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怠惰でチートな異世界創造者(マジッククリエーター)  作者: 市川キキ
第1章、始まりと終わり
2/62

1話、異世界の印

「なんだよあれ…………」



 そこに立っているのは子供ではない。ましてや人ですらない何かだった。



 つい声を出してしまった遥希だが、幸いそれには気づかれていなかった。



(それにしてもなんか既視感を感じるな……)



 それもそのはず、その正体はゲームやアニメでよく目にするゴブリンの容姿と似ていたからだ。



 肌全体が濃い緑色をしており、耳は長く、横にとんがっている。背の高さは6~9歳の子供と大体同じくらい。



(……ゴブリンでいいのかな)



 そんな呑気なことを思っているものの、同時に頭の中ではこの状況について仮説を立てていた。



 1つ、これは夢。



 2つ、何かのドッキリ。



 3つ、ここは異世界。



(うーん……。今考え付くのはこのくらいなんだよな……)



 その中で有力候補を選択し、この状況についての説明として結論を出そうと頭を働かせる。



 まず1つ目、夢を見るということは、今自分は寝ているということ。もしかしたら本を読んでいる間に眠ってしまったのかもしれない。しかし、もしそうだったとしたら可笑しなところがある。



 夢にしたら手足の感覚、草木のにおい、視界のクリーンさ、どれもがはっきりとしすぎている。それに夢と決めつけ、いつか覚めるなどと思うのはあまりにも都合がいい考え方だ。



 次に2つ目、何かのドッキリというのはあり得ない。今の今まで図書室で本を読んでいたはずだ。しかも光で目を閉じた一弾指(いったんじ)のうちに森の中というのは現実から逸脱している。



 そして最後、異世界かどうかは正直よくわからない。この説を立てた理由は目の前にゴブリンがいたからだ。あんな生物、地球にいたころ見たことがない。ゴブリンなんて存在はそれこそゲームやアニメの世界の話だ。



 この仮説は正直言って、すべてありえない。しかし遥希は3つ目の仮説を最有力とした。なぜなら、



(そのほうが面白い!)



 そう。遥希はもとより楽しむことだけを考えていた。今更どうこうできる問題でもなさそうだしいいかなー、的なノリで。



 ここは異世界、なぜ異世界に来た、来れたかはわからない。でも、今はそんなことどうでもいい。



 とにかく目の前にいる気色悪いゴブリンをどうにかしたい。



 (まあ、まずは観察だな)



 と、ゴブリンの頭上、何かが浮かんでいる。少し離れたところにいるため確認しづらいがそこには



 NAME ゴブリン 


 LV 1



(LV………………?)



 そこにはモンスター名とそのLVが浮かんでいる。しかもどういうわけかその字が読める。



(LVがあるということは、ステータスも存在する……?)



 遥希がステータスのことを疑問に思っていると、頭の中に何かの情報が流れてくる。



 NAME ハルキ・シンザキ


 LV 1


 HP 133


 MP 91


 ATC 102


 DEF 89


 SPE 90


 INT 322


 LACK 21


 NEXT 6


 EXP 0


 KILL


 ARMOR


 MAGIC


 SKILL 創造(クリエイト)



(これは…………ステータス……か?)

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