42話、依頼受諾
今回は諸事情のより短くなってしまいました。
誤字脱字あるかもです。
「私の名前はルカール・ウルイナスよ。この国では『破滅女神』とか、『劫火の王』とか恥ずかしい名前で呼ばれているわ」
「……フォローできないな」
「あら、別にいいのよ? 何と呼ばれようとみんなの勝手だし。それで貴方の名前を窺ってもいいかしら?」
ルカールと名乗った女性は遥希の目を下から見上げるようにして覗き込む。その時、大きな胸に目がいきそうになるが、初対面の人に対して不躾であるから難とか我慢する。
「俺の名はハルキだ」
「そう、貴方がね……」
「何か?」
「いえ、何でもないわ。それで貴方はこんなところで何やっているのかしら?」
「冒険者登録しに来たんだ。ギルドカードがあった方がいろいろと便利だからな」
「ふうん、そういうことね」
ルカールは何やら悩むような顔をした。そして、その時の遥希を見ていた眼は怪しく光っている気がして、身震いする。
が、そんな違和感はすぐに消え、先ほどのようなフレンドリーな感じに戻っていた。そのため、遥希の中では勘違いということで決着がついた。
「それで冒険者登録は済んだ?」
「いや、今カードを作ってもらっているところだ」
「それじゃあ、その待ち時間に彼らと一悶着あったって事?」
そう言い、吹き飛んで悶絶している男と、地面に転がって泡を吹いている男に交互に目を向ける。
「まぁ、そんなところだ」
「ふうん」
「ハルキ様、ギルドカードの製作が終わったので……ってなんですかこれ!?」
「あぁ、ちょっとな」
遥希は驚愕して慌てる受付嬢を見てバツの悪そうな顔をする。
同時に途轍もない罪悪感に苛まれるが、仕方がなかったと必死に自分に言い聞かせる。
「とりあえずこちらに来てください。片付けは私たち職員が行いますので。今はギルドの仕組みについて説明いたします」
受付嬢は口早にそう捲し立てると、ギルドの説明を始めた。
「まず、ギルドの存在理由というのは分かりますか?」
「それは「魔物から街を守る」みたいな1つの奉仕活動だろ」
「その通りです。ギルドというのはこの街や国を守るために、冒険者を魔物と戦わせ報酬を渡す、所謂派遣みたいなものです。ギルドには階級があり、下から順にF、E、D、C、B、A、S、SSがあります。この基準は依頼の完遂スピードやその回数をポイントとして計算、それを集計することで決めています。ポイントは冒険者の方々には報告いたしませんが、皆平等に集計しておりますので不正の心配はありません。
依頼の内容も、ギルド階級同様にFからSSまでの難易度があります。Fは主に手伝いや採取系の依頼で、Eからは討伐系の依頼が受諾可能になります。依頼受諾の基準は自分と同階級かそれより2つ下の階級までです。それ以外は対象外となりますのでご了承ください。
最後にギルドカードですが、まず紛失し再発行するには3か月の罰則期間が設けられます。そして再発行には金貨5枚の料金を頂きます。紛失した場合、早急にギルドに報告してください。不正利用の可能性を阻止するためです。
ギルドカードを持っていればそれ自体が財布のような役割があり、貨が自動で入る仕組みになっています。それをしたくない場合、つまり直接貨を持ちたいという場合はギルド役員に申し付けください。その時はその機能を凍結させ、現金を直接お渡しします。
以上、長くなりましたが覚えておいてください。ギルドの最低基準なので」
遥希の予想通り、ギルドというのは派遣会社のようなものらしい。それにギルドカードの機能について、これは地球でいうクレジットカードのようなものか。と、遥希はこのように自分に分かりやすい形で記憶していく。
「わかった。記憶しておく」
「はい、ありがとうございます。ついでと言ってはなんですが、何か依頼を受諾されますか?」
「あぁ、じゃあそうさせてもらう」
「はい。今受諾可能な依頼はこちらです」
ギルド役員は1つの冊子を提示した。クリアファイルを連想させるそれには、「F 依頼」と端的に書いてある。
遥希はその中から、ミカヅキ草✕30の採取、と、火炎草✕15の採取、を受諾した。
それらの用途、ミカヅキ草は回復薬の材料で火炎草は調味料らしい。回復薬の生成とは錬金でもするのだろうか、ふとそんなくだらない考えが頭に浮かぶ。
因みに、依頼された数よりも多く持ってきた場合は1本✕銅貨2枚で買ってくれるそうだ。そこら辺の細かいところはギルド側に任せる。
「さてと長居しても迷惑だろうし、すぐ出発するか」
「ではお気を付けて」
遥希は依頼完遂のため、ギルドを後にした。その後をルカールが着いてきていることは気にしないでおこう。
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