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怠惰でチートな異世界創造者(マジッククリエーター)  作者: 市川キキ
第2章、光と闇
44/62

44話、人外的存在

誤字脱字あるかもです。

「本当に申し訳ない」

「お前本当に罪悪感抱いてんのか?」

「……………本当に悪かった。この通りだ、許してくれ」

「その前に飯食うのやめろよ!!」



 現在、遥希とアウリールは宿屋の食堂で晩御飯を食べていた。



 メニューは何かの肉と何かの草の炒め物と、何かの草のお浸し。なぜそれらすべてに「何か」をつけるのかというと、それは単に遥希が知りたくないからであって特に意味はない。



 因みにこの街に来て初めての御飯の時、「ゴブリンの肉の」というフレーズが出てきた瞬間に遥希が吐き気を催したのは想像に難くない。



 その瞬間は宿屋の亭主に「何を食わすんだこのハゲ!」と口走ってしまいそうになったのを今でも鮮明に覚えている。



 一応、宿屋の亭主の面目を潰さない為に言っておくが、その人はハゲてなどいない。言葉の綾というやつだ。



 余談はここまでにして、遥希は先ほどの「入浴中アウリール召喚事件」の件について御飯を食べながらアウリールに謝っている最中だった。



 アウリールはアウリールで「風呂から出ようと立ち上がった瞬間に、なぜか森の中にいて、なぜか目の前に遥希がいた」と、言葉だけ聞けば脳外科病院に行くことを勧められそうな、そんな言葉を先ほど発していた。



 兎も角、今回は確実に100%遥希が悪いわけなのだが、当の本人には罪悪感がないんじゃないか、と思ってしまうほどテキトーに謝り倒していたのだ。それが今の状況だ。



「兎に角、今はメシの最中だ。温かいうちに食べよう」

「今更何を……」



 口ではそう言っているが、実際のところアウリールはそんなに怒っていなかった。あの瞬間はただ驚いて混乱していただけであって、あの瞬間以外は左程気にしていない。



 とはいっても恥ずかしいものは恥ずかしいし、今となっては引くに引けない為、こうして謝罪を求めている。



 正規の手続きを踏めば、裸など幾らでも―――――とそこまで考えてからそれを羞恥と共に振り払うかのように高速で首を振る。



 遥希はそれを訝しげに思い、少し疑いを込めた視線をアウリールに向けた。



「どうかしたのか?」

「い、いや! 何でもない……」

「そうか、ならいいんだが……」



 確か怒られていたのは自分の方なのに、なぜアウリールが赤面して目を伏せるのか、とても疑問だった。



 遥希はそんな些細な疑問を意識の奥に押しやって、現段階での『召喚魔法』についての考えを改める。



 まず思ったのは、遥希の持つスキル『創造(クリエイト)』そのものが1つの召喚魔法なのではないか、ということだ。



 『創造(クリエイト)』は、イメージしたものの具現化や、それの応用などができる『固有魔法(オールドマジック)』だ。しかしそのスキルは、スキルと言うには些か抵抗がある。実際問題、疑問が多すぎるという難点がその抵抗の理由の一つだ。



 この世には幾万幾億ものモノでできている。人間の祖となっている海『水』や、今の人間やその他動物の拠点となっている大陸『土』など。大元を割いてその下位の物質や液体など、それらを挙げていけばキリがないほど多岐にわたるモノでこの世は構成されている。



 その中のどこまでを『創造(クリエイト)』の範疇に留めることができて、どこまでを具現化することができるのか、まずそこが問題だ。



 そしてその中でも、者などの生命体(人類やその他動物、魔物など)を『創造(クリエイト)』、つまり「作り出す」ことができるのか、ということが問題点だ。



 もし仮にそれが叶ったとしよう。それも「それぞれが意志を持つ個体」だ。もしそれができるのであれば遥希のスキルは「汎用性が高く便利なスキル」だけには留まらず、「汎用性が高く生命すら創造(つく)る神如きスキル」と、事の重大さが増す。それでなくとも「物なら具現化できる」というだけで、AI(人工知能)を持ったアンドロイドを生成することができる。いや、できてしまう。


     

 遥希はこれに気付いた時点ですでに、自身が人間の範疇を超えた存在だと認識してしまった。



 それでも不幸中の幸いというべきか、遥希は己が力に溺れず驕らない性格と意思の持ち主であったために、世界の秩序を乱すような行動には及ばないが、この力があるが故に起こってしまう問題もあるだろう。



 それに、もし生命体を生み出せるとしても、特に何をするわけでもないし、ましてやそれを悪用するなど――――



「ハルキ!!」



 アウリールが少し困惑気味な顔で迫ってきていた。その顔からは困惑と同時に心配も含まれていたことに遥希は気づいた。 



 どうやら自身の意識の海に潜っていたらしい。それなりに集中して思考を凝らしていたが、まさか他者の声が耳に入らなくなるなど。



「いや、すまん。それで、なんだった?」

「これと言って何もないんだが、ハルキが返事をしないものだからな……」

「そうか、すまない。心配をかけた」

「大丈夫なら問題ない。それで明日のことについてだが――――」



 意識の海に身を沈めすぎていたのか、食堂の明かりがやけに明るく映る。こんなに明るかっただろうか。



 遥希はそんなどうでもいい考えを頭から消し、アウリールと共に後日の計画、もとい予定を決めることに集中した。



 遥希は何か妙に頭に引っかかることを記憶の隅に追いやり、意識の海で冷えた思考を、天井に吊るさっているライトが明るく照らしているこの空間に溶かしていった。

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