表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隕石Xに愛を込めて  作者: 静水映
第五章
25/34

幕間③ 公開されなかった記録

――マモリたちとの連絡が途絶えて数カ月が経った頃。


 『展望』に1人立つグレイムは、突然大きな声を張り上げた。


〈あああああああああっ、マモリいいいいいいいいいいいいい〉


 スピーカーから出る音が割れるほどに大きく、その叫びは誰もいない砂漠にただ響き渡った。


〈カナタああああああっ、オレを置いて行かないでくれえええええええ〉


 遥か彼方の宇宙に向けて、『展望』に立ち、毎日のように叫んだ。


〈頼む……オレを……ひとりぼっちにしないでくれ……〉


 グレイムの声に人はおろか、精霊さえも答えてくれなかった。

 宇宙は気が遠くなるほど広く、星の輝きはその空間ではあまりにも頼りない。

 気付くとグレイムはその広大な夜空に恐怖さえ覚えた。


 カメラはそんな、孤独な『隕石X』の状況を淡々と記録し続けた。



              ♢   ♢   ♢



〈この記憶はブラザーたちに見せるべきじゃねえな〉


 グレイムは動画編集ソフトのシークバーで範囲を選択、映像をカットする。


〈オレの心境を表すシーンとしては必要だが、過度な同情を誘いたいわけじゃない。これで2人がオレを哀れに思って塔を出られなくなったら本末転倒だ〉


 映像を作りながら、自分でも驚くほど自分の過去を俯瞰している。

 それほどに長い年月が経ち、諦めがついたということだろう。


〈悪いな……マモリ、カナタ。お前らの声、もう忘れかけてたよ〉


 グレイムは編集ソフトを閉じると『ライブラリ』から出た。

※『隕石Xの物語 ③』の〝映像が微かに途切れた〟部分に入る予定だった部分です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ