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出会い、斎子内親王
斎子内親王。
帝の血を引く、由緒正しき皇族。
なのに彼女は、俺のような不審者にも静かに声をかけてくれた。
「そなた、あの館の者か?」
「え、あ……はい。多分……そうです……」
緊張で喉がからからだ。
彼女はすっと立ち上がると、こちらに歩み寄ってきた。
「その目……嘘を申してはおらぬのじゃな」
どこか、見透かされているような視線だった。
「わらわは斎子。そなたは……?」
「か、加藤です。加藤清光と申します」
「清光……清き光……、ふむ。面白き名じゃ」
十二単の裾が揺れるたび、風が甘く香るようだった。
(ぺたセンサー……安定数値:100%)
けれど、それ以上に感じるものがある。
気高さ、優しさ、寂しさ――
この人には、何か隠された思いがある。
俺は、ただの変態ではいられないと思った。
「また、会うことになるやもしれぬの」
その言葉を残して、斎子は去っていった。
俺の“平安ライフ”が、本当に動き始めた瞬間だった。
毎朝6時に投稿しますので、お楽しみに!
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