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仲良し3人組 まずいの種類

掲載日:2026/04/26

今回は仲の良い3人が3方向にズレています。


昼休み。会社の喫煙ルーム。

換気扇の音だけが、やけに大きい。


「よう、新婚。最近どうよ?」


「ん?…よう。メガネ、おにぎり。」


「どした〜。喧嘩でもした?」


「……実はさ」


新婚が、ぽつりと言った。

火をつけたタバコを見つめたまま。


「嫁、まずいんだ」


一瞬、空気が止まった。



「……マジか。」

メガネが低く言う。


おにぎりも、口を開く。

「……どのくらい?」



新婚は少しだけ間を置いた。



「……結構、きてる」




沈黙。




「でもさ」

メガネが口を開いた。

「結局、お前が選んだんだろ?」


咄嗟に新婚が顔を上げる。

「……は?」


「最後までしっかり面倒見ろよ」


新婚の眉がピクリと動く。


「最期なんて言うなよ」


「いや、現実見ろって」

メガネはため息をついた。

「もう限界なんだろ?顔に出てるぞ」


「だから違うって――」


おにぎりが割って入る。

「いや、でもさ」

「今、かなり辛いよね?」


新婚がおにぎりを見る。


「外でどうにか出来ないの?」


「は?」


「帰り付き合うけど。いい店知ってるよん」


「外でとか何言ってんだよ」


メガネうなずく。

「いや、それ正解かもな。一回距離置いた方がいい。俺も行くよ」


「そっ、一回リセット〜」


新婚が一瞬固まる。

「距離ってなんだよ」

「リセットってなんだよ」

「まだ新婚だぞ」



メガネとおにぎりが顔を見合わせる。

「だからだよ」「だからでしょ」

ハモった。

「今のうちにだろ」

「無理しないで」


新婚のこめかみがピクつく。

「だからって、それは違う…だろ?」


真剣にメガネが言う。

「何が違うんだよ」

「隠すなって。見てたら分かる」


おにぎりも続ける。

「そうだよ。限界来る前に対処しないと」


「対処って…なんだよ」


「だから外で――」


「違う!!!」


喫煙ルームに声が響いた。



沈黙。



換気扇の音だけが、やけに大きい。



メガネが口を開く。

「でもさ、そういうのって顔に出るって言うじゃん?」

「気がつかなかったのか?」


新婚が即座に返す。

「気がつくわけないじゃん。急だぞ!!」



メガネとおにぎりが同時に反応する。

「……ん?」「……は?」


メガネが首をかしげる。

「急?」


「そうだけど。」


「嫁さん気が強すぎて、お前の立場がまずいって話だよな?」


おにぎりがすぐに否定する。

「バカ、違うって!飯まず嫁の話でしょ?」


新婚は、深く息を吐いた。

「……普通に体調だよ」

「最近ずっと悪そう」



二人が止まる。



「ずっと、気持ち悪そう」




間。




「……あ、そっち?」

メガネが言った。


「そっちも何もねえよ」


おにぎりが頭をかく。

「いや、てっきり……」


「何だよ」



少しの沈黙。



メガネがタバコをもみ消す。

「……もしかしてあれじゃね?」


おにぎりもうなずく。

「あれかもね。」


新婚も、少しだけ力を抜いた。

「あれってなんだよ。」


メガネが言う。

「このクソ鈍ちんが、結婚後2人でなんか作って無いか?」


新婚答える。

「パズル?」


「……鈍すぎて気持ち悪い」

おにぎりにディスられる。


空気が、少しだけ戻る。


「お前試されてるんだよ、お子ちゃまだし。嫁さん性格悪そうだし」


「よく考えてー。」


2人がじっと見る。


その時。

新婚がぼそっと言った。

「あれかっ!」



「マジか?」


「……うん辻褄合う」


ふたりは顔を見合わせる。

「マジで心配したじゃねぇか」

「僕はワクテカしてましたよー」


「今日は早く帰れよ。」


「ありがと、メガネ、おにぎり」


新婚の顔が明るくなった。


休憩が終わる。


「でもおにぎり、お前すげーな。」


「ん?」


「……飯まず。よくわかったな。」



間。



喫煙ルームに、小さく笑いが広がった。

換気扇の音は、相変わらず大きかった。


読んでいただきありがとうございます。

この作品はコントをイメージしながら作りました。


次回作は全6話。ifの話です。

ifの後日談みたいな位置付けかな。

よろしければ足を運んでみてください。

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