57話、クラーウェン
誤字脱字あるかもです。
「と、いうわけで付いてくることになったクラーケンだ」
現在、超音速旅客機『コンコルド』の中。遥希は会場での戦闘の訳とクラーケンを付いてこさせるまでの経緯をアウリールたちに話した。
「今、ハルキが言ったとおりだ。これからよろしく頼むぞ」
「それはいいが、こいつの名前はどうするんだ? クラーケン、と呼ぶわけにもいかんだろうし、何かほかに呼び名を考えた方がよくないか?」
ヘカトンケイル同様、カレン、という名前を付けたことからアウリールが意見する。
ヘカトンケイルに名を付けた意味は、人前で呼ぶ時に困らないように、と長ったらしいから、という二つの理由があった。
魔物であるヘカトンケイルの名を人前で呼ぶわけにもいかず、もしそれでばれたとしたら討伐命令が下されてしまうかもしれない。それで討伐されるのはきっと遥希もアウリールもキルルも一緒だろう。それにカレンが死んでしまう、という状況は遥希としても避けたい。
大ごとになる前に隠す、という意見には遥希も首肯した。
「アウリールの言うとおりだ。おい、クラーケン」
「何用だ?」
「自分の名前今すぐ考えろ」
「丸投げ!?」
クラーケンは戸惑いながらも思考を巡らせた。が、名などそう易々と考え付くものではなく、相当な時間を弄した。そしてその結果。
「……クラ子」
「「「「…………………」」」」
時間の無駄だった。
「時間かけた挙句出た名前がそれか?」
「うむぅ……。何というか呼びたくない名だな……」
「わ、私はいいと思いますよ!! ………………多分」
「うわぁ、だっさーい」
「じょ、冗談だ! 冗談に決まっているだろう!?」
「じゃあ本命を言ってみろよ」
「う、うむ!」
クラーケンは数秒時間を消費し、ハッと何かを思いついたような顔をして堂々と言い放った。
「クーラー!!」
「お前には冷房機能でもついてんのか!」
「よくわからんが、なんかすまん!」
遥希は大きく息を吸い込み溜息をした。何と悲しいネーミングセンスだろうか。これでは笑いや呆れを通り越して憐れんでしまうレベルだ。
「まったく。俺が考えてやるから少し待ってろ」
「わかった」
そして遥希は目を瞑り、1秒の後答えを導き出した。
「なんかめんどくさいからクラ子でいいや」
「馬鹿な!? 貴様が否定したのではないか!」
「いや否定はしていない。というかもとはお前が出した名前じゃないか。文句でもあるのか? えぇ?」
「う、それは……」
「ハルキ、もうやめてやれ。泣きそうになってるじゃないか」
そう言われ見てみると、確かに眼尻に雫が溜まっている。
……今気づいた。こいつ、確か海の王者だったよな。なら。
「お前の名前、決めたぞ」
「本当か!?」
「あぁ、お前の名前は、クラーウェンだ」
「クラ―ウェン………」
クラーケンはそれっきり黙り込んでしまった。……何かまずかっただろうか。
「……少し男っぽい名だが、クラーケンというもとの名や、海の王者をイメージして王冠からとったんだが、ダメか?」
「いや……」
「嫌?」
「いや、これでよい!! これがよい!! クラ―ウェン……。これはよい!!!」
「……なんかの3か条か?」
それは置いておいて、クラーケンもといクラーウェンは、名が決まり相当喜んでいるようだ。さっきからブツブツと自分の名を呟いている。自分が付けた名を喜んで受け入れてくれるのはうれしいのだが、これはこれで気持ちが悪い。
「おい、クラ―ウェ……。やっぱり長いからクラ子でいいか?」
「何故だッ!!」
「冗談だ。………冗談だから本気で落ち込むの止めてくれ」
「冗談……? っ……そんなこと知っている!」
「じゃあいいや」
「返しがテキトーすぎるぞ!」
こうして新たな仲間、クラーウェンが仲間になったわけだが……。
「なんかいじられキャラだな」
「ハルキよ、何か言ったか?」
「いや何も言ってないから口を開くなクラ子」
「な、なぜ……なぜ我だけ扱いが酷いのだ! 不服だ!」
ははは、面白いわこいつ。
遥希はそんなくだらないことを考えながら、ふと歓談している4人を見る。
4人は名前について楽しく話をしているようだ。どうやら先ほどのクラーケンの名前付けに影響されたらしい。自分らのあだ名みたいなものを付けているらしく、あーだこーだと言い合っている。
こんな何事もない只々普通の生活が過ごせたらいいな、と心底思うのであった。
今、魔国に向かっている最中ということも忘れて。
この度は投稿が遅れてしまい申し訳ありません!!
自分でも忘れていたのですが、先々週、先週、今週に続いて学力調査試験があり、学業に専念しておりました。
と、言うわけで今週はテスト終わりの疲労もとりあえず置いておいて、今日の投稿を迎えようと考えておりました。
来週はいつも通りに投稿したいと思います。




