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プロローグ
真っ暗だった。
真っ暗だけど、怖くはなかった。
何も見えないけれど、
すべて見えているような不思議な空間だった。
どこか、心地よくて、
ずっとここに居たいような感覚。
でも、どこかで警戒しろと
気をつけろと心が告げる。
頭の中で声がする。
――願いはなに?
低くもなく、高くもなく、心地よい声がする。
――あなたの願いはなに?
どこからなのか、誰の声なのか、
なぜ、そんなことを聞くのか。
わからないのにそこに疑問は持たなかった。
願い・・・?
なんだろう。
私の願いはなんだろう?
投げられた質問にだけ、答えを探していた。