表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怠惰でチートな異世界創造者(マジッククリエーター)  作者: 市川キキ
第1章、始まりと終わり
17/62

16話、居場所

 遥希とアウリールはとある森の中に来ていた。



 その森は人里から離れていることや、時間が夜ということもあり人はいない。



「こんなところに来て何をするつもりだ?」



 夜の静寂の中、アウリールの声が凛と聞こえる。



「まぁ、見ていればわかる」



 そういうと遥希はスキルを発動する。



二文字解放(ダブルキャスト)、捜索」



 それと同時に遥希の目が黄金に染まる。



 やはりここでもアウリールは唖然としている。



 遥希はそんなアウリールを無視し、意識を集中し始める。



 アウリールは遥希を一瞥すると、周囲を警戒する。



 すると遥希はいつもと変わらぬ口調で、重大なことを口にする。



「アウリール、ちびっこ見つかったぞ」

「は? …………え?」



 アウリールは最初理解できなかった。だが、ちびっこというのがキルルで、キルルが見つかったというとこを理解したのは数秒後だった。



「ち、ちょっと待て! 見つかったって本当か!?」

「だからそう言っているだろ?」

「いや、そうなんだが……」



 異世界人というのはこんなにも万能なのかと心の中で思ったアウリールだった。



「それでキルルはどこにいるんだ?」



 それは今もっとも聞きたい質問だった。



 キルルが見つかったというのは、キルルは今も生きているということ。



 安全かどうかまでは分からないが、それでも今も生きているということだけで十分だった。



 しかしそれでも安心はできない、今もなお犯人と一緒にいると思うととてもじゃないが安心なんてできない。



 だからこそ、先ほどの問いに早く答えてほしかった。



 少し間が開き、待ち望んだ答えが明かされる。



「あそこだ」



 そういい遥希が指差した方には洞窟があった。



 それはこのくらい中では見つけられないほど小さかった。



 パット見ると、人が匍匐前進しなければ入ることができないくらいだ。



 一瞬戸惑ったが、遥希がそういうならここなのだろう。



 そう思ったアウリールが早速入ろうとする。が、それを遥希が制す。



「アウリール、そこをよく見ろ」



 遥希が指差した方に、髪の毛程度の糸が張られていた。



 その糸は、洞窟の上の岩に括り付けてある。



「お前俺が止めていなきゃ死んでいたぞ」



 確かに遥希の言うとおりだった。



 遥希がアウリールを止めていなかったら、今頃アウリールは岩に潰されて朝日を拝められなかっただろう。



「すまない、ありがとう」

「あぁ、気にするな」



 そういう遥希の顔はいつもより凛々しく見え、妙な色香を放っているようだった。



 思わずアウリールは見とれてしまった。なぜか、遥希から目が離せなくなっていて、自然と頬が熱くなっていく。



 次第に頬の熱が、体中を多い何とも言い難い気持ちがいい感覚に包まれた。



「ぉ………………い。お……い。おい」

「っんはぃ!?」

「なんだその声は。ギャグか?」



 いつの間にか遥希の顔が近くにある。その距離は、体中熱くなったアウリールを変な気持ちにしてしまうほどだった。



 アウリールの目は、自然と遥希の唇に吸い寄せられる。



(あぁ、柔らかそうな唇。これとキスできたら私は…………)



 アウリールは完全にトリップしてしまった。



 体を両手で抱き、くねくねと動き出した。



(なんだこいつ、悪いもんでも食ったか? それとも頭でも打ったか?)



 そんなことはどうでもいいと、遥希は罠を解除し、さっさと洞窟の中に入っていった。



 数分後にアウリールは我に返ったが、そこにはもう遥希はいなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ