第3話 祠の中へ。
…夜になった。
ツァオが言うには村の者たちには秘密らしい。
それで人目を避けて夜行くことになったのだ。
祠の裏に洞窟がある。ツァオはどうやらここに連れて来たかったようだ。
ツァオは灯りと古ぼけた堅い石のようなものをロンに渡し、一言
「信じておるぞ」
とだけ言い残し、姿を消して行った。
…この村はなかなか標高が高い所にある。なので、木々は背が低く、大木にはならない。
だが、ロンのお気に入りの高い木と山の祠の付近では何故か高い木が多い。今まで気がつかなかったがロンはふとそんなことを考えた。
暗くて冷たいが不思議と怖くはない。
「ふぅ…」
小さく深呼吸をし、ロンは中に入っていった。
…中に入ってまず気付いたことは蔦の多さだ。
ロンはあまり気ならないが大人であれば身を屈めなければ歩けないくらいの洞窟である。その洞窟の壁面に蔦がびっしり生えていて、時々足元の木の根に転びそうになる。
ロンはどんどん進んで行く。
…もうどれくらい中を進んだだろうか。ロンは少し疲れてきた。
すると、急に開けた所にでた。
奥に進んでみると、小さな箱があった。
それに手を伸ばした瞬間…頭の中に声が響いてきた。
「お主が…我の」
ロンは辺りを見回した。
次の瞬間、ロンは暗闇に飲み込まれてしまった。次、明るくなった時、ロンは目を疑った。
「…ここは」
ロンは湖の畔のような場所に倒れていた。周りは木々で埋めつくされている。
「我はセイリュウである。汝は我が生まれかわりだ。といっても普通の人と変わらんがな。」
頭の中に直接響いて来る感じだ。
ロンは軽い頭痛を感じた。