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内裏の小道と高貴な横顔
後ろ姿の少女が通り過ぎた先には、内裏の中庭へと続く細道があった。
周囲には誰もいない。
けれど俺のぺたセンサーが、この先に“何か”があると告げている。
「おいおい……この時代、忍び足してたら普通に不審者だよな……」
そう思いながらも、足は止まらなかった。
細道の先――小さな池のそばに、その人はいた。
十二単を身にまとい、静かに水面を見つめる少女。
けれど、その佇まいには気高さと透明さがあった。
(PETA……100%)
俺の脳裏に鐘が鳴った。祇園精舎どころではない。
「……そなた、誰じゃ?」
澄んだ声が、風に乗って届く。
俺の心臓が跳ねた。
彼女こそ、この物語を大きく動かす鍵――
斎子内親王だった。
毎朝6時に投稿しますので、お楽しみに!
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