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悪役令嬢は何もしない。けれど叔父様は世界を変えてしまいました。  作者: VLS
辺境の1地方の終わりと国家間攻防(物理)の始まり。
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引き金は私が。行動はアルフィンに。

「開戦ですね」

「エルゼリア様…

お願いします」

「ええ。

結界を発動させます。

後の指示は全てアルフィンに移譲します。

貴方が最善と思う事をしなさい」

「承知いたしました。

これより状況を開始する!」


伝声管と短信音での今日今日連絡は見ていて面白いくらいに、

細かくテーブルの上の駒を動き始めていた。

一列に並んだ一糸乱れぬ艦隊運動は素晴らしく、

それでを威圧すれば小さな漁村ならビビッて降伏してしまうだろう。

けれど…

都市ギネヴィアには半年前まで侵略してきた帆船の、

数倍の大きさを持つ船を建造していたのだ。

そして既に2番艦の建造が始まっている。

その大きさに圧倒されて怖気づく領民は当然いないのだ。

風の魔法使いの力なのか帆に風を当てて前進してくる帆船であるが…

沖合に近づけば近づくほどその勢いはみるみるうちに落ちていく。

それはテーブルの上で動いている駒の動きを見ればわかる事で…

当然魔法妨害装置の影響下に入った事を意味していたのだった。

明かに船速が遅くなれば観測者の望遠鏡は当然帆船の側面を捉えやすくなる。


「敵、先頭走る帆船の両側から砲の先端を確認しました…

口径は予測の範囲内。船から吐出した砲身部分もほぼ予測以内です。

向こうの有効射程は此方より低そうです」

「引き付けられるだけ引き付ける逃げる事を許すな。

接舷可能エリアになりそうな部分から退避。

向こうの戦列の最後尾が湾内に入ったら投射砲の一斉射開始。

一隻として生かして返すな」


それは多少の港湾部の損害を被っても、

絶対誰一人として生かして返さないという作戦だった。

着々と港湾部に侵入してくる帆船。

その数15隻。

使者が言っていた数より多かった事はさておきその戦列には明らかに、

余裕が感じられる部分があった。

先頭にいた5隻が港に対して横向きになり、

それだけで港をボロボロにして敵の戦意を削ぐ。

あとは降伏を受け入れて蹂躙する。

そんな図を描いているのが手に取る様に解ってしまう。

帆船の横から顔を出す大量の砲。

そして港までの距離を観測すればおよその相手の射程が見えてくるのだ。


「舐めやがって」

「あの程度の距離で粋がるな」


アルフィンの部下である技術士官の漏れ聞こえる声は明らかに怒っていた。

そしてその言葉の端々から予測の範囲内でしか動かない「敵」に、

苛立ちを覚えている様にすら見える。

けれど…


―ドン-

―ドドン―


という、遠くからの炸裂音が響いて来る。

それは言うまでもない砲撃が始まったと言う意味だった。

けれどいまだアルフィンは反撃の指示を出さない。

結界は起動しているけれどその場所は現在の所限定的なのだ。

屋敷と港湾部の造船ドックを中心にしていて船舶の接岸場所は、

いまだ結界の発生補助装置は置かれていない。

それは当然港湾部がどれだけ大きくなるのかがまだ決まっていないからで、

造成中の場所がほとんどだからでもある。

被弾しても被害は少ないとアルフィンも割り切っているのだろうと考えていた。

けれど…

すぐさま報告が来るのだ。



「グラファイス様の部隊が砲弾の殲滅を順調に行い始めました。

対処可能な量との事です」


何それ?それが私の漏らしそうになった言葉だった。

けれどそんな私にリチェルチェがヒソリと教えてくれる。

アルフィンとの打ち合わせの通りにグラファイスが動いていると。

パワードスーツの実践テストと言う名の遊びをする事にしたらしい。

相手がオースヴァインでないならその能力の一端を解放しても、

問題はないとの判断で、魔術と機械の融合がどれほど効率的な物か、

それを実践で確認したいという事だった。

そのテストには勿論グラファイスの部下は参加させているらしかった。

対してアルフィンの部下は辞退したらしい。

というかせざるを得なかった。

それは純粋に都市ギネヴィアを「防衛」する為の部隊なのだから。

遊びには使えない。それがアルフィンの判断なのだ。


―砲弾の殲滅―


それは飛んでくる砲弾をグラファイスの持つ剣で、

文字通り切り裂いて消滅し始めていたという意味だった。

あの驚異の変身ベルトとパワードスーツは着用者に無限の可能性?を、

与えている様でグラファイスは頭一つ抜けた性能を持つ。

叔父様の夢とロマンが詰まった「漢の子」の為の兵器なのだ。

砲弾に剣が当たるだけで消滅させられる熱量を剣は所持しているのは当然として、

剣の形状に閉じ込められているアレそのものもパワードスーツへと力を圧送する、

叔父様特性の謎のエネルギー源であるたしく、その力場を使用して更なる

ロマンあふれる動きをパワードスーツは装着者に与えてくれる。

底上げ?された機動性は砲弾ごとき簡単に補足出来てしまうと言う…

どう考えても理解不能な事象すら出来る事を証明してしまったのだった。

グラファイス一人でも十分な働き。

けれど広範囲に広がる砲弾はグラファイスの率いる直属の部隊で、

試験的に対処のレベルで出来てしまうほどの物だったと言う意味なのでしょうね。

見なくても解る「音」が港の砲から響いて来ていたのだった。

シュイーンとかウィイイイインンとか良く解らない機械音は明らかに特殊な音。

ある者は剣に当てて砲弾を消滅させて、

ある者はそのパワードスーツの力をいかんなく発揮して、

球を文字通り受け止め切ってしまう。

ある者は道端にあった石を砲弾に当てて迎撃して、

港湾都市へと被弾させる事を決して許さない。

それは明らかな技術的な差なのであるが…

敵艦隊はもう逃げる時間はないのである。

けれど戦闘の様子は最後尾の船には解らない。

前に続いて港湾部奥へと導かれ逃げると言う判断をする為の戦闘を見せて貰えない。

最後尾の艦が港湾内に入ってしまえばその後に待っているのは一方的な展開となる。

いくら打っても弾かれ撃ち落され球を消滅させられても、

打つなと言う命令が下される事は決してないのだ。

目の前の現実を砲弾が効かないパワードスーツを纏った、

騎士がいる光景を帆船の船長達は認める訳にはいかないのだから。

「その光景はありえない」のだ。

けれど逃げるのてあればそれが最後の時間だったかも知れない。

騎士達が砲弾で遊んでいる間に逃げるべきだったのだ。

けれどその砲弾で遊ばれている事に気付けるのは前線で砲撃をしている5隻だけ。

でもその現実を認めないから伝令も出ないのだ。

帆船の成長が討て!と号令をかける度、

揃いも揃って弾丸は空中で消失するのだ。

そもそも砲弾を受け止められると言う意味不明な事態に敵旗艦は、

そんな状況を信じない。見ている前線の帆船の船長はもっと信じられない!

決着までの時間を縮めようとして、後方の戦艦にも戦列を作らせ、

砲撃準備をさせ始めてしまうのだ。

それは全艦が港湾内の奥へと入る事になり…

山の間となる部分は海が荒れない代わりに当然強い風も吹き込まない。

それは軒並み帆船の速度を落とす事になり…

戦隊の動きはみるみるうちに悪くなっていく。

魔法使いが必死に風を帆にあてて動かそうとするけれど、

港湾部に深く深く入ればより魔法妨害装置の影響を受けてその魔法の発動効果は、

信じられない位に弱くなって行ってしまうのだった。

ともなれば魔法を使った高機動艦隊戦術も急速離脱も当然許して貰えない。

ともなればデルフィナス王国旗艦の総大将だって考える。

必勝のパターンはもう効かず降伏勧告をする事も当然できない。

けれど反撃がない事を良い事に砲撃は続く。

膠着状態を打開できると信じて討ち続けるしかない。

旗艦から停止命令が出ない以上辞める訳にもいかず…

屋敷にいる私達には遠くから砲撃の発射音だけが虚しく響き渡るのだった。

魔法妨害が強く効いている場所だと分かっていても、

デルフィナス王国の艦隊は港湾部深くに呼び込まれた事を後悔しながら、

何とか魔法発動させようと苦心する船上の魔法使い。

少しでも船足を早めようと船速を上げようと力を振り絞って魔法を発動させようとするも、

そんな簡単に妨害装置の押さえつけから逃げられる訳が無いのだ。


そこに来て初めてデルフィナス艦隊は自分達の不利を悟ったのだろう。

けれど全てが遅すぎる。

港湾部の攻撃に参加していた船は徐々に増えて最終的には10隻で、

2列に戦列を組んでいた。

それは攻撃を増やすためでもあったが横並びになってしまった事によって、

半島内奥深くに誘い込まれる事になっていのだ。

最後尾の船ですら半島出口より港湾部に近い位置まで接近してしまっている。

けれどそこまで密集して近づけば港湾部で砲撃で遊んでいる訳の解らない、

鎧を着た騎士達を旗艦の司令官すら視認する事になる。

なれば強制接岸したとしても、

砲弾を受け止める理解不能の騎士達がいる様な場所に、

近付いただけで乗り込まれ一方的な蹂躙が行われる事は確かで。

もう撤退するしかないが…

テーブルの上の駒はもう半島出口まで絶望的な距離を示していた。

陸地に近づけば近づくほど風が弱くなり押し込んでしまった艦隊は、

風が無いからほとんど動けない。


「予定通りですね…

力押ししか出来ないでしょうね」


アルフィンの呟きは攻守が入れ替わる言葉でしかないのだった。

それはデルフィナス王国艦隊が耐える番が始まると言う意味なのだ。


「さて始めます」


それは船舶が完全に補足された後の事。

攻撃に集中しすぎてほぼ停泊状態となった帆船がこれから降り注ぐ、

鉄の雨から逃げられる訳が無かったのである。




戦争?が始まりました。


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