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【1】学院(3)

「きゃ~。今日の夕食はクリームシチューでしたのね♪」

「カナリヤ様。少しお静かになさってください。注目の的です。」


夕食会場にいくと、同じように夕食を取るために集まった、5歳~14歳までの学院生がごちゃまぜに夕食を食べていた。教室塔を出ると、学院での生活は、比較的自由だ。誰とどこで何をしても良い。食事の時間だけ決まりはあるが、時間内どこで食べても良いし、メインのメニュー意外にも融通がきく。その味は、一級品だ。


「アティーはクリームシチューに何つける~?パンにー。サラダにー。」


カナリヤをいさめつつも、アティー自身、この食事タイムは至福の時だった。メニューに夢中のカナリヤがどんどん先に行ってしまうのを追いかけようと足を動かした時、


「お前、食事は体系考えて食べろよ?」


あまり聞きたくない声が後ろからした。


【アドル=フェーべル=アレギレア】

アティ―たちより2つ上の14歳。銀色の髪とアメジストの瞳はアティ―と同じ色彩だったが、アティーと違い顔立ちは整っていた。アティーと同じアレギレアの貴族だ。


「アドルー。その子が噂のアティー?」


アドルの後ろ。ひょこっと顔を出した少年は、赤毛のツンツンした髪が印象的だった。


「初めまして。アティ。僕はジン。」


【ジン=クルー=シルタルジ―】

ツンツンした髪とキツメの顔立ちとは反対に、物腰は柔らかかった。灰色の制服に赤のネクタイでシルタルジ―の貴族層だとわかる。


「ジン。別に挨拶はいらない。そんな国の顔汚し。」

「あー。ひどいよアドル。仮にも君の婚約者でしょ?」

「だからよけいにムカつくんだよ。なんでこんなやつ。いくぞ。」


いかにも迷惑だというような表情をして背を向けたアドルに、アティは何も言い返せずにただその場から動けなかった。


「アティ~またね♪」


ジンが笑顔を向けてくれたが、とうてい返すことはできなかった。何度言われても、頭では理解していても、心はいつも悲鳴を上げる。レイチェルやレナより影響力が大きいのは、好きかどうかと言われると、よくわからないが、少なくてもアティがアドルのことを嫌いではないから。


「アティー?どうしましたの?」


お盆いっぱいに美味しそうなモノをのっけたカナリヤが近づいてきた。


「なんでもないです。ごめんなさい。今とってくるので、ちょっと待っててください。」


この食堂は、教室と同じく気を抜けない場所だ。カナリヤの隣にアティーがいることにあまり良い感情を持つ人間はいないようで、チクチクとした悪意のある視線を感じる。ただ、もうそんな視線には慣れっこになってしまったアティーにとっては、直接的な言葉を言われることが一番キツイ。


「はぁ。」


ため息をつきながらも、美味しそうな匂いのする食べ物を選択していく。いくら体系がまずくなろうとも、この食事たちは少ないアティーのストレス発散だ。嫌味を言われたことでやめられるものではない。

アティー=クロード=アレギレア(12)

カナリヤ=グルク(12)

アドル=フェーべル=アレギレア(14)

ジン=クルー=シルタルジー(14)

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