第3話
さぁ、ようやく物語の始まり始まり。
暖かな太陽の日差し、風薫る自然の息吹、そして昼間に浮かぶ大きな赤い月。
俺は大きく息を吸い叫びと共にはきだした。
「なんじゃこりゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」
がばりと身を起こした俺の目には、視界一杯の草原が映りだされていた。
もちろんこんな場所は知らないし、日本にこんな場所がある・・・・かもしれないが、都内ではあり得ない。
「おおおおおおおおおおおおおおおおお落ち着け俺!こんな時は素数を数えて・・・・・あれ?素数ってなんだっけか?」
あぁ、何故勉強を真面目にしなかったのかと、一人で自分の無知さに絶望を抱いていた時だった。
近くの茂みから白い兎が飛び出してきた。しかも角が生えた兎だ。
それを見た俺は本来もっと混乱しなければいけなかったのだろうが、何か引っかかって仕方なかった。
「うん??・・・・・・・赤い月に角の生えた兎?・・・・・・あれ?どこかで見たことある様な。」
さっきまで混乱していたはずなのに、今は何故か冷静に分析ができる。そうして自分の考えに没頭しようと
どすっ。
没頭しよ
どすっ。
没頭s
どすっ。
「邪魔すんな兎がああああああああああああああああああああああああああ!!」
考えようとしているそばから角で刺してくる兎に腹が立ち、全力で右足を振りぬいた。
ハッと冷静になった時には既に遅く、手加減抜きの蹴りを兎に入れてしまい
兎が破裂した。
辺り一面に血が飛び散り、自分自身も血塗れになっていた。
何が起きたか最初はわからなかったが、徐々に理解が追いつき・・・・・吐いた。
ホラー映画はよく見るが、こんなリアルじゃないし鉄臭い匂いなんてしない。
(俺が・・・・・・・・・・・・・・・・・殺した?)
そう考えると体の震えが止まらなくなった。生き物を殺したことがないわけじゃない。それでも手の平に乗る様な生物であったし、こんな血生臭いものじゃなかった。
震えながら、自分が起こした惨劇に眼をやると・・・・・・・何もなかったかのように、緑溢れる草原だけが映った。
意味がわからない・・・・・さっきのは夢?いや、夢なんかじゃない。あの生温かい血、匂い、感触・・・・・・すべてがリアルだった。
そこである物が落ちていることに気がついた。
それは鈍く輝く銅色のコインであった。
そこで先ほどから感じていた違和感が全て繋がった。
「赤い月に角兎・・・・・そしてコデナ・・・・・ここは・・・・・・リグラネージュ?」
そして気がつく。
己の青黒い肌、身に纏う白く輝くレザーアーマーに。
知っているどころか、自分が愛用していた装備である。いや、正しく言えば自分ではない。
仮想現実世界において自分の分身ともいえるキャラクターが装備していたものだ。
「ここは・・・・ゲームの世界?・・・・・・・いや、違う。」
思い出す。さっきの兎はどうなった?ゲームであれば倒したモンスターは存在が薄れていくかのように消えていったが、さっきの兎・・・・・・エルピーはどうなった?
ゲームではあり得ない血を撒き散らして死んだ。そう。死んだのだ。
それはつまり
「ゲーム・・・・・・・じゃない。これは現実なんだ。」
一般人だったら普通に小動物なんて殺したことなんてないから、主人公の反応は当たり前ですね(・w・`
もし自分は余裕だZE★って方が居ましたら・・・・・・悔い改めてください(笑)
感想お待ちしてます。又、誤字・脱字等ありましたら、報告お願いします。