない人はいますけどね」
「それは私もいるね。アラクネおばさんって覚えてる?」
大統領の城勤めをしているアラクネさんだ。多くの浮名を流しておきながらも、結局は魔族の国の外交に注力し、未だ誰とも結婚していない。本人は「城で多くの子の成長を見守らせてもらえたから、寂しい瞬間なんて一度もなかった」と言っていたのを思い出す。
「覚えてますよ。中途半端なことが嫌いで、泥だらけになっても喧嘩しても怒らないけど、やりっぱなしは物凄い怒られましたよね」
「そうそう。私にいくらか品性が備わっているのだとしたら、アラクネおばさんのお陰だよ。嫌われたら下品になったってことだから」
マジコは長いスカートに色付きのシャツを着ているが、俺たちほど汚れていない。動きが洗練されているのだろう。
「あ、見てよ。これ以上大きくならないのかな?」
マジコが網で掬い上げた魔石を見せてきた。拳大にもなっていない小さなものだった。
「しかも脆い」
人工で作った魔石はガラス細工が割れるように、脆く剥離していった。
「傷がつきやすいから透明度も低いね」
シェムが日の光に当てていた。
「何らかの圧力をかけた方がいいのだろうな……。火でも吹きますか?」
リュージなら落とし穴全体を温めることもできるだろう。
「お願いするわ。熱はほとんどの魔物にあるものね。コウジ、魔力の棒でかき混ぜてくれる?」
「わかりました」
リュージが炎のブレスを吐いている間中、俺は魔力の槍でかき混ぜていた。
「え? なんでコウジは燃えてないの?」
シェムは俺が燃えていないことの方を不思議がっていた。
「いや、身体の表面に魔力の膜を張って、冷やしていれば燃えないですよ。竜と生活しているとしょっちゅう炎にさらされるので、いつの間にか身についてました」
「見てよ。さっきと全然透明度が違うわ。大きさはそれほど変わらないのにね」
マジコが魔石を見せてきた。
その後も、俺が性質変化で粘着性を上げたり、落とし穴の中に振動を与えてみたりしたが、結果は同じ。
「ってことは人工的な魔石を作った場合、短期間で大きくなる限界が拳大ってこと?」
「だから、冒険者ギルドにとっては大きさに価値があるのかもしれませんね」
「ああ、結局たくさんできちゃったな。大きい魔石を作れれば、冒険者ギルドで売れると思ったんだけどな」
「それができれば、誰かが魔石工場をやっていますよね」
「あ、そうか!」
マジコの皮算用は無残にも散っていった。
片付けは速い。落とし穴に発生した魔石はすべて回収。温められた泥水を、魔法で霧状に変えて、土で埋めていく。
「あ、これでもいいのか……。昔、よく目くらましで煙玉を使ってましたよね?」
「今でも使ってるよ」
「魔法陣のも使ってます?」
「ああ、ウタが昔教えてくれたやつ? あ、今使った魔法の魔法陣ならわかるけど?」
「教えてもらっていいですか? それも魔力吸収の一つで使えそうなので」
「いいよ。魔物の身体を開いて魔石まで差し込んで、使うってこと?」
「そのつもりなんですけど、難しいですかね?」
「魔法陣を仕込んだ吸魔装置にホース付けて蓄魔器に入れるってことでしょ? 難しいけど、出来なくはないって感じかな」
「いろいろと試行錯誤をしてみます。そもそも容器には保温の魔法陣を描かないといけないこともわかりましたし」
俺は一旦、3人とは分かれた。3人ともダンジョンで実験をもう一度繰り返すらしい。
魔道具の工房に行って、小さな魔物の吸盤の中に霧の魔法陣を描いて、フォラビットの腸管と魔石灯で単純な吸魔装置と蓄魔器を作ってみた。
魔法陣の精度によって粒も細かくなるし、霧の威力も向上するので、出来なくはないが……。
「あれ? 出来たんじゃないの?」
工房主のアーリム先生が見ていてくれていたらしい。
「出来たと言えば出来たんですけど、こんな細かい魔法陣だったらメンテナンスがめちゃくちゃ大変じゃないですか? しかもこんなホースを冒険者たちが持ち運ぶかなぁ、という懸念がありますね」
「使いやすさも含めて、蓄魔器か。なんで、こんな難しい装置を考えたの?」
そう聞かれると大した理由はない。俺じゃなくてもいい気がする。
「都市と田舎の生活格差解消とか、歴史への挑戦とか、いろいろ理由だけなら思いつくんですけどね。これで誰かが喜んでくれればそれでいいんじゃないかとも……」
「まぁ、それだけ理由があれば十分だよ」
ふと背後から声がした。
振り向くとベルサさんだった。
「どうせ思い悩んでいるんじゃないかと思って来てみたら、案の定、暗礁に乗り上げてるか?」
「蓄魔器はなんとなく使えそうな物は出来るんですけど、吸魔装置が……」
「西の港町の倉庫に、うちの会社が開発した吸魔装置を集めたから見に来ないかい?」
「いいんですか?」
「ああ、休日だろ?」
「ええ、行きます」
俺とベルサさんは工房の窓から出て、そのまま王都から離れ西の港町まで箒で飛んだ。港付近には多くのコンテナが並んで、巨大なクレーンが4つも稼働している。商店街は物で溢れているようだった。
「魔族領の船もアペニールの船もあるし、南半球から来る船だってあるからな。どうしたって王都に近い港町は栄えるんだよ」
「そういうことですか。あ、そう言えば勇者の国の戦後処理はもういいんですか?」
「ああ、セーラ主導にして、コムロカンパニーは撤退だ。社長は適当でもいいけど、コウジにはちゃんと報酬を上げようと思ったんだけど、金貨よりもこういう方がいいんじゃないかと思ってさ」
「助かります。正直、あんまりお金の使い方がまだわかりませんから」
「まぁ、夏の間に世界中にラジオ局を建てたんだから、コウジはそれだけで食っていけるよ。心配はしてないよ」
「そうですかね」
「ほら、ここだ」
ベルサさんはコンテナの一つの前に来て、鍵を開けて中を見せてくれた。武器庫になっていて、両側にずらりと並べられている。どれも禍々しいオーラを放ち、すべて魔道具か呪われた武器だとわかった。
「全部、失敗作だ。気になった物は全部持って行ってもいい。私たちはほとんど武器を使わないから。これなんか、いいよ。くっつき虫って実を元にして作った吸魔器だ。魔物の毛に引っかけると取れなくなる。一日二日で、魔力を吸収してくれて中の魔石が大きくなる」
「これで、いいじゃないですか? 魔力不足は解決しませんか」
魔石灯くらいの大きさでフックがたくさんついている。
「世の中の人はそんなに大きな魔物に近づきたくないんだよ。だいたい大きな魔物がいる場所は魔境と呼ばれているしな」
「これは……、普通の剣じゃないんですか?」
「吸魔の呪いが付与された剣だ。使用者の魔力まで吸収しちゃってね。使用者が限られる」
「この樽は何ですか?」
武器に紛れて樽が出てきた。
「それはナオキのお気に入りだ。魔物除けの薬を撒くポンプからヒントを得たんだけど、魔物の身体に傷をつけて、そのノズルを突っ込むのさ。吸魔剤を噴射して、一気に魔力を吸い上げるって装置だな。でも、魔力以外も吸い込んじゃって大変なんだけど、ナオキはフィルターを付ければいいって言ってた。そのフィルター交換だけでも暮らしていけると豪語していたけど、見た目が酷いんだ。魔物が一気にミイラになっていく過程を見ているようでね。わが社ではかなり不評だったな。もちろん、冒険者はそもそも使いこなせていなかった」
親父らしい。
他にも槍やノコギリのような刀などもあったが、魔力を大量に使うような魔道具が多かった。
その中で、呪いの効果も魔法陣も描いていない片刃のつるはしのようなものがあった。
「これなんですか?」
「あ、ピッケルだ。これはいいぞ。社員たちは使っていたけど、冒険者にはウケが悪かったな。基本的にうちの社員たちはほとんどの魔物の魔石の位置を知っているだろ? だから、これを使うと直接、魔石に攻撃できるんだよ。魔石は砕けると性質変化を起こすだろ? 物質として流動的になるんだよ。だから、ピッケルに吸魔剤を塗って使うのが、一番吸収できると思う」
「え!? これでいいじゃないですか?」
「いいけど、魔道具でもないし人気はないぞ」
「でも、軽くもできますよね?」
「まぁ、素材次第だけど……。砕くだけだし、魔力は拡散してしまうんじゃないか?」
「魔力の伝導率が高い素材を蓄魔器の補給口に付けておけば、勝手に集まるんじゃないですかね?」
「そうだけど、そんな都合よく蓄魔器に魔力が向かうのか」
俺はシンメモリーズが魔石のランプに集まるのを思い出していた。
要は冒険者たちの魔物への知識不足だ。知識はラジオで拡散していけばいい。
「ピッケルが一番魔石を砕きやすいんですか?」
「と思うよ。うちの社員はなんでも砕けちゃうから、あんまり参考にならないかもしれないけどね。魔石自体がそんなに必要のない人間たちだからさ」
「あ、そうですよね」
「ただ、鉄鎚よりはちゃんと刺さるし、剣や槍だと血管を切った方が早いし、魔石を砕くだけならつるはしとかピッケルがいい。で、つるはしよりは軽いし、罠を破壊するのにも便利って感じだったよ」
「報酬、これにしていいですか?」
「ええ? このコンテナの中で一番安いよ。いいのか?」
「でも、失敗例を見れたんで、かなりよかったですけど……」
「わかった。ただ、報酬に全然見合っていないから、もし蓄魔器の販売で問題が出てきたら、コムロカンパニーでも手伝うから言って。ナオキに相談しなくても、こっちで対応できることならやるから。魔体術の傭兵送り込んだりもできるし」
「わかりました。ありがとうございます」
俺はピッケルを持って、コンテナの外に出た。ベルサさんはしっかりコンテナに鍵をかけていた。これだけ呪物が入ったコンテナも珍しいだろう。盗まれたとしても、どう扱っていいかわからない物だらけだ。
「それじゃあ、助かりました」
「ああ、蓄魔器以外の勉強も頑張れよー。可能性が広がるからな。あと、世界樹のドワーフたちが会いたがっていた。年末になったら会いに行ってやるといい」
「わかりました」
俺は空飛ぶ箒にまたがり、王都へと戻った。そのままラジオショップまで飛び、3階から中に入っていく。ちょうどグイルが店番をしているところだった。客はいない。ラジオからは音楽が鳴っていた。
「お、どうした? 蓄魔器の研究で、また壁にぶち当たったか」
「いや、できた」
「え!?」
「だから、たぶん蓄魔器ができた。あとは販売方法次第。今、ベルサさんにコムロカンパニーの失敗作をたくさん見せてもらってきたんだけど、答えはこれだった」
「なにこれ? ピッケルか?」
「そう。冒険者たちがこれを持つようにしたい……」
「なるほどね。そりゃ、販売方法を考えないとな」
その後、ウインクとミストもラジオショップにやってきて説明をした。
「そんな簡単でいいわけ!?」
「ここまで簡単じゃないと広がらない」
「でも、討伐方法から解体方法まで変わってくるんじゃない?」
「これは冒険者の知識次第だから、変わらないといけないんだと思うよ。ミストの『これ』もかなり重要なんだけどね」
「そうね……。文化祭はこれでいくの?」
「これでいこうと思う。足りないかな?」
「いや、十分だと思う。ただ、魔物図鑑を読み込まないとね。ウインクもだよ」
「ああ……。グイル、勉強方法教えて」
「大丈夫。脳ってそんな簡単に焼ききれないから」
屋台で串焼きやおでんなどを買いこみ、ラジオショップで試作品を作っていく。終わったのは明け方になってからだった。