第2話 知らされざる真実
「?」
誰かが下から読んでいる。おそらく長老のツァオだろう。ロンを育ててくれた人だ。
「こら!ロンや。またお前はそんな所に登って!危ないじゃろが!」
ロンには両親がいない。ツァオにロンを産んだ後、死んでしまったのだと聞かされた。
呼んだ理由はどうやらご飯らしい。ロンは急いで木を降りるとツァオの元に駆け寄った。
実をいうと、今日はロンの13歳の誕生日なのだ。
もちろん祝ってくれる人はツァオだけだが。…食事の席で、ロンはツァオがいつもより心なしか険しい顔をしているように思った。
「じっちゃん。どうしたんだい?」
ロンがツァオに尋ねる。
「ロン。わしはお前に話さねばならんことがある。」
静かにツァオが言った。
ロンはいつもの雰囲気ではないツァオの様子に少し身構えた。
「ロン。この村の言い伝えはしっておるな?」
ロン頷いた。
「そうじゃよ。あれじゃ。」
ツァオは少し目を伏せた。
ツァオが言っている言い伝えとは、
「双龍伝説」
の事だろう。
青の龍と黒の龍が戦い、青の龍が勝った。
青の龍はこの村の山に住みつき湖と川を作ったというやつだ。「その言い伝えじゃが…実は続きがあるんじゃ。」
ツァオはゆっくりと話した。まるで幼い子どもに話しかけるように。
「黒の龍…クーロンというのじゃが、やつは2000年後に甦るとされておる。やつは闇を好む。人間はやつには邪魔なのじゃろう。」
ロンはなぜツァオがこのようなことを言い出したか見当もつかなかった。
「じゃが、青の龍…セイリュウというんじゃが、セイリュウもまたそれを阻止するために甦ると言われておるんじゃ。」
「…そこでじゃ。ロン。お前のあざ。それが甦りの証拠なんじゃ。13歳になるとある場所に行くことになっておる。山の祠じゃ。」
…ロンは耳をうたがわざるをえなかった。
あの祠は青の龍をまつっていると言われており足を踏み入れては行けないとされていた。
まさか、あそこに入るとは…。