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孤独の終焉と、黄金の勇者

「うわああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」


 真夜中の住宅街に響く絶叫。


 優一は全速力で駆けていた。


 背後には――勇者。


 いや、もはや獣。


 唾液を撒き散らし、プリンだけを見据え、銃弾の如き速度で迫るダラク。


(強化魔法なかったら百回死んでる……!)


 角を曲がる。


 跳躍。


 空から降ってくる影。


「うおおおお!?」


 紙一重で回避。


 そして目的地へ辿り着く。


「着いた! 後は任せました!!!!!」


 優一はプリンを天へ放り投げる。


 ダラクの視線も天へ。


 ――その先に。


「っふ。やっと姿を拝めたぞ。勇者よ」


 空中に立つ魔王。


 次の瞬間、空間が閉じる。


 勇者と魔王を隔てる結界。


 優一は膝をつき、祈る。


 成功しろ。


 全て。


 全部。



「手を出さないで! これはわたしの戦いなの!」


 一つ眼と対峙する月野。


 特大魔法が直撃する。


 ――しかし。


 片手で弾かれた。


 絶望。


 炎に包まれたあの日が蘇る。


 膝が崩れる。


 一つ眼が迫る。


 終わり。


 そう思った瞬間――


「ちょっと、何諦めてるんですか!」


 リルの声。


 ジルの防御。


 仲間。


 その言葉が、月野の止まっていた時間を動かす。


 独りじゃない。


 とっくに終わっていた孤独。


 涙を拭い、立ち上がる。


「足引っ張らないでね」


「そちらこそ!」


 三人が並ぶ。


 今度は復讐じゃない。


 共闘だ。



「さあ、勇者よ――」


「ガルルゥゥゥ!!!」


 魔王の言葉など届かない。


 プリンへ飛びつく勇者。


 魔王は避ける。


 ため息。


 そして。


「なら、これならどうだ?」


 プリンの蓋を捨てる。


 勇者の速度が跳ね上がる。


 そして――


 魔王は、食べた。


「辞めろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」


 地鳴り。


 結界が震える。


 魔力が爆発する。


 獣ではない。


 怒りだ。


 奪われる怒り。


 初めての喪失。


 金色の光が身体を包む。


 バチバチと弾ける魔力。


 髪が黄金に染まる。


 ――勇者の印。


「プリンんんんんんんんんん!!!!!!!!」


 地面を砕き、瞬間移動の如き速度で魔王へ。


 光の剣が出現する。


 斬撃。


 魔王の頬に赤い線。


 沈黙。


 そして魔王は笑った。


「フハハハハハ!!! そうだ。それでこそ勇者だ!」


 黄金の勇者。


 怒りを得て、初めて“勇者”になる。


「さあ第二回戦と行こうじゃないか!」


 夜が割れる。


 勇者と魔王の本気がぶつかる。


 そしてその衝撃は、結界の向こう――


 一つ眼との戦場へも届こうとしていた。

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