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怠惰でチートな異世界創造者(マジッククリエーター)  作者: 市川キキ
第1章、始まりと終わり
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13話、チャンス到来

 遥希はアウリールと歩きながら街を眺めていた。



 その町並みは、木造の平屋やレンガ造りなど、地域のよって異っている。



 その風景は、日本の時代を見ているようだった。



 木造は江戸時代、レンガ造りは明治など、文化が違うようで楽しい。



 一番興奮したのは、先ほどまでいた城である。



 城というからには、石やレンガで造ってあるのかと思いきや、それは巨大な木をくり抜いていた。



 まさに圧巻というほかならず、思わず息を呑んだ。



 どうやらその木は精霊樹と呼ばれているらしい。



 何でもその木には精霊が宿っているとかいないとか。



 初めての街に目を輝かせている遥希。



 そう、遥希は連行されるときに目隠しをさせられたのだ。意図は分からないが。



 なので街を見るのは実質これが初めて。だから自然と目が輝くのは仕方がない。



 そんな遥希を横目に、アウリールが溜息をつく。



「お前、大丈夫なのか?」



 それは勿論、先ほどの一件のことである。



 直ではなく遠回しだとしても、半分獣王を馬鹿にした。それは紛れもない事実である。



 獣王に喧嘩を売るとはこの国を敵に回すと同じ事。



 しかも《獣国(ガプラス)》は大国であり、獣種は血の気が多いと言われている。



 正直な話、死ぬようなものだ。それを遥希に話したのだが、



『んなこと、異世界人の俺が知るかよ』



 と、もっともらしい理由をつけてテキトーに流された。



 そこでアウリールは遥希に魔力暴走について尋ねてみる。



「お前、途中暴走したな」

「暴走? 何のことだ?」

「いやだから、魔力暴走を…………」



 アウリールは驚倒した。



 遥希の顔が、本当に知らないと告げている。



 ならば、と質問を変えてみる。



「お前、一度キレたな?」

「まぁ、癪に障るところはあった。だが、顔に出てたか?」

「いや、行動を起こしていたが……」

「そんなことをしたのは記憶にないな」



 その言葉にアウリールは、またも驚倒する。



(まさか、我を忘れていたのか? しかし記憶にないというのはどういうことだ?)



 これでもアウリールは研究者だ。人生の経験も遥希の数倍に及ぶ。



 しかし、魔力暴走を起こし、あれだけの魔力を放出しておきながら記憶にないという事例を聞いたことがない。



 だが、今重要なのはそこではない。



 話が脱線してしまったのを思い出したアウリールが、遥希の考えを聞くことにする。



「それでこれからどうするんだ? 期限は今日から3回目の日没までだぞ?」

「そのことなら問題ない。大体分かった」

「それは、真犯人とキルルの居場所がか?」 

「あぁ、そんなところだ」



 その返答は、予想外のものだった。



 この短時間に、すべてを読んだということだろうか。



 そんなアウリールを横目に今度は遥希が問う。



「ってか、お前には犯人が視えるんじゃないのか?」



 その質問は尤もだ。遥希が現れることを視たアウリールになら、簡単に分かるのではないか。



 しかしアウリールは首を左右に振る。



「すまんが、今、未来視はできない」

「なぜだ?」

「それはお前の存在があるからだ」



 その言葉に遥希は納得した。



 つまり、突然の遥希の出現に未来視自体が狂ってしまったのだろう。



 実際問題、遥希は異世界人であってこの国、この世界の人間ではない。



 そう考えると、遥希出現によりこの世界の時間軸がずれたと言っても過言ではない。



 だが遥希はそれを逆手に取ったある考えを思いつく。



「つまり、それはこの世界にとって予想外の出来事ってことだろ?」

「まぁ、そうなるな」

「だったらお前の能力の不具合は俺が冤罪だっていう証拠になるぞ」

「え……?」



 つまりはこういうことだ。



 遥希の出現により、この世界の時間軸はずれ、未来視ができなくなった。



 それは同時に遥希の出現は予想できなかった非常事態だと考えられる。



 ということは、遥希がこの世界に存在しているというそれ自体が異質なのである。



 この世界の常識、理から外れている存在。アウリールの未来視の不具合。



 これだけ揃えば、あとは話を統合し説明すればいいだけのこと。



 もしそれで駄目だったとしたら、元の世界とこの世界の文化の違いや、遥希から見たこの世界の異質さを詳しくしつこくわかるまで言い続ける。



「まぁ、俺が異世界人だと証明するよりも、犯人を捕まえればいいだけの話だがな」



 遥希にはそのプランが見えている。まるでそれは未来が視えているかのように。



「今日はもう疲れた。まともに寝てないから眠いし、早く寝ようとしよう」

「犯人探しはどうするんだ?」



 その言葉を待ってたかのように、遥希は不敵に笑い、



「もう視えた」



 そういうと足早にアウリール宅に向かった。



 アウリールは訳が分からないという顔をしながら、遥希の後を追って行った。

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