文科省前行動の声明文
福島第一原子力発電所の事故では各方面に対し様々な怒りの声が挙がっていますが、私が事故対応に関して最も怒りを感じているのは、文科省の皆さん、あなたがたに対してです。
私は原発事故が起きたあと、児童生徒の登校停止の発表があるのをずっと待っていました。
あのような過酷事故が起きた以上、福島県内の学校は登校停止、また、関東東北の隣接県も登校自粛の要請が当然あるものと思っていました。
しかし、そのような通達は一切なく、子どもたちは計画停電の混乱の中いつも通り登校していきました。
そして14日に3号機が爆発、大量の放射性物質が福島のみならず関東近県に降り注ぎ、子どもたちは無用な被曝を強制される結果となりました。
文科省は、SPEEDI情報に直接触れられる立場にありました。
どこよりも早く情報を入手し対策をたてられる状況にあったにもかかわらず、子どもたちの被曝を防がなかったことは、いかなる理由があったにせよ許されることではないと私は思います。
また、3月下旬から4月上旬まで学校は春休みでした。子どもたちが学校にいないこの時期に各学校の汚染度を調べ、除染等の対策をする時間は十分ありました。
ところが、春休み中何一つ対策がとられることはありませんでした。
あなた方のやったことは、春休み明けの4月19日、年間20ミリシーベルト、校庭・園庭では毎時3.8マイクロシーベルトを許容するという悪名高いあの基準を示したことのみでした。
あなた方の無策で、子どもたちは無用な被曝を余儀なくされました。
この事実を、文科省職員の皆さんお一人お一人の胸に深く刻んでいただきたいです。
そして今も、福島の子どもたちは被曝の可能性に不安を抱きながら、放射線管理区域並みの線量をたたき出す学校で不自由な生活を強いられていることを、一人一人の問題として考えていただきたいのです。
低線量被曝の影響は、確かに「直ちに」は出てきません。
影響が出たとしても、それが被曝の影響であると証明することは今の科学ではできません。
でも、影響は確実にあるのです。
それは、3.11前も今も変わらない事実です。
法律が変われば今まで有害だったものも一気に無害になるなんてことはありません。
福島の子どもたちの被曝をあなた方は「仕方がない」で見過ごすのですか。
SPEEDI情報を隠蔽し、子どもたちの被曝限度を20ミリシーベルトまで引き上げ、大丈夫だ安全だの根拠のない掛け声のもと放射能などまるで存在しないかのような日常演出に子どもたちを利用する愚挙を、これ以上続けるのですか。
私はこのたびの原発事故で文部科学省がとったすべての行動を、おそらく一生忘れないし許さないでしょう。
事故当初の過ちを認め、謝罪し、子どもたちの被曝を防ぐあらゆる方策に全力を挙げて取り組む姿勢を直ちに見せてください。
それだけが、今あなた方にできる唯一の償いだと思います。