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怠惰でチートな異世界創造者(マジッククリエーター)  作者: 市川キキ
第1章、始まりと終わり
16/62

15話、異世界人遥希 vs 獣国序列7位アーガルド 

1/29は体調不良のため投稿を控えさせていただきました。

「さてと、もうそろそろ終わりにしますか」



 その遥希の言葉に、アーガルドは不満そうに言う。



「そう簡単にやられるつもりは毛頭もないが」

「いや、もう終わりだ。終わらせる」



 アーガルドには理解できなかった。



 少し癇に障るが、いい勝負だと思っている。ここまで持った人間は初めてだ。



 しかしアーガルドはまだ本気を出していない。相手の力量を図るために、少し手加減をしていた。



 確かに、相手の人間も強い。だが、こちらにはまだ切り札がある。



 弟には使うなと念を押されているが、非常事態に陥ったら遠慮なく使うつもりでいる。



「どうだ、考えはまとまったか?」



 どうやら相手は待っていてくれたらしい。変なところで律儀なやつだと、苦笑交じりで溜息をつく。



「あぁ、ここからは全力で行く。覚悟しておけよ人間」

「覚悟するのはお前だ、獣人」



 すると二人はまた消える。



 遥希は風を使って、アーガルドは自身の身体能力と、今まで培ってきた経験で。



一文字創造(シングルキャスト)、穴、水、火、鉄、土」

「なに? 四属性の使い手か!?」



 どうやらアーガルドは、遥希が、火、水、風、土を操っていることに驚いているようだ。



 異世界の常識を知らない遥希にはどうでもいい話だが。



 遥希は一旦止まり、自身の目の前の地面に穴を空けた。そこに水を入れる。その間に、乗用車ほどの鉄を火で熱し溶かす。その真っ赤になった鉄を水の中に投入し、土で蓋をする。



 アーガルドには何をしているか分からなかった。てっきりそのまま攻撃してくると思っていたのだが。



 そんなことをしている間にまた何か仕掛けてくるに違いない。



 そう思ったアーガルドは先ほどの穴の上を通過し、遥希を攻撃する。



 ――――しようとした。だが、



「馬鹿が」



 そのセリフを聞き、非常に危険なことが起こると予想した。否、そう思わざるおえなかった。



 何故なら、先ほどの地面が不自然に盛り上がっているからだ。



 咄嗟にアーガルドは後ろに飛んだ。が、少し間に合わなかった。



 その地面は突然爆発を起こし、アーガルドの足を吹き飛ばした。



 遥希が行ったのは、水蒸気爆発という現象である。



 本来、マグマや地下水などで起こる自然現象なのだが、遥希は人口で生み出した。



 水蒸気を蓋をした穴の中に蓄積させ、岩盤をも破る大爆発を起こしたのだ。



 そして遥希は静かな声で言う。



「チェックメイトだ」



 その言葉は、ア-ガルド以外には聞こえず、闇の中に溶けて行った。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 アウリールが外の様子に気づいたのは、凄まじい爆発音が聞こえた時だった。



 何事かと外に出てみると、少し離れたところで煙が上がっている。



 周囲を見渡すと、一般人が窓から首を出したり外に出たりと、爆発の原因を見ようとしている。



「急がなければ……!」



 アウリールはそう呟くと、その場から消えた。





 アウリールが到着すると、そこには巨大なクレーターができていた。



 直径20メートル、深さ5メートルほどの大きな穴だ。



「いったい誰が……」



 そう呟くアウリールの前に信じがたい光景があった。



 そこには、片足がないアーガルドとそれを担ぐ遥希の姿。



「は、ハルキ……お前………」

「お、アウリールか。どうした?」

「どうしたじゃなくて……」



 遥希はいつも通りの声だ。対してアウリールの方は声が震えている。



 それもそのはず、3日前にこの世界に来た遥希と、長年獣国(ガプラス)で騎士を務めてきたアーガルド。



 先ほどの爆発はこの二人のものだろう。だとするとなぜ争っていたのか。そしてなぜこんな時間に。もしそうだったとしたらなぜ遥希が立っていて、アーガルドが担がれているのか。



 どの疑問もわからなかった。それどころか、アウリールの頭の中はぐちゃぐちゃになっって混乱している。



 その中で遥希の声だけは辛うじて聞こえた。



「アウリール、行くぞ」

「どこにだ……?」

「説明するのが面倒だ。とりあえずついてこい」



 アウリールはよくわからなかった。こんな時間に何処へ行くのだろうか。何をしに。どうして。



 それはあやふやになったままだったが、遥希が歩き出したので引き留める。



「おいハルキ。アーガルドはどうするんだ? それにこれも」



 これというのは勿論クレーターのことだ。このまま放置するわけにはいかない。



 ただでさえあの爆発音は大きかったのだ。そろそろ野次馬がくるに違いない。



 ただ遥希は、うんともすんとも言わずに呪文を言い始める。



二文字解放(ダブルキャスト)、過去」



 すると、目の前のクレーターが一瞬でなくなり元の平野に戻った。



 遥希は頭の中で、クレーターができる前の平野を記憶の中から引っ張り出し、それを現実にするというイメージを強くして具現化させただけ。



 記憶をしっかりとしていなかったため、完全とはいかないがそれでもほとんど元通りになっていた。



「アーガルドの方は眠らせている。気を失った後に、眠を使ったからそう簡単には起きない」



 それだけを言うと早々にその場を後にした。



 アウリールは弟子の所業に驚きながらもついていくのだった。


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