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悪役令嬢は何もしない。けれど叔父様は世界を変えてしまいました。  作者: VLS
私の知らない所で事態は急激に動き、私にはそれに応じた新しい役割が与えられる。
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箱庭で育てる夢は多いわね。

けれど今は凡人が凡人らしく生きる場を整える事が優先される事なのでもある。

領内に遊び程度の実力しかなくとも楽器がある以上「奏者」を育てることを、

始めなくてはいけし「奏者」は作り上げる者だとも言われている。

長い間楽器と向き合って演奏してきたからこそ、

その楽器に体が「合う」のだそうだ。

それは才能も大いにあるのかもしれないけれど、

それ以上に費やした「時間」によって「色」を見せてくれるとも言われている。

「この楽器練習して弾けるようになって頂戴」

と言ってポンと楽器を渡すだけでは始まる事すら出来ない。

それから最高の音色を奏でる様になるには文字通り「人生」をその楽器だけに、

費やさなくてはいけないのだ。

そこまでするからこそ、いやしなければならないからこそ「音楽」は、

豊かな芸術と文化として認められる物となるのだ。

王国ではないけれど「伝統」がもろに価値を生み出す文化なのだ。

私はどうしてもこの「音楽」と言う物はファルスティンを発展させる為に、

必須なものだとまで考えている。

そして識字率が上昇した事により生まれた物語と行かなくても、

書き綴られた個人の日記をアレンジした読み物が一部の人々の間で、

はやり始めている。

それは何時か舞台の脚本となるだろう。

そして、祭事で踊る事が好きな子が踊りを作り上げれば…

何時かそれは混ざり合って演劇と言う形を取る。

長い長い道のりだけれどファルスティンにはその種は確かにあった。

それを加速させる為に、王都から演出家を呼ぶ事が出来れば、

その文化の発展を加速させる事も出来ると思う。

けれど今その「演劇」という文化を昇華させるのはまだ早い。

そして何よりファルスティン内部では完成された演劇を用意できたとしても、

それを見たいと思う人は悲しいかな「誰もいない」のだ。

役者が演じる物語を見たいと思う人はいないし。

てっとり早く演劇と言う「文化」を作る為に「ファルスティンの歴史」辺りを、

演じさせると言う手はあるけれど…

ファルスティンの歴史は今の所「エンターテイメント」としては適さない。

共感を得るために印象深いエピソードを演劇化しようとしたら、

毎年生き延びるために送り出される開拓の演劇となる。

誰が辛く悲しい演劇を見て喜ぶのか。

王国への対抗心を絶やさない為にするとか…

政治的パフォーマンスに傾きそうなことをしようと私は思わない。

少しでも早く「世界」へと眼を向けたいし見たいと思うからこそ、

オースヴァインではない所を次世代には見てほしいのだ。

期待しないではいられない。

焦る様に出港した叔父様はきっと世界への扉を開いてくれる。

そう信じられるからこそ、

私は王国の次を見据えて動かなくてはいけないとも思うのだ。



戦争に備えた一時的な宿泊施設の建設を早め領都に住まう戦闘に参加しない、

避難者の為の寮の増設は順調に進んでいて予定外の駅の建設と、

その周囲の整備は優先させたけれどそれが使われる事態になるのは、

なんとか避けたい所。

その為にできそうな王国に対する時間稼ぎと言う名の嫌がらせは、

極力する方向で考えるべきなのかもしれない。


ギネヴィアと考え付いたあの面白可笑しな御令嬢に対する、

嫌がらせもさることながら、もっと王国を混乱させる効果がありそうな、

嫌がらせを仕掛けてやりたいと言う気持ちがその時の私には強かったのだ。

思考は巡るけれどそれでも都市建設は進む。

決断を待ってくれない。

なにより都市の建設が続けられている以上私には出来上がった物の中身を、

準備する用意だけはしなくてはいけない。

衣食住が揃ったファルスティンは次の段階に進むべき所まで来ているのだ。

出来れば手を付けたくない所ではあるが、

ここ半年間のファルスティン内の余剰生産品を使って、

王国の生活水準を歪ませてやろうかと私は考え始めていたのだった。

あの、ギネヴィアとの楽しい企画書の製作は私の頭を程よく柔らかくし、

そしていい感じに「おかしく」なっていたのかもしれない。

私が都市ギネヴィアにいる事も関係しているのだろう。

都市ギネヴィアで生産された一部の大型機械は、

もちろん都市エルゼリアに送られる。

それは大規模で大量生産を必要としない物となるのだけれど、

衣類関係の特注品で、なにより「貴族」の為に用意される。

高級品産業は都市エルゼリアの一時的な看板となる事は確定事項なのだ。

それ相応の準備をしなくてはいけない。

都市エルゼリアに運び込まれる物は徐々に増えていき、

それに伴って私お抱えのデザイナーさんの本拠地はもちろん、

都市エルゼリアに移動して貰った。

原料の取得と加工の事を考えたらそうする方が良いのと、

これからデザイナーさんは本格的に私以外の衣服のデザインと

生産に入らなくてはいけないからだ。

新しく皆に受け入れられる衣服で「練習」と称して、

大量生産のラインに乗せるオースヴァイン王国を圧迫させる物を作らせるのだ。


「ギネヴィア、余剰生産分として倉庫から破棄される生地はどの程度出るの?」

「今年は機械の改良も進んだから、13%増の予定で…

…これ位かしらね?」


ギネヴィアが見せてくれる溜まり続けて倉庫の肥やしとなる事が、

確定している「生地」がやはり多いみたいだった。

その溜まり廃位される事が決定しそうな生地の山を見ながら、

それでもやはり生産効率を落とす事は、ギネヴィアは考えていない。


「へぇ…」

「また悪巧みをするの?」

「そんな事はしないわよ。

今回は王国を豊かにしてあげようと思うの」

「それは…

おもしろそうね?」


現状領内の服飾関係は驚くほど豊かになっているのだ。

毎年新しい染め方で新しい色を作りまだ声に出して言う人はいないけれど、

流行と流行りのデザインと言う風潮が出来始めているみたいなのだ。

環境が変わりつつあるという事と過密都市になりつつある領都は、

衛生面でも気を遣う様になってきている。

環境面の改善と言えば良いのか…

病気になる事の怖さを知っている領民はお兄様と義姉様が実施した、

その対策に普通に従ってくれたと言うのも大きいと思うが。

都市全体が一部を除いて室内の様に仕上げられ始めているために、

それに合わせて清潔な格好を求められる様になって来ているのだ。

それは仕事着と普段着という身に着ける衣服を揃える事を優先させ、

下着の発達に衣服の洗浄関連の発達も促す事になっていた。

生活事情が許せば環境的に風呂に入る事こそ出来ないけれど、

使用済み蒸気を使ったお湯が流れ続けるシャワールームのような、

大衆浴場の様な物も完成しているらしかった。

ファルスティン自体も病原菌の蔓延で「開拓」を迫られた過去があるから、

余裕があればその辺りを改善する事に余念は無かった。

私達の世代は毎日の様に着替え毎日の様にシャワーを浴びる事は、

当然となっている部分もある。

まぁ私は「ボルフォード」のドレスの所為でそれは叶わなかったけれど。

衛生面と言う点では貴族より領民の方が良いと言ってしまっても問題ない。

ドレスが普段着であることはその辺りは不利に働くけれど、

ファルスティンは今、オースヴァイン王国の貴族なのだ。

その貴族である以上不衛生だろうが何だろうが、

王国の貴族として相応しい格好をしなくてはいけない。

その辺りは未だに「うへぇ」なのだが、婚約破棄されていなければ、

私にとっては更にひっとい生活が待っていたと思えば、

リラーナが用意してくれた「モノ」は天国なのだ。

毎日デザイナーが切磋琢磨した新しいドレスが作られているから、

その辺りも今は心配ないしね。

そう言った意味では「学園」は酷かった。

平民と貴族のごった煮の空間で衛生概念なんてなかったからね。

横れていても「許容」されていたから。

もちろん現貴族基準での衛生概念程度の考え方だから、

破断している衛生概念だったけれどね。

それに袖を通さなくてはいけなかかった身としては結構辛い所はあったけれど、

人間なれる物だ、毎日体を拭く程度しか許されないが、

それだって気をつ買っている方だったのだ。

だって、校舎はきっつい匂いが付けられていたからね。

まぁ生徒一人一人に香り付けする位なら、学園全体に匂いを付けてしまった方が、

安上がりだって事なんでしょうけれど。

鼻がバカになる生活でも慣れれば気にならない辺りそれが「貴族」って、

モノなんでしょうけれど、それでもファルスティンの基準を知っていると、

耐えるのが辛いのは私の本音だったのだ…


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