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怠惰でチートな異世界創造者(マジッククリエーター)  作者: 市川キキ
第2章、光と闇
38/62

38話、首都、ニュクルス

今回は少し長くなってしまいました。


なので誤字脱字あるかもです。

「そろそろか?」



 遥希がそう呟くとほぼ同時に人間国だろうと思われる城の一角が見えた。



「下りる準備しておけよ。これがばれたらいろいろ困るから、着く前に処理しておきたい」

「わかった」

「わかりました」



 少し名残惜しいのの、2人は悲しそうな顔をする。明らかにガッカリしていた。



「そうガッカリするな。機会があればまた乗せてやる」

「本当か!?」

「やったぁ!」



 なんだかんだで俺は弱いな、と遥希は自分に嘆息したのだった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「ほう、ここが人間国か」

「はい。人間国の首都、ニュクルスです」

「これはなかなかすごい城壁だな」



 アウリールは圧巻と言わんばかりに、その城壁を眺める。



 遥希もアウリールと同じく、その城壁を眺めた。それは街を囲むようにして天に伸びる、いわば盾のようなものだ。



 わかりやすく言うならば、巨人を駆逐すると発言する主人公が登場する某アニメの城塞みたいなそんな感じだ。



 しかし、その城塞の周りには不思議なことに入り口が存在しない。その代りに幾つかの位置に等間隔に魔法陣らしきものがあり、兵が巡回している。



「あぁ、入り口がないと思ったらあれで移動するんだな」

「ご名答、その通りです遥希さん」

「それならばハルキ! 早く向かうとしよう」

「ちょっと待て」



 遥希はアウリールだけを呼ぶと、何やらゴニョゴニョと言っている。それが意味することは分からなかったが、自身の何かが変わったことが分かる。



「ハルキ! 私の体に何をした!」

「今獣国と人間国は対立しているんだろ? もしばれたらお前が危険にさらされるかもしれないからな。俺のスキルで姿を変化させた」



 遥希はそう言うと、どこからともなく鏡を取り出した。アウリールにはそれがなにか分からなかったが、受け取ってみると自分の顔が写っていることに心底驚いた。



 後から聞いたがどうやらそれは鏡というらしく、光の反射を利用して顔や姿を映す道具らしいが、それが何を意味するのかアウリールには分からなかった。



 それを覗いてみた。マントの中に隠していた耳や尻尾が消え、代わりに人間らしい耳が生えたことにアウリールは驚きを禁じ得ない。



 遥希曰く、『その状態ならばれることは到底ない』とのこと。ガヴァロンの出した条件も完全クリアしている。



「すいません、ここを通りたいのですが……」

「はい、それなら顔を見せ、ギルド証明書を提示するか、ない場合は銀貨2枚をお払いください」



 遥希たちはギルド証明書を持っていないため、銀貨6枚を払い、顔を晒して通してもらった。



 銀貨というのはこの世界に通貨で、小さい額から順に、石鉱貨、青銅貨、銅貨、銀貨、金貨、白銀貨、白金貨、金剛貨の8つの貨に分かれているらしい。



 石鉱貨が日本でいう1円、青銅貨が10倍の10円、銀貨が10倍の100円といった具合に10倍ずつに増えてゆく仕組みである。因みに最上位の金剛貨は1000万に値する。



 先ほど支払った金額は、日本円で600円になる。1人200円と考えると、市民プールの入場料くらいだ。そう考えると安いものだろう。



 魔法陣の上に立つと、突然不思議な浮遊感に襲われる。それが転移魔法だと気付いたのは城内に入ってからのことだった。



 何とも言えない気持ちの悪さが襲ってくる。まるで車や船に酔ったかのようだ。



 その気持ち悪さと戦っていると、リリシアが笑顔で2人の前に出る。



「ここに来られたのは初めてですか?」

「そうだな、俺らはとある田舎の出身だから、村を出たのは初めてだ」

「そういうことにしておきますね」



 リリシアは見かけによらず頭がよく切れるらしい。とはいっても先ほどの車を見せたらそうなるのも頷けるのだが。



「とにかくお城に向かいましょう! ここからだと歩いて30分ちょっとで着きます。まぁ、あの乗り物があるなら別ですが……」

「あれについては他言無用だ。それにこんな人だかりの中を走ってみろ、何人死ぬと思っているんだ?」

「……あれにあたる死ぬのか?」



 遥希は今更ながら自身の発言に後悔した。車の危険性について吐露してしまうとは。405km/h=116m/s。つまり1秒間に116メートルも進む鉄の塊に当たれば嫌でも死ぬ。



 とはいっても、当たらなければどうってことはない。危険な運転さえしなければ便利な道具だ。それは事実である。



「あの速度で当たれば死ぬな。ほぼ確実に。とはいっても乗っているこちらも危険だからそんなことはしないが」

「そうなのか。分かった」

「決着もついたところで向かいましょう。助けてもらったお礼もしたいですし」



 沈黙が下りる前にリリシアがそういった。ロリの癖してなかなか気が利くらしい。



「それではいざ行かん!」



 リリシアは楽しげにそう叫びながらスキップしていた。



 遥希は周りの景色を見ながらリリシアに続く。



 一目見たところ、かなり栄えていることがよくわかる。所狭しと並んでいる露店の周りは大勢の人で埋め尽くされ、そこからはいい香りと共に和気藹々とした話し声が聞こえる。



 露店に陳列されているものは多種にわたる。石鹸やタオルなどの日常品から、肉や魚、果物などの食糧。さらには防具や武器、回復薬らしき液体などの冒険者用まで、数にすれば限りないほどにたくさんあった。



「なっ、あれはまさか……」

「あぁ、あれは肉刺しって言って、甘しょっぱいタレがかかってる。この辺ではかなり人気です」



 その中でも特に注目したのは、肉に茶色い液体が掛けてあって、茶色い液体がかかっていて串に刺してある日本でよく目にしたアレ。そう、それはあの偉大なる焼き鳥のようだ。



 遥希はすぐさま買った。茶色く輝くタレと肉汁が合わさり、宝石のように輝いていて芸術品のようで、香りの方は香ばしく食欲を掻き立てる。そしてしばらく眺めてから口にする。



「………!?」



 一言で言うと、美味! 旨くて懐かしくて泣きそうになってしまった。リリシアの説明通り、いやそれ以上に奥深い味。ジューシーで肉汁が溢れ出し、適度に脂が乗っていて柔らかい肉。甘くてしょっぱい、それでいてしつこくなくサッパリとしているタレ。この2つが絶妙なハーモニーを生み出していて何とも言い難いほど旨い。



 遥希の顔はこれ以上ないというくらい綻んでいて幸せそうだ。



 それを見た店主すら笑ってしまうほどの笑顔。



「兄ちゃん、旨そうに食ってくれるね。肉刺し一本でそこまで幸せそうに食ってくれる客はこれまでいなかったよ。どうだ、旨いか?」

「お前、なかなかやるな! これはやばいぞ。天地が引っくりかえるほどの旨さだ」

「はっはっは! 嬉しいねぇ。これはあんたへ返すよ」



 店主はそう言い、遥希に肉刺し代を返す。



「いいのか?」

「あぁ! そんだけ旨そうに食ってくれれば肉刺しも嬉しいってもんだ! その代わりと言っちゃなんだがまた寄ってくれよ」

「もちろんだ。また来る。じゃあな」



 遥希たちはそのまま店を後にした。遥希はこれまでにないほど上機嫌だ。



 

肉刺しの部分がやたらめったら長くなってしまいました……


私も肉刺しが食べてみたくなりましたね(笑)


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