第1話 ロンの世界をご紹介!
「…今に見ておれ。2000年後、我の生まれ代わりが世界を滅ぼすだろう」
「ならば我もまた2000年後に甦り再び汝を倒そう…」
――…2000年後の世界。ここは中国の山奥にあるのどかな村。
鳥は歌い、子供たちは戯れる。
…ただ一人を除いては。
その少年の名はロンという。
体に龍のようなあざがまとわりついているから龍〈ロン〉だった。
ロンはいつも、他の子供たちと離れ、ひとり大きな木の上に登り、枝に座り、下の様子を見ていた。
なぜ混ざらないのか。理由は多々ある。
一つには彼は一人を好むからだ。もう一つは彼には変わった力があるからだった。
彼は水を操れる。
といってもピンポン玉ぐらいの大きさに水を切り取ることが出来るだけだ。
なぜこんな力があるのか彼にはわからない。
ただ、物心ついた時にはもう身についていた。
…彼はこの能力のお陰で大変な目にあったのだ。
小さい頃、川に行くと水が彼のほうに集まり、すぐびしょびしょになってしまう。
水はピンポン玉くらいまでしか操れないのだ。
どうやら彼は水を引き寄せる体質のようだ。
村の者たちは彼のことをよく思ってないらしい。彼には関係ないことだが。
…彼は時々変な夢を見る。毎回同じ夢だ。
空を飛び回り、雲を食べ、山にぶつかりそうになる所でいつも目が覚める。
その時なぜか彼は懐かしいと感じるのだ。