『遥か彼方の声を聞きながら……、2年目』30話「夏フェスの仕度」
翌日、ガルポに精霊使いの里へ案内してもらい、夏フェスに誘った。
「ウッドエルフが『月下霊蘭』の開花中にやっていたそうなんですよ」
「その祭り、婆さんに聞いたことがある。エルフは、プロポーズしたり告白するのが恥ずかしくてなかなか言い出せないから、『出会ってしまった』という理由が欲しかった時代もあるって。ただ、祭りを悪用する者たちも多いから、アルラウネを召喚して囮に使ったりもするらしい」
里の長が説明してくれた。
「そのためのアルラウネだったのか!」
学校の森の地下でアルラウネを育てていた理由が少しわかった気がする。
「自分たちの娘や息子が好きな相手と結婚するのが、嬉しくない親なんていない。そう思うと、逆にそれを邪魔する者たちを厳しく取り締まるのも里の大人たちの役目だ。そのフェスティバルとやら、我らも参戦する。皆の衆、異論はないか!?」
「異論なし!」
「ラジオってやつで広めるんだろ?」
「そのつもりです。できれば、エルフの国だけでなく、ウェイストランドも含めて、全域に広めたいんですけどね」
「ヴァージニア大陸中に広めるというのか?」
「どうなんですかね? ルージニア連合国はわかりませんが……」
「いや、ルージニア連合国は中央主導でラジオを普及させているはずだ。我らも後れを取ってはいられない」
仮面を付けたエルフたちが続々と集まってくる。俺たちを警戒して隠れていたエルフたちだが、危険はないと察して出てきてくれた。
「風の妖精たちの声も偏りが出てきたからな。我らがブロウの勇者復権ばかりを吹く声も聞こえてくる」
「ガルポ、でかしたぞ。とんでもない奴らを連れて来たな。お前をアリスフェイに送ってよかったよ」
「言っておくけど、光の精霊をぶん投げたのはコウジだからな。しかもここにいる学生たちは皆、特待十生って学校でもトップの学生たちさ。全員、何するかわからないってことだけは肝に銘じておいてくれ。たぶん、何でもできる」
「何でもはできないよ。できることだけやっていこう。とりあえず、ラジオの発信機、アンテナを建てたいんで、近場に一番大きな木ってどこにあります?」
「だったら本家の方だな。精霊の里にあるから、後で案内するよ」
そうして俺は再びエルフの里でもラジオ局作りが始まった。音量の調節機能とかはまだないが、マイクと発信機さえあればとりあえず届くだろう。
「ラジオはどうするんだ? コウジが持っているような小さい奴じゃ、いくら作っても足りないぞ」
ドーゴエの指摘はいつだって的確だ。
「大きいのを作ってスピーカーで里に聞かせられればいいんじゃないかと思ってるんですけどね」
「ああ、なるほど、それならコウジが設計図さえ作ってくれたら、俺たちでも作れるのでござる」
「細かい作業じゃないならゴーレムにも手伝わせるか」
「精霊使いの里には木工職人もいるし、召喚魔法もそれなりに発展しているから魔法陣には理解ある者たちが多いんだ。協力させてほしい」
皆、夏フェスの最後まで協力してくれるという。ありがたい先輩と留学生だ。
「人数がいるって羨ましいわね」
友達が少ないウタさんは素直に喜んでいた。
板の寸法を決めて、どのくらいの大きさなら音が反響するのかも木工職人に聞きながら、設計していく。精霊使いたちは楽器も使うので、音に関して本当に理解する能力が高い。
「演奏の里とかには叶わないが、魔法陣については注意するところがわかるよ。魔法陣と魔糸は頑丈な素材がいいんだろ? あとは音が反響しやすい方がいいよな」
「そうです。材料あります?」
「あるよ。大丈夫。なければウッドスパイダーの糸を採取しに行く」
「アラクネの糸ならば、あるのでござる。孤島のダンジョンから持ってきた。マルケス先生がどうせ使うから余分に持って行けと言って」
「助かります」
マルケスさんは俺が考えることなどお見通しだ。
「アラクネの糸なんて高級品を使っていいのか?」
「使ってください。そのために持ってきてるのでござるよ」
皆それぞれ作業に入っている。
俺とガルポもアンテナ設置へ精霊の里に向かった。ウタさんとブロウさんはラジオを設置するための各里、ウェイストランドへの許可取りに向け、すでに動き始めている。二人とも移動速度と仕事達成の速さが異常なので、ついて行けそうにない。こちらはこちらのやるべきことをやろう。
「皆、仕事を始めるのが早いよな?」
ガルポが精霊の里に向かいながら聞いてきた。
「あ、ウタさんとブロウさんは人類の中でも異常に早いだけだから、気にしない方がいいよ」
「あ、人類の中で?」
「うん。人類史上と言ってもいいくらいに」
「史上でもか」
「学校を二年で卒業したり、南半球から一日でエルフの里まで来るとか普通じゃないだろ?」
「確かに……。コウジでもそんなこと思うんだな」
「思うよ。俺は結構学校では目立つ方かもしれないけど、世の中には化け物みたいな人間が本当にいるんだぜ」
「コウジも化け物の部類かと思ってたけど……」
「俺なんか全然、足下にも及ばないよ」
「エルフって狭い世界で生きてたんだな。アリスフェイの学校に行って考え方がどんどん変わっていくよ」
「現実を受け入れて気づけてるんだから、ガルポはすごいよ。現実を受け入れられない大人は案外いるらしいから」
「そうなのか……」
「難しいよな」
俺は昨年の事件を思い出していた。
精霊の里に行くと、すぐに仮面を付けたエルフたちに囲まれた。
「ウッドエルフの遺跡を発掘しておりまして……、古代ウッドエルフと同じように『月下霊蘭』の開花中に夏まつりを開催しようと思ってるんですけど……」
拙いながらも、丁寧に説明すると、精霊の里のエルフたちも理解してくれた。
「ラジオを作るのか?」
「そうです。ラジオ局を立てて、子を持つ親に呼びかけてほしいんですよ。好きな者同士で結婚するのが一番だって」
「我が子を信じられない親ほど不幸なものはないと、精霊使いの里長からの伝言です。むしろ、それを邪魔する者たちから守ってあげてほしいとも言ってました」
ガルポも説明してくれた。正直、ガルポの方がエルフに説明するのは上手い。
「確かにその通りだ。自分たちのことばかり考えてしまったが、『月下霊蘭』で発情するのは若者だ。親が手伝わずに、誰が手伝うのか」
「うん、これで薬師カミーラとの約束は果たせそうだな」
「そう言えば、カミーラさんが謝罪しに来ましたか?」
「ああ、反体制派の声を聞いていなかった。協力してほしいと言ってきたが、何をどうすればいいのかわからなかったが、お前たちの話を聞いて道筋を理解した」
「本家、分家関係なく精霊の声を聞く者たちは、ラジオ放送に協力するだろう」
「そうと決まれば、急がなくてはな。もうすぐ『月下霊蘭』が開花する」
「ラジオを設置するんだろう?」
「いえ、精霊の里にはラジオ局を作ります」
「局だと?」
「放送を発信する場所です」
「放送拠点ということか……」
「そういうことです」
俺とガルポは里の長に許可を取ったので、里で一番高い大木の頂上にアンテナを設置。そのままアラクネの糸を伸ばして、使っていない倉庫を貸してもらった。
「そんな高い場所の倉庫など使っていないが、埃まみれだぞ。いいのか?」
「大丈夫です。素材も少なくて済むので助かります」
「そうか。ならいい。でも、掃除はした方がいいぞ」
「あ、こんななりをしていますが一応清掃駆除業者の息子ですから、その辺は抜かりなくやっておきます」
「お前、まさかコムロカンパニーの息子か」
「はい。コウジと申します」
「ガルポ! それを先に言え!」
「だって、こんなに魔力の多い学生、他にいないでしょう? わかってると思うじゃないですか!?」
「皆が皆、魔力を測れると思うなよ!」
案内してくれたエルフは仮面を取り、大声で呼びかけていた。
「ラジオ局を作るのはナオキ・コムロの息子だぁ! 皆、協力するように!」
「「「なんだとぉ!!」」」
初めて親父の名前が役に立ったかもしれない。
「コウジと言ったな。エルフの国はずっとコムロカンパニーに世話になってるんだ。ハイエルフの圧政から解放し、世界樹を燃やし、精霊使いにとってはソニアの旦那まで連れてきてくれた大恩人だ。『月下霊蘭』の開花中だろうと関係なく、我らは手伝うぞ。そのことだけは覚えておいてくれ」
「わかりました。今、精霊使いの里でラジオ本体をたくさん作っているところなので……」
「おう。運ぶなら言ってくれ。各里に届ければいいんだな」
「はい。お願いします」
ラジオ局の作り方はわからないが運送なら任せておいてくれ、と胸を叩いていた。
『こちら、ウタ。ウェストランド全域にもラジオ設置の許可が下りたよ』
通信袋から連絡が入った。
「ウェイストランド全域ですか?」
『そう。大草原だから目印になる場所が少ないけど、「ランドマークには置いてほしい」ってさ』
『それから、ルージニア連合国から輸入品として、小型のラジオが入ってきているみたいなんだ。行商人たちは結構持ってる者も多いから、音を大きくする魔道具ってないかな?』
ブロウさんも通信に参加してきた。
「木枠を囲って音を反響させてもいいですし、魔道具の拡声器ならあるはずなので、探してみてください」
『わかった。親父がシャングリラから密輸してるんだけど、これも使っていいんだよな?』
「どんなラジオでも聞こえるようにしますので、大丈夫です」
『密輸じゃねぇって……!』
親子で言い争いをしている声が聞こえて通話は切れた。
「とにかく、ラジオ局は作らないとね」
「ああ、受信機の方が早く出回っちまうよ」
俺とガルポはラジオ局を急いで作り始めた。そうは言ってもガルポは全然ラジオに関わっていなかったから、周辺のことを手伝ってもらう。荷物を置く棚やテーブル、椅子を運んでくれるだけだが、かなり助かる。
結局その日は夜中までかかったものの、ラジオ局は出来なかった。
「すまんな。もう少し俺がラジオを知っていれば」
「いいよ。飯まで持ってきてくれるなんて、かなり助かった」
精霊使いの里ではラジオがひとつ組み上がったらしい。音質は悪いが、アリスフェイのラジオ局から流れる音楽が聞こえてきたと喜んでいた。今はラジオショップの留守番をしてくれているジルが放送しているはずだろう。北極大陸にいる間にミストが連絡を取っていた。
晩飯を食べて、そのまま新しい建設途中のラジオ局で就寝。深夜に親父から連絡があった。
『また、ラジオ局を作るって?』
「あ? ああ、うん。精霊の里に作ってるところ」
『じゃあ、北半球はコウジに任せるか』
「そんな大それたものを学生に任せないでくれ。そっちどう?」
『こっちは、もう本当に大変だぞ。エルフの支援を受けた人たち同士の権力闘争が勃発しててな。セーラが道を作ってなかったら、たくさん人が死んでいたと思う』
「ドワーフの管理人たちは?」
『ああ、砂漠で手伝ってくれてるよ。エルフ嫌いが加速している。そっちは精霊の里が協力してくれてるのか?』
「そうそう。初めて親父の名前が役に立ったよ……」
俺はざっくりとウッドエルフのフェスティバルの話をしておいた。
『それは里長のお陰だな。コウジも好きな子ができたら絶対に離すなよ』
「わかった」
『これは本当だからな。一回母さんと離れ離れになった時、見つけるのにめちゃくちゃ苦労したから。なんかほしいものとか、必要なものはないか?』
「ああ、ミキサーがあると嬉しい。音量調節する魔道具の機械なんだけど」
『ちょっと待ってくれ。……シャングリラに在庫があるそうだから、しばらく待っててくれ。セスが運送会社の人に言って運んでもらえるって。精霊の里でいいんだよな?』
「うん。助かりますって言っておいて」
『いや、助かってるのはこっちだ。エルフの里とウェイストランドのことを考えなくていいっていうのは、俺たちからするとものすごい助かることなんだぜ』
「本当? じゃあ、ウタさんにお礼を言っておいて。ウタさんがエルフの国でウッドエルフの遺跡を発掘してなかったら来てなかったから」
『わかった。ボウにも言っておくよ』
「はい、それじゃ寝るよ。まだラジオ局が出来上がってないんだ」
『そうか。寝てたか。すまん。また、連絡する。おやすみ。母さんもお休みって言ってる』
『おやすみ~』
「はーい。おやすみ」
通信袋を切った。両親はここのところずっと一緒にいるらしい。珍しいこともあるもんだ。南半球は冬なので、大雪でも降るんじゃないか。
翌日もラジオ局に籠り収音機、マイクなどの機材作り。
エルフたちは祭囃子の練習や太鼓を叩く台などを作り始めた。精霊を祭る御輿を担いで練り歩くパレードもやると言っていた。
「ラジオと言えばパレードを実況するんだろ? 光り輝く森の精霊を担いで練り歩くって伝承で聞いたことがあるんだ」
精霊の里の長が古代のフェスティバルを忠実に再現したいそうだ。今は古代と違って、好きな者同士がすでにカップルになっているのだから、これを機に親同士が認めてあげられるといいと言っていた。
「何かのきっかけになるといいですよね」
「本当にそうだ。祭りやラジオをきっかけに、自分たちがどれだけ狭い世界で生きてきたのか知ってほしい。世界樹が燃えた時は当事者だったのに、いつの間にかまた里で固まってしまった。エルフというのは自分たちがダークエルフを迫害をしていた側だから、外の者に対して警戒心が強い。自信がない表れだ」
なるほど里の長はよくエルフたちの心理を見ていた。
「この緑深い大森林に新しい風を吹き込んでくれ。若者よ、任せたぞ」
「いや……、まぁ、はい」
大人たちが任せてくるものが大きすぎると思うんだ。そんな期待されても上手くいくときはいくし、いかない時はいかない。
俺たちができるのはラジオという技術を使って、遠くに音楽と言葉を届けることだけ。変わるのはエルフたち自身だ。ラジオはきっかけに過ぎない。変わろうとする若者がいるなら、エルフの国はきっと変わるだろう。
だからこそ、どんな考えも届けるべきだ。
俺はラジオと関わりながら、なんとなく平等性について考えていた。本を読めば多くの想像力をかき立てられ、いろんな価値観に触れられるが、竜の中には人間の文字が読めない者だって多くいる。
そんな竜でも人間の言葉だけは理解していた。竜の島では人間の文化も学んでいる。
相互に理解するというまではいかないものの、声だけならどうにか広がってくれるんじゃないか。
母さんに聞けば、奴隷の中にも文字を読めないものが大勢いるという。彼らが、別の価値感があること知れば、希望となるかもしれない。
北半球とか国中に届けとは思わないが、厳しい思想に囲まれて絶望しかかっているたった一人に届けば、俺がラジオ放送をする意味はあるんじゃないか……。
そんなことを考えながら、ラジオの機材を作っていたら、唐突にラジオ局のドアが開いた。
バンッ!
「よう!」
麦わら帽子を被り、サングラスをかけてガムを噛みながら、ショートパンツに明るいシャツを着たウインクが手を上げてこちらに挨拶をしていた。底抜けに明るい。
「助けてくれ~! ウインク~! 終わらないよ!」
「何を泣き言を言ってるんだ! 私が来たからには必ず成功させて見せる! 心配するんじゃない!」
「本当にそう思えるところがウインクのすごいところさ」
「任せておけ! 夏フェスだろ?」
「そう」
「準備完璧だよ! あ、そう、これミキサーね。セスさんの会社が届けてくれってさ」
「昨日の夜に言ったのに、もう届いたのか」
「昨日の夜にはシャングリラについてたんだ。見てよ、これ! 空飛ぶ箒も貰っちゃった~!」
「ウインク、飛べるのか?」
「ラジオ局の皆が北極大陸で修業しているって聞いたからね。私だって、メルモさんの弟子だよ。それはそれはとんでもない修行を受けてきたんだ……」
修行の話をするときだけ、ウインクの目は死んでいた。
「コウジは本当に世界樹でバイトしてたの?」
「してたよ。あ、世界樹に行ったの?」
「ほんのちょっと入り口だけ連れて行ってもらった」
「冬だから、そんなにやることなかっただろ?」
ウインクは手を思い切り横に振って否定した。
「そんなことない。十分、死ぬと思ったもん! 夏になるともっと過酷なの?」
「十倍ぐらいは過酷じゃない? 北極大陸に行く前は世界樹近くの宿に家族旅行してたよ」
「ええ!? 奇人一家ね。人が行くようなところじゃなかったよ。結局勇者セーラさんのダンジョンで修業させてもらったけど……」
「そうなんだ。親父たちいた?」
「いた。看板もいたよ。なにをやっているのかさっぱりわからなかったけどね。本当に難民を救ってて、私も手伝ってはいたんだけどどうにもならない感じがしたわ。そしたらコウジが北半球を救ってるって聞いてた時に、夏フェスやるって連絡が来たわけ」
「そうか、南半球で人を救わなくてよかったのか」
「うん。あそこにいても何もできないからね。それに『コウジを手伝ってやってくれ』って直接ナオキ・コムロから言われたのよ。すごくない?」
「親父が何でも大げさに言ってるだけだよ。それより夏フェスなんだけどさ」
「うん。どう? 計画は進んでるの?」
「大きいラジオを隣の里で作ってるんだけど、結構やることが多いんだよ」
「お祭りだけじゃないの?」
「幼馴染の考古学者が、エルフの里の闇を暴くんだ。それから、国立植物学研究所で作ったドデカピタンっていう興奮剤が野盗にまで出回っているからそれへの注意喚起ね。あとは今回やる夏フェスって、古代ウッドエルフが『月下霊蘭』の開花中に合わせて開催していたお祭りなのね。で、若者のカップル成立を願うお祭りで、いろいろと謂れがあるんだよね。だから、ウインクはお神輿のパレードがあるからそれの実況ね」
「ちょっと、やること多くない?」
「多いんだよ」
「コウジは何でも引き受け過ぎなのよ」
「引き受けてるわけじゃないんだよ。流れで、なんか俺のところにやることが溜まるんだよ」
「そんなこと言いながら、北半球を救おうとしてるの?」
「事を大きくしないでくれ。エルフの家父長制とか家のしがらみとかで悩んでいる人が、ちょっと外に出てみようって思ってくれたら、ラジオ局を作った意味はあるから」
「たった一人でいいの?」
「一人でいい。その一人を俺たちは見てるだろ? だって、ほら、この曲を聞けよ。アリスポートのラジオショップに一人で留守番して、この音楽を流してる女学生を俺たちは信じてる」
俺は小型のラジオから流れる途切れ途切れの音楽を聞かせた。
「そうね。どれ? 早いところミキサーを繋いで音楽を流しましょう!」
「ウインクが来てくれてよかったよ。ラジオのことがわかる人がいなかったんだ」
気心の知れたラジオ局員が一人いるだけで、作業は一気に捗った。